[FP3級]課税標準の計算(損益通算・損失の繰越)[無料講座・例題付き!]
今回はFP3級の課税標準の計算について学習します。
課税標準の計算
課税標準は税金の課税対象となる所得の合計額を指します。
前回までに学習した10個の所得を、一定のものを除いて合算し、損益通算→合計所得金額を求める→損失の繰越控除の3ステップを行います。
損益通算
課税標準の計算の最初のステップとして、損益通算を行います。
損益通算とは、赤字である損益と黒字である利益を相殺することです。
損益通算できる損失は不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つになります。
ただしその4つの中でも以下のものは損益通算できません。
損益通算できる所得 | 例外 |
不動産所得 | 土地を取得するための借入金の利子 |
事業所得 | なし |
山林所得 | なし |
譲渡所得 | 生活に必要ではない資産の譲渡損失 株式等の譲渡損失 |
合計所得の合算
それぞれの所得を求め、損益通算を行った後にそれぞれの金額を合算します。
ここでの内容は足し引きするだけで、出題頻度も低いので割愛します。
損失の繰越控除
損益通算し、残りの額の合計を求め、その値がマイナスとなった場合、最後のステップとして損失の繰越控除を行います。
損失の繰越控除には純損失の繰越控除と雑損失の繰越控除があります。
純損失の繰越控除
損益通算をしても控除しきれなかった損失額を純損失と呼びます。
青色申告を行う場合、純損失を翌年以降3年にわたって繰越、各年の黒字所得から控除することができます。
例えば次のような例を見てみましょう。
- 当年度に事業所得において1,000万円の損失が発生した。
- 次年度以降、毎年200万円の不動産所得を得られる。
この時の向こう4年間の損益を求めよ
このような場合、表を書いて求めていきます。
当年度 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | |
不動産所得 | 0 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
事業所得 | △1,000万円 | 0 | 0 | 0 | 0 |
繰越控除額 | 0 | △1,000万円 | △800万円 | △600万円 | 0 |
純損失 | △1,000万円 | △800万円 | △600万円 | △400万円 | 200万円 |
備考 | 当年度の純損失△1,000万円を繰越控除額とします。 | 1年後の純損失△800万円を繰越控除額とします。 | 2年後の純損失△600万円を繰越控除額とします。 | 3年間にわたって繰り返したため、以降は繰り越せません。 |
雑損失の繰越控除
雑損失とは主に火災や盗難などによって発生した損失です。
雑損失においても翌年以降3年間にわたって繰り越すことが可能です。
純損失との大きな違いは、雑損失の場合、白色申告者でも適応される点です。
課税標準の計算・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
上場株式を譲渡したことによる損失の金額は、確定申告をすることによって、不動産所得などの他の所得金額と損益通算することができる。(2019年/5月)
○
×
問2
不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき土地等を取得するために要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、損益通算の対象とならない。(2019年/1月)
○
×
問3
Aさんの2019年分の各種所得の金額が下記の<資料>のとおりであった場合、損益通算後の総所得金額は()となる。なお、各種所得の金額に付されている「▲」は、その所得に損失が生じていることを表すものとする。(2019年/9月)
<資料>Aさんの2019年分の各種所得の金額
不動産所得の金額 | 750万円 |
雑所得の金額 | ▲50万円 |
事業所得の金額(株式等に係るものを除く) | ▲150万円 |
1 550万円
2 600万円
3 700万円
解説(クリックで展開)
課税標準の計算・まとめ
今回は課税標準の計算について学習しました。
損益通算ができる所得と、その中でも例外はよく問われるので押さえておきましょう。
次回は所得控除の概要について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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