精算表例題[日商簿記3級講座]

2019年9月26日

日商簿記3級 精算表例題

今回は日商簿記3級精算表問題に関して、実際に問題をいくつか解いて形式に慣れていきましょう!

キュー
キュー
忘れてるような処理も多いと思うから復習していってや~!

決算整理問題の例

簿記3級において学習する決算整理は出題場所が決まっており、

  1. 現金過不足の処理
  2. 当座借越の振り替え
  3. 貯蔵品の振り替え
  4. 貸倒引当金の設定
  5. 固定資産の減価償却
  6. 消費税の処理
  7. 費用・収益の前払・前受と未払・未収
  8. 売上原価の算定
  9. 法人税等の計上

と限られています。

それぞれ一度おさらいしながら問題を見ていきましょう!

現金過不足の処理

始めに現金過不足の処理です。復習がてら、精算表への記入も同時に学習しましょう。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 3,000
現金過不足 500
・・・
雑( )
・・・

決算において、現金過不足(貸方)が500円あるが、原因が不明なので、雑損または雑益として処理する。

仕訳

決算において原因が判明しない現金過不足は。雑損(費用)または雑益(収益)として処理します。

今回貸方に現金過不足があるので、借方に現金過不足を記載して減少させます。

借方 金額 貸方 金額
現金過不足 500

そうすることで貸方科目が空くため、収益の勘定科目が来ることが分かります。

収益の場合雑益になるのでそれを記入すれば仕訳は完了です。

借方 金額 貸方 金額
現金過不足 500 雑益
(収益の発生↑)
500

精算表への記入

今度はこの仕訳を精算表の修正記入欄に記入していきます。

貸方が雑益なので、精算表の勘定科目欄の雑()の()内に”益”と記入し、修正記入欄の貸方に500円と記入します。

また、借方が現金過不足の為、現金過不足の借方にも500円と記入します。

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 3,000 3,000
現金過不足 500 500
・・・
雑() 500
・・・

修正記入欄への金額の記入が終わり次第、試算表欄の金額から修正記入欄の金額を加減し、収益と費用の勘定科目を損益計算書欄へ、資産・負債・資本の勘定科目を貸借対照表欄に記入していきます。

具体的には現金の場合、試算表の借方には3,000、修正記入欄には何も書かれていないので貸借対照表欄の借方に3,000円と記入。

現金過不足は試算表欄の貸方に500円、修正記入欄の借方に500円なので、残高0となり、貸借対照表への記入は無しとなります。

最後に雑益(収益)は修正記入欄の貸方に500円とあるので、損益計算書欄の貸方に500円と記入されます。

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 3,000 3,000
現金過不足 500 500
・・・
雑(益) 500 500
・・・
カズ
カズ
現金過不足について自信がない場合は現金過不足(多い時)現金過不足(少ない時)のページを見てね!

当座借越の振り替え

試算表の当座預金の行において、貸方に残高が残っている場合は少し注意が必要です。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
当座預金 8,000
(   )
・・・

当座預金勘定の貸方残高800円を当座借越勘定に振り替える。

仕訳

決算日に当座借越が生じている(当座預金が借方残高である)時は貸方の当座預金を当座借越(負債)に振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 8,000 当座借越
(負債の増加↑)
8,000

精算表への記入

精算表への記入としては当座預金の下のカッコに負債の当座借越を記入し、修正記入欄にそれぞれの仕訳を記入します。

今回用いた科目は資産負債なので、両方とも貸借対照表に記入します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・  
当座預金 8,000 8,000
(当座借越) 8,000 8,000
・・・
キュー
キュー
当座借越が曖昧な場合もしっかり復習しておいてや~

貯蔵品の振り替え

切手や収入印紙といった購入時に費用として処理したものも決算日に残っていた場合は決算整理をしなければいけないのでした。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
(   )
・・・
通信費 500
租税公課 400
・・・

決算日において郵便切手300円分と収入印紙200円分が残っている。いずれも当期に購入したもので、購入時に郵便切手は通信費、収入印紙は租税公課で処理している。

仕訳

郵便切手や収入印紙が決算日に残っている場合は残っている分を通信費(費用)や租税公課(費用)から貯蔵品(資産)に振り替える必要がありました。

借方 金額 貸方 金額
貯蔵品
(資産の増加↑)
500 通信費
(費用の取消↓)
300
租税公課
(費用の取消↓)
200

精算表への記入

通信費と租税公課それぞれ修正記入で貸方にその額を記載し、費用なので損益計算書に残高を記載します。

一方で貯蔵品は資産に含まれるので、貸借対照表に残高を記入します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
(貯蔵品) 500 500
・・・
通信費 500 300 200
租税公課 400 200 200
・・・
カズ
カズ
通信費租税公課のページも見直してみてね!

