[日商簿記2級(商業簿記)]棚卸減耗損と商品評価損の精算表への記入[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記2級の棚卸減耗損と商品評価損の精算表への記入について学習します。
棚卸減耗損と商品評価損の精算表への記入
棚卸減耗損は売上原価に含める場合と含めない場合の2パターンがあります。
一方で商品評価損は売上原価に含めて処理をします。
棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に含める場合
まずは棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に含める場合から見ていきましょう。
売上原価を仕入勘定で算定している場合で、棚卸減耗損や商品評価損を売上原価に含める場合、いったん棚卸減耗損や商品評価損を計上した後に仕入に振り替えます。
期末商品の状況は次のとおりである(期首商品は0円)。なお、売上原価は「仕入」の行で算定し、棚卸減耗損と商品評価損は売上原価に含める。
- 帳簿棚卸高:800円
- 棚卸減耗損:160円
- 商品評価損:80円
決算整理仕訳は以下のようになります。
①期首期末の振替
期首期末の振替は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 0 | 繰越商品 | 0 |
繰越商品 | 800 | 仕入 | 800 |
今回のケースでは期首商品が0円のため、1行目は無くても良いかもしれませんね。
②棚卸減耗損の振替
問題文に棚卸減耗損は売上原価に含めるとあります。
したがって、繰越商品からいったん棚卸減耗損に振り替えた後、仕入勘定へと再振替します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
棚卸減耗損 | 160 | 繰越商品 | 160 |
仕入 | 160 | 棚卸減耗損 | 160 |
③商品評価損の振替
商品評価損も売上原価に含めます。
したがって、繰越商品からいったん商品評価損へと振り替えた後、仕入勘定へと再振替します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
商品評価損 | 80 | 繰越商品 | 80 |
仕入 | 80 | 商品評価損 | 160 |
精算表の流れ
精算表
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
繰越商品 | 0 | 800 | 0 | 540 | ||||
160 | ||||||||
80 | ||||||||
仕入 | 2,000 | 0 | 800 | 1,440 | ||||
160 | ||||||||
80 | ||||||||
×× | ×× | |||||||
棚卸減耗損 | 160 | 160 | ||||||
商品評価損 | 80 | 80 |
※繰越商品からそれぞれの費用へは青で、それぞれの費用から仕入への振替は赤で示しています。また、仕入の2,000円は期中に発生したものです。
棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に含めない場合
次に棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に含めない場合です。
このパターンでは、試験では親切にそれぞれの損失を売上原価に含めないと言った指示ではなく、「棚卸減耗損と商品評価損は精算表上、独立の科目として表示する」と言った表現に変ります。
期末商品の状況は次のとおりである(期首商品は0円)。なお、売上原価は「仕入」の行で算定しする。
ただし、棚卸減耗損と商品評価損は精算表上、独立の科目として表示する。
- 帳簿棚卸高:800円
- 棚卸減耗損:160円
- 商品評価損:80円
決算整理仕訳は以下のようになります。
①期首期末の振替
期首期末の振替は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 0 | 繰越商品 | 0 |
繰越商品 | 800 | 仕入 | 800 |
この仕訳処理は各損失を仕入原価に含める場合と同じ処理ですね。
②棚卸減耗損の振替
次に棚卸減耗損ですが、売上原価に含めません。
したがって、繰越商品からいったん棚卸減耗損に振り替えて終了です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
棚卸減耗損 | 160 | 繰越商品 | 160 |
③商品評価損の振替
商品評価損も売上原価に含めません。
したがって、繰越商品からいったん商品評価損へと振り替え処理だけを行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
商品評価損 | 80 | 繰越商品 | 80 |
精算表の流れ
精算表
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
繰越商品 | 0 | 800 | 0 | 540 | ||||
160 | ||||||||
80 | ||||||||
仕入 | 2,000 | 0 | 800 | 1,200 | ||||
×× | ×× | |||||||
棚卸減耗損 | 160 | 160 | ||||||
商品評価損 | 80 | 80 |
※繰越商品からそれぞれの費用へは青でで示しています。また、仕入の2,000円は期中に発生したものです。
棚卸減耗損と商品評価損の精算表への記入・まとめ
今回は棚卸減耗損と商品評価損の精算表への記入について学習しました。問題文をしっかり読んで売上原価へ算入するべきかどうかをしっかり確認しておきましょう。
次回は精算表問題をこなして行きましょう。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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