[情報セキュリティマネジメント試験]公開鍵暗号方式[無料講座・例題付き!]
今回は情報セキュリティマネジメント試験における公開鍵暗号方式について学習します。
公開鍵暗号方式
公開鍵暗号方式では暗号化と復号で別々の鍵(公開鍵と秘密鍵)を用いる暗号方式です。
例をあげれば南京錠とそのカギの様に、鍵は各々かけられるけど、開けられるのは鍵を持っている人だけ、のようなイメージです。
公開鍵・秘密鍵それぞれの定義を確認すると以下のようになります。
- 通信でペアである公開鍵と秘密鍵が必要
- 公開鍵は不特定多数の利用者に公開する
- 秘密鍵は秘密として誰にも公開しない
- 公開鍵を使って平文を暗号化する
- 秘密鍵を使って復号する
暗号化の手順
暗号化の手順としては次の2ステップを踏みます。
- 送信者が受信者の公開鍵で平文を暗号化し、暗号文を受信者に送る
- 受信者は受信者の秘密鍵で暗号文を復号し、平文を取り出す。
ちなみに、送信者は事前に受信者の公開鍵を取得する必要があります。しかし共通鍵の様に秘密裏に鍵を事前に共有しておく必要はありません。
受渡の方法としては
- PGP・・・公開鍵の受け渡しを、暗号化する人と復号する人の当事者間で直接行う方法
- PKI・・・公開鍵の受け渡しを、第三者機関であるPKIの認証局を経由して行う方法
等があります。
公開鍵暗号方式の特徴
公開鍵暗号方式の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 処理速度が遅い。
- 鍵の配布が簡単。
- 複数人でやり取りを行う際、必要な鍵の本数が少ない。
公開鍵の本数
公開鍵暗号方式の鍵の本数は、暗号文を受渡する合計人数をn人とした場合に2nで表せます。
- Aさんの公開鍵
- Aさんの秘密鍵
- Bさんの公開鍵
- Bさんの秘密鍵
- Cさんの公開鍵
- Cさんの秘密鍵
- Dさんの公開鍵
- Dさんの秘密鍵
ってなるね!
最初の内は共通鍵暗号方式と比較して多いように感じられますが、やり取りをする人数が増えれば増えるほど公開鍵暗号方式の方が有利になってきます。
人数 | 共通鍵暗号方式 | 公開鍵暗号方式 |
2人 | 1本 | 4本 |
3人 | 3本 | 6本 |
4人 | 6本 | 8本 |
5人 | 10本 | 10本 |
10人 | 45本 | 20本 |
100人 | 4,950本 | 200本 |
200人 | 19,900本 | 400本 |
n人 | n(n-1)/2本 | 2n本 |
公開鍵の種類
公開鍵の種類としては試験対策上、以下の1種類だけ押さえておけば問題ありません。
RSA
RSA(Rivest・Shamir・Adleman)は開発者3人の頭文字を取った暗号方式の一つです。
非常に大きな数の素因数分解が困難であることを利用して使われている暗号技術となります。
共通鍵暗号方式・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
AさんがBさんの公開鍵で暗号化した電子メールを,BさんとCさんに送信した結果のうち,適切なものはどれか。ここで,Aさん,Bさん,Cさんのそれぞれの公開鍵は3人全員がもち,それぞれの秘密鍵は本人だけがもっているものとする。(H.28/春)
ア 暗号化された電子メールを,Bさん,Cさんともに,Bさんの公開鍵で復号できる。
イ 暗号化された電子メールを,Bさん,Cさんともに,自身の秘密鍵で復号できる。
ウ 暗号化された電子メールを,Bさんだけが,Aさんの公開鍵で復号できる。
エ 暗号化された電子メールを,Bさんだけが,自身の秘密鍵で復号できる。
問2
文書の内容を秘匿して送受信する場合の公開鍵暗号方式における鍵と暗号化アルゴリズムの取扱いのうち,適切なものはどれか(FE H.24/春)
ア 暗号化鍵と復号鍵は公開するが,暗号化アルゴリズムは秘密にしなければならない。
イ 暗号化鍵は公開するが,復号鍵と暗号化アルゴリズムは秘密にしなければならない。
ウ 暗号化鍵と暗号化アルゴリズムは公開するが,復号鍵は秘密にしなければならない。
エ 復号鍵と暗号化アルゴリズムは公開するが,暗号化鍵は秘密にしなければならない。
問3
公開鍵暗号方式によって,暗号を使ってn人が相互に通信する場合,異なる鍵は全体で幾つ必要になるか。ここで,公開鍵,秘密鍵をそれぞれ一つと数える。(AP H.22/秋)
ア n+1
イ 2n
ウ n(n-1)/2
エ log2n
問4
非常に大きな数の素因数分解が困難なことを利用した公開鍵暗号方式はどれか。(H.29/秋)
ア AES
イ DH
ウ DSA
エ RSA
解説(クリックで展開)
公開鍵暗号方式・まとめ
今回は公開鍵暗号方式について学習しました。
公開鍵暗号方式の特徴や必要な本数も共通鍵と同様、よく問われるのでしっかり押さえておきましょう。
次回はハイブリッド暗号方式について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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