[日商簿記検定試験]簿記に4級ってあるの?初級との違いは?
日商簿記検定試験と言うと、3級~1級までがメジャーかなと思います。
しかし、実はその下に簿記初級と呼ばれる級が存在しています。また、以前は簿記4級も存在していました。
今回はこの簿記4級及び初級について解説します。
簿記4級から簿記初級へ
日商簿記3級以上は多くの方が耳にしたことがあると思います。
しかし、簿記4級を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか。
それもそのはずで、簿記4級は2017年2月に廃止されており、それ以降は簿記初級と呼ばれる資格に生まれ変わりました。
理由としては諸説ありますが、簿記4級の時点では年間でも2~3,000人と非常に少なく、取る人がほとんどいませんでした。
試験で得られる知識も断片的で簡易すぎるため、実務において活きる場面が少なく、受験するメリットが少なかったというのが実情です。
簿記初級はどんな資格?
それではあらためて、生まれ変わった簿記初級について解説します。
出題範囲・配点
簿記初級の試験内容は主に
と言った、経理業務の中でも基礎中の基礎について学習します。
配点としては
大問 | 内容 | 得点 |
第1問 | 理論問題 | 30点 |
第2問 | 仕訳問題 | 40点 |
第3問 | 試算表問題 | 30点 |
となっており、合計70点を超えることで合格となります。
多くの資格では合格ラインが60点の事も多く、それなりに取らないと合格できないと言った点を押さえておきましょう。
合格率
簿記初級の合格率についても見てみましょう。2016年度までの簿記4級のデータも掲載します。
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年4月1日~2020年3月31日 | 4,284名 | 2,545名 | 59.4% | |
2018年4月1日~2019年3月31日 | 4,182名 | 2,421名 | 57.9% | |
2017年4月1日~2018年3月31日 | 4,167名 | 2,243名 | 53.8% | |
回 | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
145(2017.2.26) | 661名 | 527名 | 135名 | 25.6% |
144(2016.11.20) | 575名 | 429名 | 178名 | 41.5% |
143(2016.6.12) | 776名 | 627名 | 309名 | 49.3% |
引用元:受験者データ
こうしてみると、簿記初級になってから合格率が上がったように見えますね。
また、受験者数も増えているので、今後知名度が上がっていくことが期待できます。
簿記史上初のCBT
簿記試験は今までペーパーテストが主流でした。
しかしIT化の促進が図られている昨今において、今後多くの試験がペーパーレステストからコンピュータ・ベースド・テスト(CBT)へと移行していくとされています。
その先駆けとして簿記初級はCBT形式になっています。
出願についてもインターネットでの出願となっています。以下のページにある流れに沿って出願できるので、のぞいてみてください。
試験は随時行われています。簿記3級や2級の様に決められた日程ではなく、受験者が任意のタイミングで選べるのでその点も確認しておきましょう。
また、試験結果もすぐに表示されるので、その場で合否が分かります。自己採点をする手間がかからなかったり、合格発表まで待つ必要がない点も嬉しいですね。
試験には他の試験と異なり、紙や筆記用具を持ち出すことができません。
また、CBTなので慣れないところもあるかと思います。画面を行き来している際に参照にする箇所や入力する箇所、入力する値などは間違えないよう心掛けてください。
簿記初級のメリットは?
では、簿記初級を取得できればどのようなメリットを得られるのでしょうか。
メリットについても確認しておきましょう。
簿記3級へつながる
上位資格である日商簿記3級は企業からの評価も高く、就職や転職に有利です。
多くのサイトでは日商簿記3級は簡単と書かれていますが、実務経験が無い場合簡単とは言い難いです。
初級で仕訳や簿記に関する基礎知識を押さえて置き、ワンクッション置くことで簿記3級までの敷居を下げられるので、将来的に簿記3級以上を取得予定の場合はその足掛けとしておすすめです。
CBT化した3級・2級の練習になる
2021年度より日商簿記3級や2級もCBTで受けられるようになりました。
ただCBT形式のテストは慣れていないと時間がかかってしまい、操作に慣れるだけで試験が終わってしまった・・・なんてこともあります。
簿記試験とCBTは正直相性が悪いと筆者は思っており慣れが必要なので、そのウォーミングアップとして簿記初級を受けておくのもCBT対策の選択肢の1つとしてアリだと思います。
以下の記事では簿記試験がCBTになったことによるメリットや注意点なども解説しているので参考にしてください。
残念ながら就職にはそこまで有利ではない
日商簿記初級は3級や2級と比較すると受験者数も求人数も非常に少ないです。
そのため、簿記初級の資格を取ったからそのまま経理職へ、事務職へすぐに就職できるわけではないと考えておきましょう。
簿記の資格を就職に活かしたい!と言う場合は3級、可能であれば2級まで取得しておくことをおすすめします。
簿記初級のおすすめテキスト
簿記初級の勉強にあたっては、特に通信講座などもなく独学で十分合格可能です。
その際、テキストは必要なので以下の2冊をメインテキストとして用意しておきましょう。
スッキリわかる日商簿記初級
資格の予備校の中でも大手である、TACから出版されているのがスッキリわかる日商簿記初級です。
内容としては各論点をキャラクターを通して解説しているのでわかりやすく、今まで簿記に触れたことがない方でも抵抗なく読める事でしょう。
また、テキストに加えて章末問題も充実しています。インプットとアウトプットを効率的に繰り返せるので定着の観点からも良いですね。
土日で合格る(うかる)日商簿記初級
TACと肩を並べる簿記通信講座の総本山、資格の大原から出版されているのがこちらの土日で合格る(うかる)日商簿記初級になります。
オリジナル模試も充実しており、問題数をとにかくこなしたい!と言う方におすすめです。
土日で受かると言うタイトルですが、一朝一夕に解けきれるものでもないのでしっかりとスケジュール管理を怠らず、計画的に勉強しましょう。
簿記初級まとめ
今回は簿記初級について解説しました。
簿記初級も4級もそこまで難易度は高くありませんが、その分知名度も低く就職に決して有利とは言えません。
一方で簿記についての基礎を学べるため、簿記知識の基礎を知りたい方におすすめです。
と言った方は受験を検討してみてください。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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