[情報処理安全確保支援士]DNSの機能[無料講座・例題付き]

2022年6月19日

情報処理安全確保支援士 DNS

今回は情報処理安全確保支援士で問われるDNSの機能について学習します。

アカリ
アカリ
DNSもよく聞くんだけど、詳しい仕組みはよくわからないね・・・
トモル
トモル
何回も問合せするって言うイメージだね~

DNSの機能

DNSの機能

DNS(Domain Name System)は、ドメイン名からIPアドレスやその逆の名前解決を行うときに用いられます。

DNSの仕組みを実現する主要な機能や要素について確認していきましょう。

リゾルバ

リゾルバは、ドメイン名からIPアドレスを検索したり、その逆としてIPアドレスからドメイン名を検索したりして名前解決を行う仕組みです。

リゾルバにはスタブリゾルバ(Stub Resolver)と、フルサービスリゾルバ(Full-Service Resolver)があります。

スタブリゾルバは、一般的なPCのOSなどに搭載されている機能であって、フルサービスリゾルバに対して要求を出し、その結果を受け取ることによって名前解決をします。

フルサービスリゾルバについては後述します。

コンテンツサーバ

DNSサーバにはコンテンツ機能キャッシュ機能の2つがあります。

1台のDNSサーバでこれらの機能の両方を提供することも可能ですが、機能ごとにサーバを分割することが多いです。

コンテンツ機能を提供するDNSサーバはコンテンツサーバ権威DNSサーバ権威サーバゾーンサーバなどと呼ばれます。

それらの当該サーバが管理するドメインの情報を登録し、リゾルバからの非再帰的な名前解決要求に対して、自分で管理しているドメイン内の名前解決にだけ応じます。

キュー
キュー
この辺りは基本情報・応用情報の復習やな

キャッシュサーバ

キャッシュサーバは、リゾルバからの再帰的な問合せに対して、必要に応じて他のDNSサーバに問合せを行い、その結果を問合せ元のリゾルバに返します。

そして、名前解決した名前は一定時間キャッシュに保存して再利用します。

問合せ元のアドレスや、問合せ対象ドメインに制限はなく、名前解決要求に応じるDNSサーバはオープンリゾルバと呼ばれます。

オープンリゾルバに関しては、DNSキャッシュポイズニング攻撃やDNSリフレクション攻撃(DNS amp 攻撃)に対して脆弱性があります。

DNSのコンテンツ機能とキャッシュ機能

リソースレコード

DNSサーバで登録する情報はリソースレコードと呼ばれます。具体的なリソースレコードは以下のようなものが挙げられます。

名称 概要
Aレコード ホスト名に対応するIPアドレス(IPv4)
AAAAレコード ホスト名に対応するIPアドレス(IPv6)
CNAMEレコード ホスト名の別名
MXレコード メールサーバのホスト名
NSレコード DNSサーバのホスト名
SOAレコード プライマリDNSサーバのホスト名で、DNSサーバの動作に関する情報など
PTRレコード ホスト名の別名逆引き
TXTレコード ホスト名に対するテキスト情報
OPTレコード EDNS0に関する情報など
CAAレコード 当該ドメインの証明書の発行を許可する承認局

DNSラウンドロビン

DNSラウンドロビンは、あらかじめ1つのドメイン名に複数のIPアドレスを割り振り、リクエストごとにそれらのIPアドレスを振り分けることで、負荷分散する技術のことです。

DNSラウンドロビンでは、専用のロードバランサなど用意しなくても、DNSサーバでの設定のみで容易に実現できるメリットがあります。

一方で、リクエストごとに接続するサーバが変わるという特性があり、通信の継続性が失われ、セッション管理などで問題が生じる可能性もあります。

また、サーバの障害なども検知できないため、障害が発生しているサーバにリクエストを振り分けてしまうという問題もあります。

ダイナミックDNS

ダイナミックDNS(DDNS)は、RFC2136で規定されたDynamic Updates in the Domain Name Systemの頭文字で、本来は静的な情報として管理されているIPアドレスとホスト名の対応を動的に更新する仕組みです。

DDNSによって、一般家庭のPCなど、ISPからIPアドレスを動的に付与される環境においてもホスト名を一定に保つことが実現できます。

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DNSの機能・例題

実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。

問1

DNSに関する記述のうち,適切なものはどれか。(H.28/秋)

ア DNSサーバに対して,IPアドレスに対応するドメイン名,又はドメイン名に対応するIPアドレスを問合せるクライアントソフトウェアを,リゾルバという。

イ 問合せを受けたDNSサーバが要求されたデータをもっていない場合に,他のDNSサーバを参照先として回答することを,ゾーン転送という。

ウ ドメイン名に対応するIPアドレスを求めることを,逆引きという。

エ ドメイン名を管理するDNSサーバを指定する資源レコードのことを,CNAMEという。

(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)

問1の正解を表示

問1の解説を表示

それぞれの選択肢についてみていきましょう。

ア DNSサーバに対して,IPアドレスに対応するドメイン名,又はドメイン名に対応するIPアドレスを問合せるクライアントソフトウェアを,リゾルバという。

→リゾルバ(Resolver)は、利用者からの名前解決要求に対してDNSサーバに問合せを行い、その結果を利用者に返すクライアントソフトウェアです。したがって正しいです。