貸倒引当金の設定

決算の際、期末に残っている売掛金受取手形などの債権に対しては貸倒引当金を設定します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
売掛金 8,000
受取手形 2,000
・・・
貸倒引当金 50
・・・
(    )
・・・

決算において、売掛金と受取手形の期末残高について、1%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。

仕訳

貸倒引当金の差額充填法に関する問題です。

まずは貸倒引当金の設定額を算出しましょう。売掛金が8,000円、受取手形が2,000円、そのうちの1%を貸倒引当金として設定するので、(8,000+2,000)×1%=100円となります。

期末時点で残高として計上されている貸倒引当金は50円なので、その差額の50円(=100-50)を貸倒引当金(費用)として計上します。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入
(費用の発生↑)
50 貸倒引当金 50

精算表への記入

貸倒引当金は貸方に、貸倒引当金繰入は借方に記載されているので試算表の修正記入欄にまず記載します。

そして合計金額は貸倒引当金は負の資産なので貸借対照表に、貸倒引当金繰入は費用なので損益計算書に記入します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
売掛金 8,000 8,000
受取手形 2,000 2,000
・・・
貸倒引当金 50 50 100
・・・
(貸倒引当金繰入) 50 50
・・・
モナ
モナ
貸倒引当金の処理はコッチのページだニャ

固定資産の減価償却

決算時に建物や備品などの固定資産を保有している場合は価値の減少分を見積もり、減価償却費を計上しなければいけません。

こちらも頻出で最重要事項なのでおさらいです。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
備品 100,000
備品減価償却累計額 24,000
・・・
(    )
・・・

決算において、備品について定額法(耐用年数10年、残存価格は取得原価の10%)により減価償却を行う。

仕訳

決算において、建物や備品などの固定資産は減価償却を行います。

計算方法としては定額法(耐用年数10年、残存価格は取得原価の10%)なので、

(100,000×(100-10)%)÷10=9,000

より9,000円となります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費
(費用の発生↑)
9,000 減価償却累計額 9,000

精算表への記入

精算表への記入は減価償却累計額は貸方に、減価償却費は借方に記載されているので試算表の修正記入欄にまず記載します。

そして合計金額は減価償却累計額は負の資産なので貸借対照表に、減価償却費は費用なので損益計算書に記入します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
備品 100,000 100,000
備品減価償却累計額 24,000 9,000 33,000
・・・
(減価償却費) 9,000 9,000
・・・
カズ
カズ
減価償却費の処理はここで確認できるよ!

消費税の処理

仮払消費税や仮受消費税といった消費税を含む取引をしているときも決算整理が必要になります。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
仮払消費税 1,000
仮受消費税 2,500
(    )
・・・

決算日につき、仮払消費税と仮受消費税を相殺する

仕訳

決算日において、仮払消費税(資産)と仮受消費税(負債)の相殺を行います。

また、その差額は未払消費税と呼ばれる負債の科目を使って処理されるのでしたね。

借方 金額 貸方 金額
仮受消費税
(負債の減少↓)
2,500 仮払消費税
(資産の増加↑)
1,000
未払消費税
(負債の増加↑)
1,500

精算表への記入

仕訳では仮受消費税が借方に、仮払消費税と未払消費税がそれぞれ貸方に来ています。したがってそれらをまずは修正記入欄に記入しましょう。

また、合計金額はそれぞれ資産・負債の科目なので貸借対照表に載せたいところですが、仮受消費税と仮払消費税はそれぞれ相殺されてしまうので未払消費税のみが残ります。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
仮払消費税 1,000 1,000
仮受消費税 2,500 2,500
(未払消費税) 1,500 1,500
・・・
キュー
キュー
消費税に関してはこっちのページで復習できるで~

費用・収益の前払・前受と未払・未収

期をまたいで費用を前払したり、また収益を前受したり等した場合も決算整理はしなければいけませんでしたね。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
支払家賃 4,000
支払利息 500
(    )
(    )
・・・

決算において、支払家賃のうち800円を前払処理する。また、支払利息の未払い分50円を未払計上する

仕訳

まずは家賃に関して、支払家賃(費用)から来期分の支払いは前払家賃(資産)へと振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
前払家賃
(資産の増加↑)
800 支払家賃
(費用の取消↓)
800

