労働関連法規とは[情報セキュリティマネジメント講座]
今回は情報セキュリティマネジメント試験の労働関連法規について学習します。
労働関連法規
企業では正社員だけでなく派遣社員や請負業者といったさまざまな契約形態で働いている労働者がいます。
その契約形態や関連する法律を理解したうえで、契約形態に合わせて情報セキュリティ教育を行っていく必要があります。
労働基準法
労働基準法は労働者を保護するために賃金・労働時間・休日・年次有給休暇など最低基準を定めた法律です。
例えば労働時間は1日8時間以内、1週間で40時間以内と言ったように定められています。
36協定
36(サブロク)協定は労働時間を超えた時間外労働を労働者にさせる場合に必要な、労使(労働者と使用者)で締結する協定です。
36協定の協定文書は、時間外労働をさせる前に労働基準監督署に届ける必要があります。
労働者派遣法
労働者派遣法では、派遣労働者の労働条件や権利を保護する法律です。
繁忙期や特殊な事情がある時、企業は自社の労働力だけで賄いきれない場合に外部の労働力を求めて派遣労働者を活用します。
派遣契約・請負契約・準委任契約などいろいろありますが違いを確認しましょう。
派遣先・出向先の指揮命令 | 完成・瑕疵担保責任 | 選ぶ基準 | |
派遣契約 | 可能 | なし | 労働力の確保 |
請負契約 | 不可 | あり | 仕事を完成させる |
準委任契約 | 不可 | なし | 知恵や技術を借りる |
出向契約 | 可能 | なし | 人材育成・雇用調整 |
派遣契約
派遣契約では、労働者は派遣元企業に雇用され、派遣先企業にて働きます。
派遣先企業から業務の指揮命令を受けますが、労働者と雇用契約を結んでいるのは派遣元企業であり、給料も派遣元企業から振り込まれます。
派遣先企業で働いているだけのため、派遣先企業での完成責任や瑕疵担保責任は問われません。
- 指揮命令・・・業務における直接的な指示
- 完成責任・・・仕事を完成させる結果責任
- 瑕疵担保責任・・・成果物にミスがあった場合、責任を負う事
また、派遣契約では原則3年を超える契約は結べず満了後に正社員として雇用することができます。
請負契約
請負契約では労働者は請負業者に雇用されます。
請負業者から業務の指揮命令を受け給料を受け取ります。
請負の注文者の企業と請負業者との間で請負契約が成立しており、請負業者が完成責任や瑕疵担保責任を負います。
準委任契約
準委任契約では労働者は受託業者に雇用されます。
受託業者から業務の指揮命令を受け給料が支払われます。
形式的には請負契約と似ていますが、瑕疵担保責任を負わないのが準委任契約です。
ただし、通常期待されるレベルの注意義務(善管注意義務)をおいます。
出向契約
出向契約では、労働者は在籍出向の場合は出向元企業に、転籍出向の場合は出向先企業に雇用されます。
出向先企業から業務の指揮命令を受け、通常の労働者同様完成責任や瑕疵担保責任は負いません。
労働関連法規・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
労働者派遣法に照らして,派遣先の対応として,適切なものはどれか。ここで,派遣労働者は期間制限の例外に当たらないものとする。(H.30/春)
ア 業務に密接に関連した教育訓練を,同じ業務を行う派遣先の正社員と派遣労働者がいる職場で,正社員だけに実施した。
イ 工場で3年間働いていた派遣労働者を,今年から派遣を受け入れ始めた本社で正社員として受け入れた。
ウ 事業環境に特に変化がなかったので,特段の対応をせず,同一工場内において派遣労働者を4年間継続して受け入れた。
エ ソフトウェア開発業務なので,派遣契約では特に期間制限を設けないルールとした。
問2
請負契約の下で,自己の雇用する労働者を契約先の事業所などで働かせる場合,適切なものはどれか。(AP H.21/春)
ア 勤務時間,出退勤時刻などの労働条件は,契約先が定めて管理する。
イ 雇用主が自らの指揮命令の下に当該労働者を業務に従事させる。
ウ 当該労働者は,契約先で働く期間は,契約先との間にも雇用関係が生じる。
エ 当該労働者は,契約先の指揮命令によって業務に従事するが,雇用関係の変更はない。
問3
準委任契約の説明はどれか。(FE H.28/秋)
ア 成果物の対価として報酬を得る契約
イ 成果物を完成させる義務を負う契約
ウ 善管注意義務を負って作業を受託する契約
エ 発注者の指揮命令下で作業を行う契約
解説(クリックで展開)
労働関連法規・まとめ
今回は労働関連法規について学習しました。
派遣・請負・準委任は特によく出るので、それぞれの違いを押さえておきましょう。
次回はシステム構成要素の集中処理・分散処理について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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