[日商簿記2級(商業簿記)]決算時の外貨換算会計[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記2級における決算時の外貨換算会計について学習します。
決算時の外貨換算会計
債権債務を取得したときの為替相場と、決算を迎えたときの為替相場は同じとは限りません。
決算時にはあらためて最新の金額に換算する必要があります。例題を通してみてみましょう。
決算整理前残高試算表
現 金 8,000 売掛金 21,320 |
買掛金 19,350 |
決算整理前残高試算表の資産・負債のうち、外貨建てのものは次のとおりである。なお、決算時の為替相場は1ドル110円である。
資産・負債 | 帳簿価格 | 取引発生時の為替相場 |
現金 | 6,000円(60ドル) | 1ドル100円 |
売掛金 | 12,320円(110ドル) | 1ドル112円 |
買掛金 | 10,350円(90ドル) | 1ドル115円 |
決算時の処理
外貨建ての資産および負債は、取得時または発生時の為替相場であるHR(ヒストリカル・レート)で計上されています。
決算日において外貨建ての資産および負債がある時は、貨幣項目に関しては決算時の為替相場であるCR(カレント・レート)によって換算した金額を貸借対照表に載せます。
貨幣項目とは外国通貨や外貨預金、外貨建ての金銭債権債務が該当します。
分類 | 項目 | |
貨幣項目 | 資産 | ・外国通貨 ・外貨預金 ・売掛金 ・受取手形 など |
負債 | ・買掛金 ・支払手形 など |
|
非貨幣項目 | 資産 | ・棚卸資産 ・前払金 など |
負債 | ・前受金 など |
換算替えの際も為替差損益を用います。
これより、それぞれの項目の換算替えを見てみましょう。
現金の換算替え
現金は貨幣項目なので、決算時の為替相場で換算替えを行います。
現金の換算替えは以下の通りです。
- 帳簿価格:6,000円
- B/S価格:60ドル×110円(CR)=6,600円
- 差額:6,600円-6,000円=600円(増加)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 600 | 為替差損益 | 600 |
売掛金の換算替え
売掛金は貨幣項目なので、決算時の為替相場で換算替えを行います。
売掛金の換算替えは以下の通りです。
- 帳簿価格:12,320円
- B/S価格:110ドル×110円(CR)=12,100円
- 差額:12,100円-12,320円=△220円(減少)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
為替差損益 | 220 | 売掛金 | 220 |
買掛金の換算替え
買掛金も貨幣項目なので、決算時の為替相場で換算替えを行います。
買掛金の換算替えは以下の通りです。
- 帳簿価格:10,350円
- B/S価格:90ドル×110円=9,900円
- 差額:9,900円-10,350円=△450円(減少)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 450 | 為替差損益 | 450 |
決算整理後残高試算表の金額
それぞれの決算整理表の価格は以下の通りです。
- 現金:8,000円+600円=8,600円
- 売掛金:21,320円-220円=21,100円
- 買掛金:19,350円-450円=18,900円
- 為替差損益:(借方)220円/(貸方)600円+450円=1,050円/(差額)1,050円-220円=830円
以上より、決算整理後残高試算表は以下のようになります。
決算整理後残高試算表
現 金 8,600 売掛金 21,100 |
買掛金 18,900 為替差損益 830 |
決算時の外貨換算会計・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
また、仕訳がないときは借方勘定科目に[仕訳なし]と記入すること。
勘定科目:[売掛金][買掛金][商品][為替差損益][仕訳なし]
なお、決算時の為替相場は1ドル105円である。
問1
売掛金期末残高のうち、期中にドル建てで生じた売掛金500ドル(輸出時の為替相場は1ドル108円)がある。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
買掛金期末残高のうち、期中にドル建てで生じた買掛金300ドル(輸出時の為替相場は1ドル110円)がある。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問3
期末商品棚卸高のうち、期中にドル建てで仕入れた商品250ドル(輸入時の為替相場は1ドル107円)がある。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
決算時の外貨換算会計・まとめ
今回は決算時の外貨換算会計ついて学習しました。まずは貨幣項目と非貨幣項目の違いから押さえていきましょう。
次回は取引発生前の為替予約について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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