[ITパスポート試験]プロジェクトマネジメント[無料講座・例題付き!]
今回はITパスポートにおけるプロジェクトマネジメントを学習していきましょう。
プロジェクトって何?
会社の事業は基本的に、永久に存続すると言った考えのもとで成り立っているため、期首や期末といった考えはあるものの、その仕事に終わりという概念はありません。
基本的にずっと同じ物やサービスを提供し続けていくことが仕事と言えます。
しかしシステム開発の場合はどうでしょうか。情報システムにおいては要件定義から始まりシステムを導入すると言ったように、明確に開始と終了の期限があります。
そしてシステムごとにその要件に合ったものを作成する必要があります。このように、「決められた期間で」「特定の目的のために」活動することをプロジェクトと呼びます。
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの要求事項を満たすため、知識やスキル、ツールを組合せプロジェクト活動に適用し、決められた期間で達成するための管理手法のことを言います。
PMBOK
プロジェクトマネジメントの知識の集合体をPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)と呼び、これにはプロジェクトマネジメントのノウハウや規格に限らず、過去に実績のあるプロジェクトマネジメントに必要だった手法やスキルが集約されています。
このPMBOKがプロジェクトマネジメントにおける共通認識のための標準用語集として利用されることを目的としており、ITパスポートにおいても度々出題されることがあります。
具体的には以下の10の領域に分類されています。
- 統合マネジメント・・・プロジェクトのさまざまな要素を統合する
- スコープマネジメント・・・プロジェクトに必要な作業を洗い出す
- タイムマネジメント・・・プロジェクトを決められた期間で遂行する
- コストマネジメント・・・プロジェクトの予算内で完了する
- 品質マネジメント・・・プロジェクトに求められる品質を提供する
- 人的資源マネジメント・・・プロジェクトに関与する人的資源を効率的に活用する
- コミュニケーションマネジメント・・・プロジェクト情報の生成や収集、配布、保管、廃棄を確実に行う
- リスクマネジメント・・・プロジェクトのリスクを識別、分析し、対応する
- 調達マネジメント・・・組織外部から物品やサービスを調達する
- ステークホルダマネジメント・・・プロジェクトに関与する人物の調整を行う
色々上げましたが、最終的な管理目標はヒト・モノ・カネ・時間の4つとなっていることをさえておきましょう。
WBS
誰がどの作業をすべきか、その範囲が分からない限りプロジェクトの管理は困難になり、どこまで進んだかといった進捗具合も分かりづらくなります。
やるべき内容や全体像が決まったところで、次にそれを細分化し、最終的に誰にどのくらい割り振るかといった事が明確に分かります。
このように、プロジェクト全体を成果物や作業項目単位に分割したものをWBS(Work Breakdown Structure)と呼び、階層ごとに可視化されているので作業範囲が分かりやすくなります。
WBSの最下層の作業をワークパッケージと呼び、必要なリソースや時間を表すことでプロジェクト全体のリソースや時間を見積もることが可能となります。
管理図
次にスケジュールの作成と管理について見てみます。
スケジュール作成や管理に必要な図を管理図と呼び、具体的には以下の2つがあります。
PERT図
PERT図を考えるときは具体的な例として料理にたとえられることが多いです。
今回、オムライスを作る手順を考えて見てみましょう。
オムライスを作る手順としては大まかにご飯を炒める作業と野菜や肉を炒める作業、卵を作る作業に分けられます。
ここで先に卵を焼いてしまってからご飯を炒めると卵が冷めてしまいますし、先に皿に卵だけ盛り付けることはできません。
このように料理だけでなくプロジェクトでも順序付けが必要になる作業があり、それを整理するためにPERT図(アローダイヤグラム)が必要となってきます。
ここで例えば「準備に取り掛かってから完成までにどれくらい時間がかかるか」といった問題があったとします。
それぞれにかかる時間は以下の様に与えられます。
工程 | 作業内容 | 作業時間(分) |
0→1 | 卵を割って混ぜる | 5 |
0→2 | 肉と野菜を切る | 10 |
0→3 | 米を研ぐ | 3 |
1→6 | 卵を焼く | 2 |
2→4 | 肉と野菜を炒める | 5 |
