[日商簿記2級(商業簿記)]株主資本等変動計算書[無料講座]
今回は日商簿記2級における株主資本等変動計算書について学習します。
株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、純資産(株主資本および評価・換算差額等)の変動を表す財務諸表で、貸借対照表の純資産の部に関して項目ごとに当期首残高・当期変動額・当期末残高を記載します。
貸借対照表・純資産の部
負債合計 | (省略) | 11,500 |
Ⅰ 株主資本 | ||
1. 資本金 | 5,500 | |
2. 資本剰余金 | ||
(1)資本準備金 | 800 | |
(2)その他資本準備金 | 200 | 1,000 |
3. 利益剰余金 | ||
(1)利益準備金 | 750 | |
(2)別途積立金 | 250 | |
(3)繰越利益剰余金 | 500 | 1,500 |
株主資本合計 | 8,000 | |
Ⅱ 評価・換算差額等 | ||
1. その他有価証券評価差額券 | 500 | |
評価・換算差額等合計 | 500 | |
純資産合計 | 8,500 | |
負債及び純資産合計 | 20,000 |
貸借対照表から株主資本等変動計算書へ移動させると以下の通りになります。
株主資本等変動計算書
自×5年4月1日 至×6年3月31日
株主資本 | 評価・換算差額等 | 純資産合計 | ||||||||||
資本金 | 資本剰余金 | 利益剰余金 | 株主資本合計 | その他有価証券評価差額金 | 評価・換算差額等合計 | |||||||
資本準備金 | その他資本剰余金 | 資本剰余金合計 | 利益準備金 | その他 利益剰余金 |
利益剰余金合計 | |||||||
別途積立金 | 繰越利益剰余金 | |||||||||||
当期首残高(A) | 5,300 | 600 | 200 | 800 | 710 | 190 | 450 | 1,350 | 7,450 | 300 | 300 | 7,750 |
当期変動額(B) | ||||||||||||
新株の発行 | 200 | 200 | 200 | 400 | 400 | |||||||
剰余金の配当等 | 40 | 60 | △300 | △200 | △200 | △200 | ||||||
当期純利益 | 350 | 350 | 350 | 350 | ||||||||
株主資本以外の項目の当期変動額 | 200 | 200 | 200 | |||||||||
当期変動額合計 | 200 | 200 | 200 | 40 | 60 | 50 | 150 | 550 | 200 | 200 | 750 | |
当期末残高(C) | 5,500 | 800 | 200 | 1,000 | 750 | 250 | 500 | 1,500 | 8,000 | 500 | 500 | 8,500 |
(A)当期首残高
(A)当期首残高の項目には当期首時点での各項目の残高を記入していきます。
(B)当期変動額
(B)当期変動額には当期の株主資本等(純資産)の変動額を記入していきます。
なお、株主資本の当期変動額は変動要因(新株の発行・剰余金の配当等・当期純利益など)に分けて記載していきますが、株主資本以外(評価・換算差額等)の当期変動額は純額で記入します。
株主資本等変動計算書には、純資産の部の変動額のみを記入し、それ以外の資産や負債の項目における変動額については記入しません。
また、純資産の減少に関しては、金額の前に△を付します。
1.当期変動額の記入
具体的な例を通しながら見てみましょう。
(問1)新株を発行し、次の仕訳を行った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金 | 400 | 資本金 | (a)200 |
資本準備金 | (b)200 |
(問2)剰余金の配当等をしたさい、次の仕訳を行った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
繰越利益剰余金 | (e)300 | 未払配当金 | 200 |
利益準備金 | (c)40 | ||
別途積立金 | (d)60 |
(問3)決算において当期純利益が計算され、次の仕訳を行った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
損益 | 350 | 繰越利益剰余金 | (f)350 |
(問4)その他有価証券につき、次の評価替えの仕訳を行った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
その他有価証券 | 200 | その他有価証券評価差額金 | (g)200 |
それぞれの純資産の動きを反映させると以下の表のようになります。
株主資本等変動計算書
自×5年4月1日 至×6年3月31日
株主資本 | 評価・換算差額等 | 純資産合計 | ||||||||||
資本金 | 資本剰余金 | 利益剰余金 | 株主資本合計 | その他有価証券評価差額金 | 評価・換算差額等合計 | |||||||
資本準備金 | その他資本剰余金 | 資本剰余金合計 | 利益準備金 | その他 利益剰余金 |
利益剰余金合計 | |||||||
別途積立金 | 繰越利益剰余金 | |||||||||||
当期首残高(A) | 5,300 | 600 | 200 | 800 | 710 | 190 | 450 | 1,350 | 7,450 | 300 | 300 | 7,750 |
当期変動額(B) | ||||||||||||
新株の発行 | (a)200 | (b)200 | 200 | 400 | 400 | |||||||
剰余金の配当等 | (c)40 | (d)60 | (e)△300 | △200 | △200 | △200 | ||||||
当期純利益 | (f)350 | 350 | 350 | 350 | ||||||||
株主資本以外の項目の当期変動額 | (g)200 | 200 | 200 | |||||||||
当期変動額合計 | 200 | 200 | 200 | 40 | 60 | 50 | 150 | 550 | 200 | 200 | 750 | |
当期末残高(C) | 5,500 | 800 | 200 | 1,000 | 750 | 250 | 500 | 1,500 | 8,000 | 500 | 500 | 8,500 |
それぞれの合計の箇所には各項目の数値を合算したものを記入します。
2.当期変動額合計の記入
項目ごとに当期変動額を合計し、当期変動額合計に記入します。
例えば資本金であれば新株の発行の(a)200円のみなので200円、繰越利益剰余金であれば剰余金の配当等の△200円と当期純利益の350円を足して150円となります。
(C)当期末残高
(C)当期末残高は当期首残高に当期変動額合計を加減して計算します。
例えば資本金であれば当期首残高の5,300円に当期変動額の200円を加え5,500円とします。
最後の純資産合計の箇所で当期首残高に当期変動額合計を加算して合致しなければ、どこかで重複して計算しているので見直しが必要です。
株主資本等変動計算書・まとめ
今回は株主資本等変動計算書について解説しました。仕訳がしっかりとできれば後は穴埋め問題なのでそこまで難しくありません。
次回は帳簿の締め切りにおける収益・費用の損益勘定への振替について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
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