[日商簿記3級]商品有高帳への記入[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記3級の商品有高帳について学習します。
商品有高帳
ビジネスを行う上で商品の在庫管理は非常に重要な作業で、この商品在庫を記録していく帳簿のことを商品有高帳と言います。
商品有高帳をしっかりと付けておくことでいくらで仕入れたか、いくらで売り上げたか、また、何の商品がいくつ足りなくなってしまった(紛失した)かなども把握することができるようになります。
商品有高帳は商品の種類別に仕入、売上などをその都度、数量・単価・金額に関して記録していき、商品の増減や在庫を管理していきます。
同じ商品に関して、仕入れる時期により仕入単価が異なることがあり、仕入単価の異なる商品を売り上げた時はいくらの仕入れ単価の物を売り上げたかによって商品有高帳の払い出し欄に記入する金額が異なってきます。
また、この時売り上げた商品1個当たりの仕入原価のことを払出単価と呼び、払出単価の決め方にはいくつかパターンがあります。
日商簿記3級では先入先出法(First In Firest Out)と移動平均法の2種類があります。
商品有高帳の作成
それではさっそく、問題を通して商品有高帳の作成方法を学んでいきましょう。
今月の商品(ひまわりの種)の仕入れと売上の状況は次のとおりである。
5月1日 前月繰越 20個 @13円
7日 仕入 10個 @10円
13日 売上 15個 @18円(売値)
19日 仕入 15個 @16円
26日 売上 20個 @20円(売値)
商品有高帳への記入
実際に記入していきますが、先ほど紹介したように、先に受け入れたものから先に払いだしたと仮定する先入先出法と、商品の受け入れの都度、平均単価を計算する平均移動法があります。
先入先出法
最初に先入先出法から見ていきましょう。
単価が違う商品を受け入れた場合、分けて記入していくのが特徴です。
商品有高帳
ひまわりの種
日付 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | |||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
5 | 1 | 前月繰越 | 20 | 13 | 260 数量×単価 |
20 | 13 | 260 | |||
7 | 仕入 | 10 | 10 | 100 | 20 前回(5月1日)受入分 |
13 | 260 | ||||
10 今回(5月7日)受入分 |
10 | 100 | |||||||||
13 | 売上 | 15 先に受け入れた方から払出 |
13 | 195 | 5 (20-15)個 |
13 | 65 | ||||
10 | 10 | 100 | |||||||||
19 | 仕入 | 15 | 16 | 240 | 5 | 13 | 65 | ||||
10 | 10 | 100 | |||||||||
15 今回(5月19日)受入分 |
16 | 240 | |||||||||
26 | 売上 | 5 | 13 | 65 | |||||||
10 先に受け入れた分をすべて払い出したためその次に受け入れた分を払い出し |
10 | 100 | |||||||||
5 | 16 | 80 | 10 | 16 | 160 | ||||||
31 | 次月繰越 | 10 | 16 | 160 | |||||||
合計 受入払出の数量金額はそれぞれ一致する |
45 | – | 600 | 45 | – | 600 | |||||
6 | 1 | 前月繰越 | 10 | 16 | 160 | 10 | 16 | 160 |
平均移動法
次に平均移動法を見ていきます。平均移動法ではその都度平均単価を計算し、それを払出単価としています。
日付 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | |||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
5 | 1 | 前月繰越 | 20 | 13 | 260 | 20 | 13 | 260 1行目は先入先出法と同じ |
|||
7 | 仕入 | 10 | 10 | 100 | 30 数量・金額は合算で記載、平均単価は金額÷個数 |
12 | 360 | ||||
13 | 売上 | 15 | 12 払出単価は直近の残高の単価と一致 |
180 | 15 | 12 | 180 | ||||
19 | 仕入 | 15 | 16 | 240 | 30 | 14 | 420 | ||||
26 | 売上 | 20 | 14 | 280 | 10 | 14 | 140 | ||||
31 | 次月繰越 | 10 | 14 | 140 | |||||||
45 | – | 600 | 45 | – | 600 | ||||||
6 | 1 | 前月繰越 | 10 | 14 | 140 | 10 | 14 | 140 |
払出金額の合計は売上原価
商品有高帳の単価や金額は全て仕入原価で行われます。そのため、売り上げた価格と欄に記入される価格は異なっており、欄に記入されている金額の合計が売上原価となります。
売上原価を算出できたら、後は売り上げた合計金額(売上高)から払出欄の合計金額を差し引くことで売上総利益を計算することが可能です。
今回の場合であれば売上高は13日と26日の売値×数量の合計から、15×18+20×20=670円となります。
先入先出法の場合売上原価は440円なので、売上純利益は670-440=230円
移動平均法の場合売上原価は460円なので、売上純利益は670-460=210円となります。
このように、払い出し単価の決め方によってその月ごとの利益も異なってきます。
商品有高帳・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
次の資料にもとづいて、問1は先入先出法で、問2は移動平均法で商品有高帳の記入を行いなさい。なお、商品有高帳の締め切りまで行うこと。
回答ボタンは各行の右側にある。
また、数字に関しては全て半角で3桁ごとにカンマ区切りを入れること。
1月1日 前月繰越 50個 @200円
1月3日 仕入 100個 @212円
1月9日 売上 90個 @345円(売値)
1月18日 仕入 120個 @214円
1月27日 売上 110個 @340円
問1
先入先出法
商品有高帳
商品X
日付 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | 回答ボタン | |||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||||
1 | 1 | 前月繰越 |
|
|||||||||
3 | 仕入 | |||||||||||
|
||||||||||||
9 | 売上 | |||||||||||
|
||||||||||||
18 | 仕入 | |||||||||||
|
||||||||||||
27 | 売上 | |||||||||||
|
||||||||||||
31 | 次月繰越 |
|
||||||||||
– | – |
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||||||||||
2 | 1 | 前月繰越 |
|
問2
移動平均法
商品有高帳
商品X
日付 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | 回答ボタン | |||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||||
1 | 1 | 前月繰越 |
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|||||||||
3 | 仕入 |
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||||||||||
9 | 売上 |
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18 | 仕入 |
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27 | 売上 |
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31 | 次月繰越 |
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– | – |
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2 | 1 | 前月繰越 |
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解説(クリックで展開)
商品有高帳・まとめ
今回は商品有高帳に関して学習をしました。
先入先出法と移動平均法は今後もよく登場する概念なので、ここでしっかりと基礎としてマスターしてしまいましょう!
次回は手形記入帳について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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