[FP3級]リスクと保険(公的保険・私的保険)[無料講座・例題付き!]
今回はFP3級のリスクと保険について学習していきます。
リスクと保険
仕事だけでなく、日常生活においても事故や病気と言ったリスクは存在しています。
これらのリスクが生じた際に、どのようにそのリスクを抑えるか対策を立てることをリスクマネジメントと言います。
日常生活におけるリスクには主に以下のようなものが挙げられます。
モノに関するリスク | ヒトに関するリスク |
・住居や車におけるリスク ・お金に関するリスク ・他人の物に関するリスク |
・病気やケガに関するリスク ・死亡リスク ・他人のケガや死亡に対するリスク |
自分の命や物に限らず、他人の物や命に対するリスクも存在する点に注意しましょう。
公的保険と私的保険
保険には国や地方公共団体が運営する公的保険と、民間の保険業者が運営する私的保険に分かれます。
公的保険に関しては社会保険の項目で学習済みなので、今回は私的保険についてみていきましょう。
私的保険は大きく、生命保険と損害保険、さらにそのどちらでもない第三分野の保険に分かれます。
保険に関する法律
保険に関する法律として二つ、保険法と保険業法があります。
それぞれの内容を見てみましょう。
保険法
保険法は保険契約に関するルールを定めています。
保険法の内容としては保険契約だけでなく共済契約についても適用され、生命保険契約・損害保険契約・第三分野の契約全てに関して規定が設けられています。
特に注意すべき規定のポイントは以下の通りです。
- 保険契約者の保護のため、契約締結時の告知に関する規定、保険金支払い時期に関する規定を設ける
- 保険契約の終了に関する規定を定める
- 原則として契約者に不利な内容は無効とする
- 時効(保険給付請求権は3年、保険料請求権は1年)を定める
- 被保険者と保険契約者が異なる場合、原則として被保険者の同意が必要
参照:https://www.jili.or.jp/knows_learns/law/
保険業法
保険業法では保険会社の健全かつ適切な運営や、公正な保険募集の確保による保険契約者の保護を図ることを目的としてる法律です。
保険業法では保険業を行う者に対する規制を定めていますが、共済は適用除外となっています。
保険業法に関する規定のポイントは以下の通りです。
- 保険業を行う場合、内閣総理大臣の登録を受ける必要がある
- 保険契約の締結・保険募集に関して、保険契約者等に対して以下の行為を行うことを禁止する
- 保険契約者等に対して、虚偽のことを告げ、または保険契約のうち、重要事項を告げない行為
- 保険契約者等に対して、不利益となる事実を言わずに、既存の保険契約を消滅させて、新たな保険契約の申し込みをさせる等の行為
- 保険契約者等に対して、保険料の割引など、特別な利益の提供をする行為
- 保険契約者等に対して、資産運用の結果によって配当等の金額が変わる保険について、利益が生じることが確実であると誤解させる恐れのあることを告げる行為(断定的判断の提供の禁止)など
- 保険会社などは顧客の意向を把握し、これに沿った保険商品を販売しなければいけない(意向把握義務)
- 保険募集の際に、顧客が保険に加入するか否かを判断するのに必要な情報を提供しなければいけない(情報提供義務)
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=407AC0000000105
保険の原則
保険制度は主に次の2つの原則を基盤として成り立っています。
大数の法則
少数では何らかの法則を見いだせない場合でも、対数で見ると一定の法則を見いだせることを大数の法則と言います。
収支相等の原則
保険料は保険契約者全体で見た場合、保険契約者が払い込む保険料が保険会社が支払う保険金と等しくなるように算定されます。これを収支相等の原則と言います。
保険会社の収入(保険料総額+運用収益)=保険会社の支出(保険金総額+経費)
っちゅうことやな
契約者の保護
契約者を保護するためにいくつかの制度が設けられています。
保険契約者保護機構
契約者が契約している会社が破綻した場合に契約者を保護するために設立されている機構を保険契約者保護機構と言います。
国内で営業している生命保険会社や損害保険会社はそれぞれ、生命保険契約者保護機構・損害保険契約者保護機構への加入が義務付けられています。
それぞれの内容は以下の通りです。
生命保険契約者保護機構
破綻時点の責任準備金の90%まで補償
損害保険契約者保護機構
保険金の80%~100%を補償
ここで、少額短期保険業者や共済は加入対象外になります。
保険法の適用や保険業法の適用、保険契約者保護機構の加入義務の有無をまとめると以下の様になります。
保険法の適用 | 保険業法の適用 | 保険契約者保護機構の加入義務 | |
保険会社 | 有 | 有 | 有 |
少額短期 保険業者 |
有 | 有 | 無 |
共済 | 有 | 無 | 無 |
クーリングオフ
一度契約をしたあとでも一定の要件を満たす場合は、契約者側から契約を取り消せる制度をクーリングオフ制度と言います。
クーリングオフができる条件とできない条件を見てみましょう。
クーリングオフできる条件
契約の申込日、もしくはクーリングオフについての記載をされた書面を受け取った日のいずれか遅い日から8日以内に、申込みの撤回または解除を書面で行うことでできます。
クーリングできない条件
以下の場合はクーリングオフができません。
- 保険会社の営業所に出向いて契約をした場合
- 保険期間が1年以内の場合
- 契約にあたって医師の検査を受けた場合
ソルベンシー・マージン比率
通常予測できないようなリスクが発生した場合に、保険会社が対応できるかどうかを判断する指標をソルベンシー・マージン比率と呼びます。
この値は数値が高いほど安全性が高く、200%以上が健全な値とされています。
リスクと保険・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
少額短期保険業者による取扱商品は「少額・短期・掛捨て」に限定され、1人の被保険者から引き受ける保険金額の総額は、原則として()が上限となっている。(2019年/9月)
1 1,000万円
2 1,200万円
3 1,500万円
問2
生命保険契約を申し込んだ者は、保険業法上、原則として、契約の申込日から8日以内であれば、口頭により申込みの撤回等をすることができる。(2020年/1月)
○
×
問3
保険業法で定められた保険会社の健全性を示す()は、保険金等の支払余力がどの程度有するかを示す指標であり、この値が200%を下回った場合、監督当局による業務改善命令などの早期是正措置の対象となる。(2020年/1月)
1 レバレッジ比率
2 ソルベンシー・マージン比率
3 自己資本比率
解説(クリックで展開)
リスクと保険・まとめ
今回はリスクと保険について学習しました。
保険がどのような物かだけでなく、契約者を守るための法律や制度も合わせて押さえておきましょう。
次回は生命保険について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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