次に利息に関しては当期分に発生し、来期に合わせて支払わなければいけない分の利息を計上します。

借方は利息を支払わないといけないので、支払利息(費用)の発生、その分が未払という事で貸方は未払利息(負債)となります。

借方 金額 貸方 金額
支払利息
(費用の発生↑)
50 未払利息
(負債の増加↑)
50

精算表への記入

それぞれの仕訳を精算表の修正記入欄内の該当する勘定科目の行に記入します。

支払家賃、支払利息に関しては費用に分類されるので損益計算書に、前払家賃と未払利息に関してはそれぞれ資産と負債なので貸借対照表に記載します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
支払家賃 4,000 800 3,200
支払利息 500 50 550
(前払家賃) 800 800
(未払利息) 50 50
・・・

売上原価の算定(1)

簿記3級で扱うビジネスのほとんどは商品売買になりますが、この慣れ親しんだ仕入や売上の勘定科目が案外最後まで厄介だったりします。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
(    )
売上 3,000
仕入 1,500
・・・

当期の商品仕入れ高は1,500円であるが、このうち150円は期末現在、未販売である。

仕訳

三分法による処理の場合、商品を仕入れた場合は仕入勘定(費用)として処理するので、期末に商品が未販売として残っている場合でも仕入に含められてしまいます。

しかし、期末に残っている商品は資産になるため、決算において期末に残っている商品の仕入原価(期末商品棚卸高)を仕入勘定から繰越商品(もしくは単純に商品)へと振り替えなければいけません。

仕入(費用)から繰越商品(資産)への振り替えは以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額
繰越商品
(資産の増加↑)
150 仕入
(費用の減少↓)
150

精算表への記入

仕訳の通り精算表の修正記入欄に記入し、繰越商品は資産なので貸借対照表に、仕入は費用なので損益計算書に記載します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
(繰越商品) 150 150
売上 3,000 3,000
仕入 1,500 150 1,350
・・・

売上原価の算定(2)

次に同じ商品売買でも期首に商品がある場合を見ていきましょう。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
繰越商品 150
売上 3,000
仕入 1,500
・・・

期末商品棚卸高は50円であった(当期の商品仕入高は1,500円、期首商品棚卸高は150円)。なお、売上原価は「仕入」の行で計算すること。

仕訳

まず、問題文中にあるように期末商品棚卸高は50円のため、(1)のケース同様に仕入から繰越商品に振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
繰越商品 50 仕入 50

次に、期首の繰越商品分がある場合を見ていきます。その期首商品は当期中にに売り上げていると考えて、一度仕入原価へと振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
仕入 150 繰越商品 150

精算表への記入

精算表への記入はそれぞれの仕訳を修正記入欄へと記載します。

まとめてみると相殺できそうですが、それぞれの仕訳は期末に行うべき仕訳と期首に行うべき仕訳で意味合いが異なってきているので相殺してはいけません。

借方 金額 貸方 金額
繰越商品 50 仕入 50
仕入 150 繰越商品 150

それぞれの流れがややこしいので数字に色を付けて対応する場所を見てみましょう。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
繰越商品 150 50 150 50
売上 3,000 3,000
仕入 1,500 150 50 1,600
・・・

法人税等の計上

最後に、利益が確定し法人税を計上した場合の処理も見てみましょう!

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
仮払法人税等 300
(    )
(    )
・・・

決算の結果、法人税等が500円と計算された。なお、中間納付額300円が仮払法人税等として計上されている。

仕訳

決算において当期の法人税等の金額が確定した場合は法人税、住民税及び事業税を計上します。その際、仮払法人税等がある場合は中間申告により一度資産を計上していることになるので、仮払法人税等(資産)を減らして確定した法人税等と仮払法人税等の差額を未払法人税等(負債)で処理します。

借方 金額 貸方 金額
法人税等 500 仮払法人税等
(資産の減少↓)
300
未払法人税等
(負債の増加↑)
200

精算表への記入

仮払法人税等と未払法人税等は資産・負債なので貸借対照表へ、法人税等はその特性上費用に値するので損益計算書へと記載します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
仮払法人税等 300 300
(法人税等) 500 500
(未払法人税等) 200 200
・・・
チョロ
チョロ
法人税等のページも再チェックでチュ!
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精算表例題・まとめ

今回は決算整理問題に関して例題を載せていきました。

どの問題もほとんど一度は学習している問題なので、理解があやふやだと感じた場合各ページでおさらいしましょう!

カズ
カズ
基礎はしっかりとね!

次回は実際に決済整理問題を解いていきます!


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