イ 問合せを受けたDNSサーバが要求されたデータをもっていない場合に,他のDNSサーバを参照先として回答することを,ゾーン転送という。

→ゾーン転送は、プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバの間で行われる名前解決情報(ゾーン情報)の同期処理のことです。選択肢についてはは反復問合せに該当するので誤りです。

ウ ドメイン名に対応するIPアドレスを求めることを,逆引きという。

→ドメイン名に対するIPアドレスを求めることは正引きで、IPアドレスに対するドメイン名を求めることが逆引きです。したがって誤りです。

エ ドメイン名を管理するDNSサーバを指定する資源レコードのことを,CNAMEという。

→ドメイン名を管理するDNSサーバを指定する資源レコードはNSレコードです。CNAMEはホスト名にエイリアス(別名)を設定するためのレコードです。

これより、アが正解です。

問2

DNSの再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp)の踏み台にされることを防止する対策はどれか。(H.27/春)

ア DNSキャッシュサーバとコンテンツサーバに分離し,インターネット側からDNSキャッシュサーバに問合せできないようにする。
イ 問合せされたドメインに関する情報をWhoisデータベースで確認する。
ウ 一つのDNSレコードに複数のサーバのIPアドレスを割り当て,サーバへのアクセスを振り分けて分散させるように設定する。
エ 他のDNSサーバから送られてくるIPアドレスとホスト名の対応情報の信頼性をディジタル署名で確認するように設定する。

(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)

問2の正解を表示

問2の解説を表示

DNS ampは、公開DNSキャッシュサーバの脆弱性をついて、踏み台として悪用することで行われるDDoS攻撃(分散型サービス妨害)の一つです。

具体的な攻撃手順は以下の通りです。

攻撃手順
  1. 攻撃者は、脆弱性のある複数の公開DNSキャッシュサーバをターゲットとして、送信元を攻撃対象としたDNSクエリをボットを経由して発行
  2. クエリを受け取ったDNSキャッシュサーバは、クエリの送信元に設定されている攻撃対象に対して応答パケットを一斉に送信
  3. 大量の応答パケットを受け取った攻撃対象やそれが属するネットワークは、パケットによる過負荷状態となって、正常なサービスの提供ができなくなる

DNS amp攻撃の踏み台をさけるために、キャッシュサーバとコンテンツサーバを分離したり、利用可能なホストのIPアドレスの範囲を設定したりするなど、DNSキャッシュサーバが不要なクエリを受け取らないようにアクセス制限を施さなければいけません。

それぞれの対策方法を見ていきましょう。

ア DNSキャッシュサーバとコンテンツサーバに分離し,インターネット側からDNSキャッシュサーバに問合せできないようにする。

→インターネットからDNSキャッシュサーバへ問合せできなければ踏み台を避けることができます。したがって正解です。

イ 問合せされたドメインに関する情報をWhoisデータベースで確認する。

→DNS amp攻撃が使うドメインは、不正または架空のもののため、Whoisデータベースでの確認はほとんど無意味です。したがって誤りです。

ウ 一つのDNSレコードに複数のサーバのIPアドレスを割り当て,サーバへのアクセスを振り分けて分散させるように設定する。

→DNSラウンドロビンの説明です。負荷分散はできますが、DNS amp攻撃の有効な対策とはなりません。したがって誤りです。

エ 他のDNSサーバから送られてくるIPアドレスとホスト名の対応情報の信頼性をディジタル署名で確認するように設定する。

→DNSSECに関する説明です。DNSキャッシュポイズニング攻撃には対応できますが、DNS amp攻撃には対応できません。したがって誤りです。

これより、アが正解です。

問3

DNSのMXレコードで指定するものはどれか。(H.27/秋)

ア 宛先ドメインへの電子メールを受け付けるメールサーバ
イ エラーが発生したときの通知先のメールアドレス
ウ 複数のDNSサーバが動作しているときのマスタDNSサーバ
エ メーリングリストを管理しているサーバ

(ログイン後回答すると、ここに前回の正誤情報が表示されます)

問3の正解を表示

問3の解説を表示

MXレコードはMail eXchangeレコードの略で、そのDNSが管理しているドメイン宛てのメールを受け付けるメールサーバを定義するレコードのことです。

メールの送信先をDNSに問い合わせるとMXレコードの値が返されるため、そのメールサーバを宛先IPアドレスに設定してメールを送信することになります。

ア 宛先ドメインへの電子メールを受け付けるメールサーバ

→MXレコードはそのドメインのメールサーバを指定するリソースレコードです。したがって正解です。

イ エラーが発生したときの通知先のメールアドレス

→DNSでは管理者のメールアドレスをSOAレコードで指定します。したがって誤りです。

ウ 複数のDNSサーバが動作しているときのマスタDNSサーバ

→マスタDNSサーバもSOAレコードで指定します。したがって誤りです。

エ メーリングリストを管理しているサーバ

→MXレコードは、メーリングリストを管理するサーバではありません。

これより、アが正解です。

DNSの機能・まとめ

今回はDNSの機能について学習しました。

DNSの機能は基本情報・応用情報でも問われる分野なので覚えている方は多いかと思いますが、支援士試験では攻撃と絡めて出題されます。

どのようにして対策するかも押さえておきましょう。

トモル
トモル
レコードが多すぎて覚えられないよ~・・・
キュー
キュー
過去問を数回解けば出るところは見えて来るで!

次回はHTTPに用いられる技術について学習します。


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