[FP3級]社会保険(医療保険・公的介護保険)[無料講座・例題付き!]
今回はFP3級で問われる社会保険(医療・介護・年金)について学習していきます。
社会保険
何かしらの事故やケガ、病気などがあったときに公的機関からお金が下りる商品を一括して保険と言います。
その中でも医療や介護、年金などにかかる保険を社会保険と言い、社会保険はさらに細分化されるので見ていきましょう。
医療保険
医療にかかる保険を医療保険と呼び、医療保険にはさらに以下の3つに分けられます。
- 健康保険・・・会社員とその家族が対象
- 国民健康保険・・・自営業などとその家族が対象
- 後期高齢者医療制度・・・75歳以上の人が対象
保険者 | 保険制度の運用主体(会社など) |
被保険者 | 保険の対象となっている人 |
被扶養者 | 被保険者の扶養家族(一般的に国内に住所があり、年収130万円未満かつ、被保険者の年収の1/2未満) |
健康保険
健康保険は被保険者とその被扶養者に対して、労災保険の給付対象とならない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度になります。
健康保険には全国健康保険協会が保険者となる、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)と、健康保険組合が保険者となる組合管掌健康保険(組合健保)があります。
保険料は被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に保険利率をかけ、その金額を会社と被保険者で半分ずつ負担する労使折半と言った形式になります。
健康保険の主な給付は以下の6つになります。
- 療養の給付、家族療養費
- 高額療養費
- 出産育児一時金、家族出産育児一時金
- 出産手当金
- 傷病手当金
- 埋葬料、家族埋葬料
1.療養の給付、家族療養費
健康保険の被保険者や被扶養者は日常生活(業務外)における病気やケガに関して、診察や薬の処方などの医療行為を受けることができます。
なお、医療行為を受けるにあたって0歳から小学校入学までは2割、小学校入学から70歳までは3割、それ以降は2~3割(所得額による)の自己負担があります。
2.高額療養費
長期的な入院や大掛かりな手術などで月間の医療費が一定額を超えた場合、その超過額について請求をすることで後から返金してもらうことができます。
その際、同一月、同医療機関の窓口における支払額は自己負担限度額までとなります。
70歳未満の自己負担限度額は以下の通りになります。
所得区分(標準報酬月額) | 自己負担限度額 |
83万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
53万円~79万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
28万円~50万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
26万円以下 | 57,600円 |
住民税非課税世帯 | 35,400円 |
計算問題の例を解いてみましょう。
次の場合の高額医療費として返金される金額を求めよ
- 医療費は200万円かかった
- 標準報酬月額は75万円である
解き方の手順としては
①病院に支払った金額:200万円×3割=60万円
②自己負担限度額:167,400円+(2,000,000円-558,000円)×1%=181,820円
③高額医療費として返金される金額:①-②=418,180円
より、418,180円返金されることとなります。
3.出産育児一時金、家族出産育児一時金
被保険者または被扶養者が出産した場合、1児につき50万円が支給されます。(令和5年4月より)
4.出産手当金
被保険者が出産のために休職し、給与が支給されない場合に出産前の42日~出産後の56日間のうちで仕事を休んだ日数分が支給されます。
金額は以下の計算式で求められます。
1日あたりの支給額=支給開始日以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3
5.傷病手当
被保険者が病気やケガをした場合に会社を3日以上休み、給与が支給されなくなった場合に4日目から最長1年6ヵ月間支給されます。
金額は以下の計算式で求められます。
1日あたりの支給額=支給開始以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3
計算問題の例を解いてみましょう。
次の場合の傷病手当金の金額を求めよ
支給開始日以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額が45万円の人が、事故によるケガで15日間仕事を休んだ場合
①支給対象期間内の休業日数:15日-3日=12日
②1日あたりの支給額:450,000円÷30×2/3=10,000円
③傷病手当金:10,000円×12日=120,000円
より、120,000円支給されます。
6.埋葬料、家族埋葬料
被保険者が死亡した時、葬儀をした家族に対し5万円が支給されます。
また、被扶養者が死亡した時も、被保険者に5万円が支給されます。
国民健康保険
国民健康保険(国保)は、健康保険や共済組合などの適応を受けられない自営業や未就業者などで、市区町村に住所があるすべての人を対象にした保険です。
国保は都道府県と市区町村が競合で保険者となるものと、国民健康保険組合が保険者となるものに分かれており、保険料は前年の所得によって計算されます。
給付内容は健康保険とほぼ同じですが、出産手当金と傷病手当金がない点に注意です。
退職者向け公的医療保険
仕事を退職した後も何らかの保険に加入する必要があります。
考えられるパターンとしては主に以下の3つになります。
- 任意継続保険
- 国民健康保険
- 被扶養者になる
任意継続保険
健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上で、退職日の翌日から20日以内に申請することで加入できます。
加入期間は最長2年となり、全額自己負担となります。
国民健康保険
退職日の翌日から14日以内に市区町村に申請することで加入できます。
加入期間に制限はなく、全額自己負担となります。
被扶養者となる
健康保険の被保険者である家族の被扶養者となる場合、保険料の負担はなくなります。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は75歳以上の人に適応される保険で、自己負担額は1割(現役並みの所得者は3割)となります。
保険料は各都道府県の後期高齢者医療広域連合によって決定され、原則は年金からの天引きとして徴収されます。
保険料の徴収については市区町村によって行われます。
公的介護保険
介護が必要と認定された場合に必要な額が給付される制度を介護保険と言います。
被保険者は年齢によって保険料が変わります。具体的な金額は以下の表を参照してください。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
対象者 | 65歳以上 | 40歳~65歳未満 |
保険料 | 市区町村が所得に応じて決定 年額18万円以上の年金を受け取っている場合は年金から天引き |
協会けんぽの場合、介護保険料は1.79% 国保の場合、前年の所得に応じて決定 |
受給者 | 要介護者、要支援者 | 老化に起因するものによって要介護者、要支援者になった者 |
自己負担額 | 原則1割 合計所得金額が160万円(年金所得を含んだ合計所得が280万円)以上の場合2割 合計所得金額が220万円(年金所得を含んだ合計所得が340万円)以上の場合3割 |
社会保険・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
健康保険に任意継続被保険者として加入できる期間は、最長で()である。(2017年/9月)
1 2年
2 3年
3 4年
問2
全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に支給される傷病手当金の額は、1日につき、原則として、支給開始日の属する月以前12カ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した金額に、4分の3を乗じた額である。(2018年/9月)
○
×
問3
健康保険の被保険者(障害の状態にない)は、原則として、()になると健康保険の被保険者資格を喪失し、後期高齢者医療制度の被保険者となる。(2019年/9月)
1 65歳
2 70歳
3 75歳
解説(クリックで展開)
社会保険・まとめ
今回は社会保険について学習しました。
適応される年齢や加入期間などの条件はもちろんの事、計算問題も出題されるので1回は練習して解けるようにしておきましょう。
次回は労働保険について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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