ネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)[情報処理安全確保支援士講座]
今回は情報処理安全確保支援士におけるネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)について学習します。
ネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)
今回はインターネットのプロトコルのなかでも、特に有名なTCP・UDP・ICMPについて学んでいきましょう。
TCPとは
TCP(Transmission Control Protocol)は、通信の開始時に3ウェイハンドシェイクと呼ばれる方式が用いられます。
3ウェイハンドシェイクは、以下のように3回に分けてパケットを送りコネクションを確立する方式です。
- SYN:接続元が送信
- SYN/ACK:接続先が返信
- ACK:接続元が送信
ついでに、各パケットの意味も押さえておきましょう。
パケット | 意味 |
ACK (acknowledgement) |
確認応答番号が有効であることを表すパケット。接続開始時に送られるSYNパケット以外のTCPパケットでは常にON(1)である |
FIN (finish) |
TCPの接続開始要求を表すパケット。通信の終了時には接続元と接続先の両方からFINパケットが送られる。 |
PSH (push) |
受信したデータをすぐに上位のアプリケーションに引き渡す必要があることを示すパケット |
RST (reset) |
TCP接続の強制終了や接続拒否を表すパケット |
SYN (synchronize) |
TCPの接続開始要求であることを表すパケット |
URG (urgent) |
緊急で処理すべきデータが含まれていることを表すパケット |
TCPにおいては、受信側から確認応答を待たずに複数のブロックをまとめて送信し、確認応答があった分だけウインドウをずらす方式によってパケットお転送時間を短縮しています。
ウインドウサイズは可変であり、確認応答がない場合は再送処理でデータ回復を行います。
TCPの構成
TCPのヘッダ構成も押さえておきましょう。
TCPヘッダには、送信元ポート番号・あて先ポート番号・シーケンス番号・確認応答番号・コードビット・ウインドウサイズ・チェックサムなどが含まれています。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
送信元ポート番号(16) | あて先ポート番号(16) | ||||||||||||||||||||||||||||||
シーケンス番号(32) | |||||||||||||||||||||||||||||||
確認応答番号(32) | |||||||||||||||||||||||||||||||
データオフセット(4) | 予約(6) | コードビット(6) | ウインドウサイズ(16) | ||||||||||||||||||||||||||||
チェックサム(16) | 緊急ポインタ(16) | ||||||||||||||||||||||||||||||
オプション(可変長) | パディング(可変長) |
UDPとは
UDP(User Datagram Protocol)は、コネクションレス型のためTCPのような通信確立の手続きや応答確認がありません。
直接データグラムが創出されるため、TCPよりも信頼性は落ちてIPアドレスの偽装なども簡単になります。
UDPの構成
UDPのヘッダには送信ポート番号・あて先ポート番号・パケット長・チェックサムくらいしか含まれません。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
送信元ポート番号(16) | あて先ポート番号(16) | ||||||||||||||||||||||||||||||
パケット長(16) | チェックサム(16) |
ICMPとは
ICMP(Internet Control Message Protocol)は、IP通信において発生したエラー情報や制御情報を通知するためのプロトコルです。
TCPやUDPと異なり、IPと同じネットワーク層に位置付けられています。
ICMPのタイプとコードの組み合わせで内容が決まるので、一通り確認しておきましょう。
タイプ | コード | 内容 |
0 | 0 | エコー応答 |
3 | 0 | ネットワーク到達不能 |
1 | ホスト到達不能 | |
2 | プロトコル到達不能 | |
3 | ポート通達不能 | |
4 | フラグメント化が必須。DFビットが設定済み | |
4 | 0 | 発信規制(エラーメッセージ) |
5 | 0 | ネットワークに関してのルート変更 |
1 | ホストに関してのルート変更 | |
2 | 特定のToS(Type Of Sercive)を要求するネットワークに関してのルート変更 | |
3 | 特定のToSを要求するホストに関してのルート変更 | |
8 | 0 | エコー要求 |
9 | 0 | ルータ通知 |
10 | 0 | ルータ選択 |
11 | 0 | 時間経過 |
12 | 0 | パラメタ異常 |
13 | 0 | タイムスタンプ要求 |
14 | 0 | タイムスタンプ応答 |
15 | 0 | 情報要求 |
16 | 0 | 情報応答 |
17 | 0 | アドレスマスクの要求 |
18 | 0 | アドレスマスクの応答 |
ICMPの構成
ICMPの構成は、IPヘッダ・タイプ・コード・チェックサム・ICMPデータからなります。
IPヘッダ | タイプ(8) | コード(8) | チェックサム(16) | ICMPデータ |
ネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問1
TCPのコネクション確立方式である3ウェイハンドシェイクを表す図はどれか。(H.28/秋)
ア
イ
ウ
エ
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問2
IPの上位階層のプロトコルとして,コネクションレスのデータグラム通信を実現し,信頼性のための確認応答や順序制御などの機能をもたないプロトコルはどれか。(H.26/秋)
ア ICMP
イ PPP
ウ TCP
エ UDP
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
問3
IPv4において,IPパケットで送られているデータが,ICMPメッセージであることを識別できるヘッダ情報はどれか。(H.30/春)
ア IPヘッダのプロトコル番号
イ MACヘッダのイーサタイプ値
ウ TCPヘッダのコントロールフラグ
エ UDPヘッダの宛先ポート番号
(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)
ネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)・まとめ
今回はネットワークプロトコル(TCP・UDP・ICMP)について学習しました。
いずれのプロトコルも有名で頻出なので、必ず押さえておきましょう。
次回は電子メールの仕組みについて学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません