[FP3級]利子所得・配当所得・給与所得の計算方法[無料講座・例題付き!]
今回はFP3級における利子所得・配当所得・給与所得の計算方法について学習します。
利子所得・配当所得・給与所得の計算方法
ここではそれぞれの所得がどのようなものだったかを振り返りつつ、計算方法を学習していきます。
10の所得を1ページにまとめると非常に長くなってしまうので、今回は利子所得・配当所得・給与所得の3つに分けて解説していきます。
利子所得
利子所得は預貯金や公社債などの利子による所得を指します。具体的には
- 預貯金の利子
- 公社債の利子
- 公社債投資信託の収益分配金
等ですね。
利子所得の計算
利子所得の計算方法を見てみましょう。
利子所得=収入金額
いたってシンプルですね。
利子所得の課税方法
利子所得の課税方法は預貯金の利子と公社債の利子で少し変わってきます。
- 預貯金の利子・・・原則利子を受け取る際に20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5.0%)が源泉分離課税として徴収されます。
- 公社債等の利子・・・特定公社債や公募公社債投資信託の収益分配金については20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が申告分離課税または申告不要となります。
配当所得
配当所得は株式配当金や投資信託の収益分配金などによる所得を指します。
配当所得の計算
配当所得の計算方法を見てみましょう。
配当所得=収入金額-株式等を取得するための負債利子
借入金等によって株式等を取得した場合には、配当所得の計算においてその借入金にかかった支払利息分を収入金額から差し引きます。
配当所得の課税方法
配当所得の課税は原則、総合課税の対象となり、確定申告によって差額の税が計算されます。
上場企業については配当等を受け取ったときに20.315%が源泉徴収されますが、申告の方法や課税形式によって変わってきます。
確定申告で総合課税を選択した場合
- 配当控除の適用を受けることができます。
- 上場株式等の譲渡損失との損益通算ができません。
確定申告で申告分離課税を選択した場合
- 上場株式などの譲渡損失との損益通算ができます。
- 配当控除の適用を受けることができません。
申告不要を選択した場合
- 配当控除の適用を受けることができません。
- 上場株式等の譲渡損失との損益通算ができません。
また、上場企業等以外の配当等については、20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されます。
給与所得
給与所得はサラリーマンやアルバイト、パートの方などが会社や雇用主から受け取る給与や賞与等の所得を指します。
給与の中でも以下の物は非課税になることは以前学習しましたね。
- 月15万円までの通勤手当
- 出張旅費 等
給与所得の計算
給与所得の計算は以下の通りです。
給与所得=収入金額-給与所得控除額(※)
ここで、給与所得控除額は以下の様にして求めます。
給与の収入金額 | 給与所得控除額 |
162万5千円以下 | 55万円 |
162万5千円超~180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超~660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超~850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
例えば、年収が800万円の会社員の給与所得は以下の様に求めます。
収入金額:800万円
給与所得控除額:800万円×10%+110万円=190万円
給与所得:800万円-190万円=610万円
所得金額調整控除
2020年以降、以下の要件に該当する場合、総所得金額を計算する段階て給与所得から一定額を所得金額調整控除額として控除することができます。
- その年の給与収入が850万円超 かつ
- 本人が特別障害者である または 23歳未満の扶養親族を有する または 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する
所得金額調整控除額は以下の様にして求めます。
所得金額調整控除額=(給与等の収入金額(最高1,000万円)-850万円)×10%
給与収入と年金の受給がある場合
給与収入と年金の受給がある場合、所得金額調整控除額は以下のような計算式になります。
所得金額調整控除額=給与所得控除後の給与等の金額(※)+公的年金等にかかる雑所得の金額(※)-10万円
給与所得の課税方法
給与所得の課税方法は総合課税で、基本的に確定申告が必要となります。
一方で、毎月の給与支給時に税金が源泉徴収され、年末調整を行うことで確定申告は不要となります。
しかし、年収が2,000万円を超える場合や給与所得以外に20万円を超える所得がある人、複数の会社から給与を受けている人は別途確定申告が必要となります。
利子所得・配当所得・給与所得の計算方法・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
国内において支払を受ける預貯金の利子は、原則として、国税(復興特別所得税を含む)と地方税を合わせて(①)の税率による(②)分離課税の対象となる。(2019年/5月)
1 ①14.21% ②申告
2 ①20.315% ②申告
3 ①20.315% ②源泉
問2
上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択した場合、その税率は、所得税および復興特別所得税と住民税の合計で(①)であり、上場株式等の譲渡損失の金額と損益通算することができる。この場合、配当控除の適用を受けることが(②)。(2020年/1月)
1 ①14.21% ②できる
2 ①20.315% ②できない
3 ①20.42% ②できない
問3
所得税において、その年中の給与等の収入金額が55万円以下である場合、給与所得の金額は0(ゼロ)となる。(2017年/5月)
○
×
解説(クリックで展開)
利子所得・配当所得・給与所得の計算方法の計算方法・まとめ
今回は各所得(利子所得・配当所得・給与所得)の計算方法について学習しました。
どの所得がどのように計算され、税金はどのように納めるかと言ったところまで押さえておきましょう。
次回は退職所得・一時所得・雑所得の計算方法について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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