[日商簿記3級]固定資産を売却したときの処理[無料講座・例題付き!]

2019年8月26日

日商簿記3級 固定資産を売却したときの処理

今回は日商簿記3級固定資産の売却について学習します。

チョロ
チョロ
車を新しいのに買い替えようと思うんでチュけど、今まで減価償却してきた車を売る場合はどんな処理をすればいいでチュ?
モナ
モナ
固定資産を売る場合は現在の価格と売値の違いから損したか得したかも計上するニャ!

固定資産の売却

固定資産を売却するときは、今まで減価償却してきた分を取得原価から引き、その額と実際に売れた額を比較して得をしたか損をしたかで判断します。

得をした場合は収益の発生という事で固定資産売却益を、損をした場合は費用の発生という事で固定資産売却損を用います。

得をした場合

得をした場合、言い換えると収益が発生したことになりますね。

収益の発生は貸方に記載するのでした。

借方 金額 貸方 金額
固定資産売却益
(収益の発生↑)
〇〇〇

損をした

損をした場合、言い換えると費用が発生したことになります。

費用の発生は借方への記載となります。

借方 金額 貸方 金額
固定資産売却損
(費用の発生↑)
〇〇〇

期初に固定資産を売却した場合

実際に固定資産を売却した場合を見ていきます。

令和3年4月1日 ひまわり商事は車両運搬具(取得原価1,000,000円、減価償却累計額300,000円、間接法で記帳)を750,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。なお、ひまわり商事の会計期間は4月1日から3月31日までの1年である。

これまでの知識を用いると・・・

車両運搬具を手放すことになるので貸方に、将来お金を得られる権利である未収入金がその分入るので借方に記載します。

借方 金額 貸方 金額
未収入金
(資産の増加↑)
750,000 車両運搬具
(資産の減少↓)

固定資産を売却した場合

固定資産を売却した場合、その固定資産はなくなります。その為今まで計上していた減価償却累計額に関しても減らすことになります。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 750,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却累計額
(マイナスの資産の減少↓)
300,000

そして貸借差額を求めます。今回の場合、借方の合計が750,000+300,000で1,050,000円、貸方が1,000,000円なので借方の方が50,000円多いことになります。

簿記は左右のバランスに命を懸けており、今回の場合だと貸方が50,000円少ないことになるので、金額のところに先に50,000円を記載してしまいましょう。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 750,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却累計額
(マイナスの資産の減少↓)
300,000 50,000

ここで貸方に来る科目は収益だったか費用だったかを思い出します。

貸方の場合は収益になるので、固定資産売却益を用います。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 750,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却累計額 300,000 固定資産売却益
(収益の発生↑)
50,000
カズ
カズ
ざっくりかみ砕いて解釈すると、1,000,000円の車が経年劣化で300,000円分価値が減って、700,000円の価値になったんだけど、750,000円で売れたから合計50,000円得したって考えられるね!

ここで余談ですが、売れた金額が750,000円ではなく650,000円だったと考えましょう。

すると仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 650,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却累計額 300,000
固定資産売却損
(費用の発生↑)
50,000

この場合は700,000円の価値がある車が650,000円でしか売れなかったので50,000円の損が発生していると解釈できます。

期中・期末に固定資産を売却したときの仕訳

先ほどは期初に固定資産を売却しており、スムーズに処理が進みました。

ただし期中や期末に固定資産を売却する場合は途中まで減価償却費を月割で計算しなければいけません。

令和3年11月30日 ひまわり商事は令和2年4月1日に購入した建物(取得原価900,000円、期首の減価償却累計額300,000円、減価償却方法は定額法、残存価格は0円、耐用年数は3年、間接法で記載)を350,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

なお、ひまわり商事の会計期間は4月1日から3月31日までの1年である。

これまでの知識を用いると・・・

これまでの知識で減価償却累計額と建物の取得原価、売値はそのまま記載して良いことが分かっています。

借方 金額 貸方 金額
未収入金
(資産の増加↑)
350,000 建物
(資産の減少↓)
900,000
減価償却累計額
(マイナスの資産の減少↓)
300,000

期中までの減価償却

固定資産を期中や期末に売却した場合、当期の売却するまでに使った分の減価償却費を月割で計算し計上します。

今回は4月1日から11月30日までの8ヵ月間なので、8ヵ月分の減価償却費を計上します。

期首 売却 期末
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
8ヵ月分

年間の減価償却費は\(900,000÷3 = 300,000 \)でより、300,000円

8ヵ月分の減価償却費は\(300,000×\frac{8}{12} = 200,000\)より、200,000円となります。

まずはこの分の計上をしましょう。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 350,000 建物 900,000
減価償却累計額 300,000
減価償却費
(費用の発生↑)
200,000

そして貸借差額を求めます。

借方が850,000円、貸方が900,000円なので借方が50,000円不足していることが分かりますね。

借方に来る場合は固定資産売却損を用いるのでした。

借方 金額 貸方 金額
未収入金 350,000 建物 900,000
減価償却累計額 300,000
減価償却費 200,000
固定資産売却損
(費用の発生↑)
50,000
ラク
ラク
ついに4段突破しちまったな・・・!
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固定資産の売却・例題

実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。

問題

次の仕訳をせよ。

金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。

(例:現金 500、商品 1,000,000)

使える勘定科目は以下のものとする。

なお、会計期間は4月1日から3月31日までの1年である。

勘定科目:[建物][備品][未収入金][減価償却累計額][減価償却費][固定資産売却益][固定資産売却損]

問1

期首において、建物(取得原価1,200,000円、期首の減価償却累計額720,000円、間接法で記帳)を500,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

借方 金額 貸方 金額

(資産)

(資産)

(マイナスの資産)

(収益)

問2

期末において、備品(取得原価9,000円、期首の減価償却累計額4,050円、間接法で記帳)を4,800円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。この備品の減価償却方法は定額法(残存価格:取得原価の10%、耐用年数:30年)で、当期分の減価償却費の計上もあわせて行う。

借方 金額 貸方 金額

(資産)

(資産)

(マイナスの資産)

(収益)

(費用)

解説(クリックで展開)

固定資産の売却・まとめ

固定資産は取得時、毎期末、売却時にそれぞれ独特な計算方法を行い、簿記3級の中でも最も受験生が苦手とする箇所になります。

完璧に理解できるまで繰り返し問題を解いてここを得点源にできるようにしましょう!

カズ
カズ
減価償却費が解けるようになったら他はもう怖いものなし!

次回からはその他の費用について掘り下げて学習していきます。


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