3→5 | 米を炊く | 15 |
5→4 | 米を混ぜる | 2 |
4→7 | 味を付ける | 2 |
6→8 | 卵を盛り付ける | 3 |
7→8 | 皿に盛りつける | 1 |
8→9 | ケチャップをかける | 5 |
この表を踏まえて0→9の経路を洗い出してみましょう。
- 0→1→6→8→9・・・5+2+3+5=15
- 0→2→4→7→8→9・・・10+5+2+1+5=23
- 0→3→5→4→7→8→9・・・3+15+2+2+1+5=28
このように経路を洗い出すことで一番時間がかかる経路は0→3→5→4→7→8→9だという事が分かり、28分最低でもかかると判断できます。
この一番時間がかかる経路のことをクリティカルパスと呼び、工程全体の短縮を図る場合はクリティカルパス上の作業時間の短縮を図ります。
クリティカルパス上の3→5である「米を炊く」作業を3分短くすることで全体の時間も短くできます。一方で、クリティカルパス上に無い0→2の「肉と野菜を切る」作業を3分短縮しても、米が炊けない事には次の工程に進めないため短縮できないことが分かります。
ガントチャート
ガントチャートは進捗管理の一般的な技法で、縦軸にタスク、横軸に時間を取り、計画と実績をバーで表します。
ID | 作業内容 | 区分 | 開始日 | 終了日 | 期間 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 | 11日目 | 12日目 | 13日目 | 14日目 |
1 | 要件定義 | 計画 | 1日目 | 2日目 | 2日間 | ||||||||||||||
実績 | 1日目 | 3日目 | 3日間 | ||||||||||||||||
2 | 計画 | 計画 | 3日目 | 9日目 | 7日間 | ||||||||||||||
実績 | 4日目 | 11日目 | 8日間 | ||||||||||||||||
3 | 設計 | 計画 | 10日間 | 12日目 | 3日間 | ||||||||||||||
実績 | 12日目 | 14日目 | 3日間 |
プロジェクトマネジメントにおける重要語句
以下は試験でも良く問われる語句です。あわせて押さえておきましょう。
- プロジェクト憲章・・・プロジェクトを立ち上げるときに策定されるプロジェクトの目的や条件、内容を明確に示した文書を差します。
- プロジェクトステークホルダ・・・プロジェクトにおける利害関係者のことで、ユーザや顧客、プロジェクトメンバーなど幅広いです。
- プロジェクトマネージャ・・・プロジェクトの責任者で、納期や予算、成果物の品質を管理します。
プロジュエクトマネジメント・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
PMBOKについて説明したものはどれか。(H.27/春)
ア システム開発を行う組織がプロセス改善を行うためのガイドラインとなるものである。
イ 組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質を向上し,個々のプロジェクトを支援することを目的に設置される専門部署である。
ウ ソフトウェアエンジニアリングに関する理論や方法論,ノウハウ,そのほかの各種知識を体系化したものである。
エ プロジェクトマネジメントの知識を体系化したものである。
問2
プロジェクトマネジメントにおいてWBSを作成する目的として,最も適切なものはどれか。(H.23/特別)
ア 進捗管理の作業効率を向上する。
イ 成果物とそれを作成するための作業を明確にする。
ウ 品質検証のための基準を明確にする。
エ プロジェクトの目的を周知する。
問3
プロジェクトマネジメントのために作成する図のうち,進捗が進んでいたり遅れていたりする状況を視覚的に確認できる図として,最も適切なものはどれか。(H.24/春)
ア WBS
イ ガントチャート
ウ 特性要因図
エ パレート図
解説(クリックで展開)
プロジェクトマネジメント・まとめ
今回はプロジェクトマネジメントに関する内容を学習しました。
いくつか表や管理手法も出てきましたが、このページで扱っているものはどれも頻出事項で最重要項目です。グラフの形や特徴、使用方法もしっかり覚えておきましょう、
次回はサービスマネジメントに関して学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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