[日商簿記2級(商業簿記)]サービス業の処理[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記2級におけるサービス業の処理について学習します。
サービス業
商品売買業では商品といった形のある物を介して取引が進みます。
一方、サービス業ではサービスといった形のない物を通して取引が行われます。このように形がない、サービスの事を役務と呼びます。
具体的な取引の流れを例題に基づいてみて行きましょう。
次の取引について仕訳しなさい。
①来月から開講される塾(受講期間1年)の授業料30,000円が当座預金に振り込まれた。
②塾の教材作成費や講師の授業料等10,000円を当座預金より振り込んだ。なお、これらの費用はサービスの提供に直接費やされたものであることが明らかな費用である。
③決算期においては授業の8割が終了している。なお、授業料30,000円はさきに受け取っており、前受金で処理している。また、講座にかかる費用10,000円は仕掛品勘定で処理している。
④その後、全ての講座が終了した
①代金を前受けしたときの仕訳
サービスの提供に先立って代金を前受けした場合、前受金(負債)を用いて処理します。
今回は当座預金に振り込まれているので
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金 (資産の増加↑) |
30,000 | 前受金 (負債の増加↑) |
30,000 |
といった処理になりますね。
②費用を支払ったときの仕訳
サービス業をする場合、サービスを提供した場合には収益を計上しますが、費用がかかった場合には費用もあわせて計上します。
依然としてサービス提供がなされていない場合、仕掛品(資産)を用いて処理を進めます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕掛品 (資産の増加↑) |
10,000 | 当座預金 (資産の減少↓) |
10,000 |
③決済時の仕訳
先ほども触れた通り、サービス業においては役務を提供した際に収益を計上します。
サロンや飲食店といったその場ですぐに役務が終わるものであれば計上は一括で終わるのですが、今回の様に塾や講座などであればサービスがしばらく継続し、決済時を跨ぐことも十分考えられるでしょう。
今回の場合であれば全体の8割が終了しているので、先に受け取った授業料の8割を前受金(負債)から、役務収益(収益)へと振り替えます。
額は30,000円×80%=24,000円となりますね。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前受金 (負債の減少↓) |
24,000 | 役務収益 (収益の発生↑) |
24,000 |
あわせて、計上した収益に対応する分の費用を仕掛品(資産)から役務原価(費用)へと振り替えます。
役務及び仕掛品の額は10,000円×80%=8,000円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
役務原価 (費用の発生↑) |
8,000 | 仕掛品 (資産の減少↓) |
8,000 |
④全役務の提供が終わったとき
決算後、全ての役務の提供(講座)が終了した際には残り2割についての役務収益・役務原価を計上します。
- 役務収益:30,000円×20%=6,000円
- 役務原価:10,000円×20%=2,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前受金 | 6,000 | 役務収益 | 6,000 |
役務原価 | 2,000 | 仕掛品 | 2,000 |
サービス業・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][仕掛品][前受金][役務収益][役務原価]
問1
来月から開講する講座(受講期限1年)の受講料50,000円を現金で受け取った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
講座の教材作成費等30,000円を現金で支払った。金額について、当該講座のために直接費やされたものであるため、仕掛品勘定で処理する。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問3
決算日を迎えた。決算日現在、講座の6割が終了している。なお、当社ではカリキュラムが終了した部分について収益を計上する方法を採用している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
サービス業・まとめ
今回はサービス業での売り上げについて学習しました。特に決算期を挟む場合はどれくらいの割合のサービス提供が終わったかが大事なので、計算できるようにしておきましょう。
次回は手形の裏書きについて学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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