[FP技能検定試験]日本FP協会ときんざいの共通点や違いは?試験実施団体の選び方について
FP技能士試験においては資格試験を行っている団体に日本FP協会と金融財政事情研究会(通称:きんざい)の2つがあります。
試験を申し込むにあたって
と言ったように、どちらを選べば良いか迷う方も多いかと思います。
今回は日本FP協会ときんざいについて、どっちがどう違うのか、どちらを選べば良いのかを解説していきます。
日本FP協会ときんざいの共通点は?
まず、日本FP協会ときんざいの共通点について確認しましょう。
試験日
試験日は日本FP協会ときんざいで同じで、毎年5月・9月・1月となっています。
試験日についての詳細は以下の記事でまとめているので、気になる方はあわせてご覧ください。
学科試験
FPは学科試験と実技試験に分かれますが、学科試験はFP協会ときんざいで全く同じです。
どちらの試験もマークシート形式で60問、36点以上合格と言う点についても共通なので団体によって対策法が変わることはありません。
資格の評価
どちらの団体に申し込んだ場合も学科試験と実技試験にパスできれば、同じFP技能士として評価されます。
きんざいを選んだから評価が高い、日本FP協会を選んだから評価されにくいということは全くありません。
また、上位試験の受験資格獲得にあたってもどちらの団体を選んでも問題ありません。
例えばFP3級をきんざいで受験して合格した場合でも、FP2級は日本FP協会で受験するといった事は可能です。
日本FP協会ときんざいの違いは?
日本FP協会ときんざいの共通点を最初に紹介しましたが、それ以上に違う点も多いです。
違いについても確認しましょう。
申し込み手続きの違い
日本FP協会ときんざいの申し込み手続きについてですが、どちらも書面での申し込みとインターネットでの申し込みが可能です。
しかし書面の場合、日本FP協会であれば書店でできるのに対してきんざいであればホームページから申込書をダウンロードしなければいけません。
インターネットの場合もそれぞれ申し込む先のサイトが異なります。
そのあたりの受験申込方法ついては以下の記事でまとめているので、確認してみてください。
実技試験の違い
最も違うのは午後から行われる実技試験の問題です。
3級であれば
日本FP協会 | きんざい |
資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
– | 保険顧客資産相談業務 |
2級であれば
日本FP協会 | きんざい |
資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
– | 中小事業主資産相談業務 |
– | 生保顧客資産相談業務 |
– | 損保顧客資産相談業務 |
といった具合になっています。
日本FP協会ではどちらの級でも資産設計提案業務しかないのに対し、きんざいの場合はさらに選択肢が増えることを覚えておきましょう。
合格数の違い
FP3級とFP2級それぞれの受験者数や合格者数も確認してみましょう。
3級
FP3級の合格者について見てみましょう。以下のページからデータを引っ張ってきています。
学科試験
まず学科試験は以下の通りです。
年月 | 日本FP協会 | きんざい |
2020年9月 | 89.64% | 69.28% |
2020年1月 | 85.34% | 65.43% |
2019年9月 | 78.09% | 62.77% |
こうして確認すると、学科試験の段階で合格率に20%程の差があることが伺えます。
同じ問題であるにもかかわらず、このように合格率に大きな差が出る理由について、諸説はあります。
一般的には受験者のモチベーションの差によるもので日本FP協会の場合、受験者の大半が自己啓発で受験するために意欲的な一方、きんざいでは会社から強制的に受けさせられているためにこれほどの差が出ていると言われています。
実技試験
次に実技試験です。
年月 | 日本FP協会 | きんざい |
2020年9月 | 89.64% | 69.28% |
2020年1月 | 85.34% | 65.43% |
2019年9月 | 78.09% | 62.77% |
実技試験においても日本FP協会の方がきんざいより合格率は高くなっています。
ただしこちらも受験者層のモチベーションの問題から、日本FP協会の方が簡単、とは一概に言えません。
3級の実技試験について、それぞれの科目の特徴や対策方法は以下の記事でまとめています。
2級
2級についても確認してみましょう。
以下の記事のデータをもとに作成しています。
学科試験
学科試験の合格率についてまず確認してみましょう。
年月 | 日本FP協会 | きんざい |
2020年9月 | 49.19% | 33.10% |
2020年1月 | 41.86% | 28.81% |
2019年9月 | 43.42% | 20.97% |
例によって日本FP協会の方が合格率の方が高いですが、FP3級同様モチベーションの問題かと思われます。
実技試験
実技試験の合格率は以下の通りです。
年月 | 資産設計提案業務 (日本FP協会) |
個人資産相談業務 (きんざい) |
中小事業主資産相談業務 (きんざい) |
生保顧客資産相談業務 (きんざい) |
損保顧客資産相談業務 (きんざい) |
2020年9月 | 57.37% | 33.71% | 57.54% | 60.73% | 58.62% |
2019年9月 | 62.63% | 31.72% | 55.49% | 50.80% | 67.22% |
2019年1月 | 50.31% | 36.93% | 33.98% | 40.06% | 50.00% |
全体的に見て日本FP協会の合格率が高いですが、生保顧客資産相談業務や損保顧客資産相談業務も比較的高いことが分かりますね。
どっちの試験実施団体を選べば良い?
それぞれの試験実施団体の特徴について解説しましたが、結局のところどっちが良いのかと言った疑問が残ると思います。
筆者なりの見解は以下の通りです。
未経験者・初心者は日本FP協会
試験の難易度自体はどちらもそこまで変わりませんが、テキストや通信講座の対応範囲としては日本FP協会の方が広く、未経験から対策しやすくなっています。
例えばFPの通信講座で有力候補のフォーサイトの場合
Q:日本FP協会、きんざいのどちらの試験にも対応した講座ですか?
A:2級FP講座では、日本FP協会のみに対応、 3級FP講座では、きんざいと日本FP協会の両方に対応しています。
となっています。
市販のテキストも大手出版社のほとんどが日本FP協会の資産提案設計業務に対応していることからも、日本FP協会をおすすめします。
特にどちらの団体を受験するか考えておらず、とりあえず合格を目標としている方や将来的にCFP・AFPまで狙っている方は日本FP協会での受験がおすすめです。
実務経験者はきんざい
きんざいはテキストが公式からの物しかなく、対策が立てづらいのが実情です。
しかしそのテキストの発売元がきんざいで、主催者に該当しているためそのテキスト1冊で対策しようと思えば難しくはありません。
1冊のテキストを繰り返し解いて成績を上げていくのが良いと言えます。
また、特にFP2級ではきんざいは選択肢としての選択科目が4つあります。
その分試験範囲は狭く深くとなっているので、試験分野に対してすでに実務経験を有していたり深い知識を持っていたりすれば対策しやすくなります。
保険のセールスとして働いた経験がある、中小企業事業者に対して資産相談に関わったことがある、と言う場合はきんざいがおすすめと言えるでしょう。
日本FP協会ときんざいの共通点と違いまとめ
今回はFP協会ときんざいの共通点と違いについて解説しました。
結局のところどちらの団体を選んでも評価の点で違いはないので、ご自身の実務経験を基準に判断するのが良いかと思います。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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