決算日における固定資産(減価償却費)の処理[日商簿記3級講座]

2019年8月26日

日商簿記3級 決算日における固定資産の処理

今回は日商簿記3級減価償却について学習します。

チョロ
チョロ
期の最初に買った車でチュけど、1年使って結構汚れたり傷が付いたりしてきたでチュ
キュー
キュー
今日は丁度期末やし、減価償却の処理を見ていこか

減価償却費

固定資産は日々使い続けることにより徐々に消耗しその価値を失っていきます。

そこで価値を減らす費用のことを減価償却費と呼びます。

減価償却費は主にその物自体の価値+取得費用を合わせた取得原価と、耐用年数残存価格から計算します。

購入後丁度1年が経過した場合

実際に簡単な例を踏まえながら見ていましょう。

令和3年3月31日 ひまわり商事は当期首(令和2年4月1日)に購入した建物(取得原価3,000,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法、(耐用年数30年、残存価格は取得原価の10%)による。

価値が減った分を費用として計上する

減価償却費の計算方法には定額法、定率法などいろいろありますが、3級で学習するのは定額法になります。

定額法では資産の減少幅は毎年同じと仮定し計算する方法で、取得原価から残存価格を差し引いた金額を耐用年数で割って算出します。

\[減価償却費 = \frac{取得原価 – 残存価格}{耐用年数}\]

今回の問題では取得原価が3,000,000円、残存価値がその10%なので300,000円となり、耐用年数は30なのでそれぞれの値を代入すると、

\[減価償却費 = \frac{3,000,000 – 300,000}{30} = 90,000\]

となりますね。

これが費用として計上されるため、借方に減価償却費を持ってきます。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費
(費用の発生↑)
90,000

減価償却費の相手科目

減価償却費の相手科目の記帳方法としては直接資産の価値を減らす直接法と、減価償却累計額と呼ばれる資産のマイナスの科目を用いる間接法の2つがあります。

簿記3級では間接法を用いるので、この減価償却累計額もあわせて覚えてしまいましょう。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 90,000 減価償却累計額
(負の資産の増加↑)
90,000
キュー
キュー
減価償却累計額も貸倒引当金同様、貸借対照表の借方にマイナスで書くことが多いで

期中に購入した固定資産を減価償却する場合

期の最初に資産を購入した場合は計算も簡単ですが、期中に購入した場合は月割計算と呼ばれる少しややこしい計算をしなければいけません。こちらも例題で見ていきましょう。

令和3年3月31日 決算につき、令和2年12月1日に購入した建物(取得原価3,000,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数30年、残存価格は取得原価の10%)、記帳法は間接法による。

これまでの知識を用いると・・・

前回と同様、減価償却を行うので借方、貸方の勘定科目は変わりません。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 減価償却累計額

期中に取得した固定資産の減価償却

先ほどの問では1年分の減価償却費を計上していましたが、今回は期中に取得しており、その場合は使った期間分だけ月割で計算します。

当期使用分は12月1日~3月31日の4ヵ月なので、その4ヵ月分のみの費用を計上します。

期首 期末
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
4ヵ月分

計算方法としては1年分の減価償却に\(\frac{4}{12}\)をかけて求めることができます。

\[減価償却費 = 90,000 \times \frac{4}{12} = 30,000 \]

これより仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 30,000 減価償却累計額 30,000
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減価償却費・例題

実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。

問題

次の仕訳をせよ。

金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。

(例:現金 500、商品 1,000,000)

使える勘定科目は以下のものとする。

なお、会計期間は4月1日から3月31日までの1年である。

勘定科目:[建物][備品][減価償却累計額][減価償却費]

問1

決算日につき、当期の期首に購入した建物(取得原価1,000,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数30年、残存価格は取得原価の10%)、記帳方法は間接法による。

借方 金額 貸方 金額

問2

決算日につき、当期の期首に購入した備品(取得原価12,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数12年、残存価格は0円)、記帳方法は間接法による。

借方 金額 貸方 金額

問3

決算日につき、当期の10月1日に取得した建物(取得原価1,000,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数8年、残存価格は取得原価の20%)、記帳方法は間接法による。

借方 金額 貸方 金額

解説(クリックで展開)

減価償却費・まとめ

今回は固定資産の減価償却費について学習しました。

月割計算が慣れないと計算ミスを犯してしまうので、慣れないうちはブロックを実際に手で書いて1年のうち何ヵ月分かを計算できるようにしましょう!

カズ
カズ
会社によっては4月から期がスタートしないこともあるから、その辺もしっかり読もう!

次回は固定資産を売却したときの処理です。


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