[ITパスポート試験]企業活動[無料講座・例題付き!]
今回はITパスポートにおける企業活動の分野を学習していきます。
企業とは
企業は営利を目的として経済活動を行う組織を差します。
個人の商店やフリーランス、農家等の個人企業も多少存在していますが、日本で最も大きな企業形態は株式会社です。
株式会社では株式を発行し資金を集めており、資金を出している株主から委任を受けた経営者が事業を行う事で、利益を株主に一部還元します。
この還元の事を配当と呼びます。
したがって株式会社で一番の権力を持っているのは株主であり、意思決定の機関としては株主総会が挙げられます。
委託を受けた経営者は経営理念を掲げて経営に乗り出します。経営理念とは「会社が何のために存在するのか、経営をどういった目的でどういった手段で行うか」を示したもので、企業の使命や存在意義にも該当します。
企業の役員
近年では企業の役員をカッコ良く、アルファベット3文字で表すことも増えてきています。特に以下の4職は試験でも良く問われるので覚えておきましょう。
- CEO(Chief Executive Officer)・・・最高経営責任者
- COO(Chief Operating Officer)・・・最高執行責任者
- CFO(Chief Financial Officer)・・・最高財務責任者
- CIO(Chief Information Officer)・・・情報戦略統括役員
特にCIOは情報に関する最高責任者のため、ITパスポートでもよく問われます。
組織形態
企業は仕事を効率的に遂行するため、人員を適材適所に配置する組織化を行っています。
組織の形態は業態や事業環境によりさまざまですが、特にITパスポートで問われる形態は以下のようなものになります。
職能別組織
営業部、総務・人事部、情報システム部といった職種ごとに人員を配置する形態を職能別組織と呼びます。
多くの日系企業ではこのパターンが多いです。
事業部制組織
取り扱う商品や担当地域ごとに組織を分けて事業部を設置する形態を事業部制組織と呼びます。
事業運営に関する責任や権限を本社が事業部に委譲する事により、各事業の状況に応じた目的に合わせ、迅速な意思決定を実現するような目論見があります。
カンパニ制
事業部制組織からさらに権限移譲が進み、それぞれの事業部長が大きな権限を持ち各事業部が小さな会社のようになった形態をカンパニ制と呼びます。
カンパニ制では各カンパニが独立採算で事業を行い、本部に対して利益配当を行います。
それよりもさらに形態が進むと、独立法人にして持ち株を介し、その会社の経営権を持つ持株会社と呼ばれる形態になる事もあります。
プロジェクト組織
特定の目的のために定められた期間で実施する活動をプロジェクトと呼びました。
この活動を遂行するために参加者の役割などを明確にして臨時に編成した形態をプロジェクト組織と呼びます。この組織はプロジェクトが終了し次第解散されます。
マトリックス組織
職能や事業、顧客や地域など、いくつかの要素を混ぜ合わせ、構成員が2つの組織に所属しながら業務活動を行う形態をマトリックス組織と呼びます。
それぞれの組織ごとの役割を全うできるため、組織構造のメリットを享受できる一方で、上司が複数名になることで命令系統が複雑になると言ったデメリットも孕んでいます。
企業における教育制度
資源は産業活動において元となる物資のことです。具体的に経営における資源は「ヒト・モノ・カネ」の三つに、最近では加えて情報の4つから構成されるとされています。
特にヒトの育成・教育に関する手段や形式は試験でも頻出なので覚えておきましょう。
- OJT(On the Job Training)・・・対象者を職場に配属し、業務を通じて社員教育訓練を受けていくことです。部下が職務遂行にあたって必要な知識やスキルをその場で上司や先輩から教わることができるため、仕事に直結した能力を短時間で学習できると言ったメリットがあります。
- Off-JT(Off the Job Training)・・・対象者を現場ではない箇所に配置し、座学等を通して教育する手法です。セミナー等の受講もこれに値します。
学習の方法についてはさまざまですが、最近ではパソコンや携帯端末を利用し、動画などで学習を行うe-ラーニングや、ゲーム要素を取り入れられたゲーミフィケーションといった教育手法も確立されています。
また、仕事を行う上で年齢や性格・性別、学歴に拘らず多様性を取り入れて生産性を高めようと言った働きをダイバーシティと呼びます。
情報格差
ITに関する知識や能力はIT化が進んだ今日、仕事に限らず生活の至る所で必要とされています。
情報機器を活用することで、情報やデータを管理することも可能となり、この能力を情報リテラシーと呼んでいます。
一方で情報技術を使いこなせる人と、そうでない人の間には大きな格差が発生しつつあり、これをディジタルデバイドと呼びます。
企業活動における重要語句
以下は試験でも良く問われる語句です。あわせて押さえておきましょう。
- コンプライアンス・・・企業が法律や条令を守るのは当然として、その範疇にとどまらず社内規定やマニュアル、企業倫理の遵守や社会貢献、企業のリスクを回避するためにどのようにルールを設定していくのか、どのように運営していくのかを考え、その環境の整備までを含んだ考え方になります。日本語で法令遵守とも。
- CSR(Corporate social responsibility)・・・企業活動において、企業の経済的な成長だけでなく、環境や社会に対しても責任を果たすべきだと言った考え方になります。
- IR(Investor Relations)・・・投資家に向けて企業の事業内容などを報告する活動を差します。
- グリーンIT・・・省電力化やエコ活動など、自然保護に直結するIT関連機器やシステムです。
- BCP(Business continuity planning)・・・災害などが発生したときも重要業務が中断しないように準備しておくことです。日本語で
- 事業継続計画とも言います。
- ワークライフバランス・・・仕事と私生活のバランスを表す言葉で、労働者が程よく働ける環境を整備しつつ、家庭や個人の趣味にも力を入れられるように配慮した働き方になります。
- コーチング・・・対話によって相手の自己実現や目標達成を図る育成技法になります。
- メンタリング・・・メンターと呼ばれる経験豊かなアドバイザーが組織の若手や未熟練者と定期的に交流し、アドバイスを通して本人の成長を支援する育成技法になります。
企業活動・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
CIOの役割として,最も適切なものはどれか。(H.23/秋)
ア 客観的な立場から,自社の業務に問題がないか,ITの統制が有効に機能しているかなどを監査する。
イ 経営戦略を実現するための情報戦略の立案及び実施を主導する。
ウ 経営戦略を実現するための人事制度を構築し,勤務の実態を把握するなど管理・運営全般を掌握する。
エ 自社の資金効率の向上,及び財務会計の正確性を維持する。
問2
マトリックス組織を説明したものはどれか。(H.21/春)
ア 事業部制組織と職能制組織との両方の特徴を生かそうとする組織である。
イ 新事業開発のために社内に独立した活動単位として設置し,小さな企業であるかのように運営する組織である。
ウ 製品群などを事業単位として構成し,事業単位ごとに意思決定を行う組織である。
エ 専門化を志向した組織であり,研究開発,製造,販売,人事・総務,経理・財務のような職能別に構成された組織である。
問3
OJTに該当する事例として,適切なものはどれか。(H.26/春)
ア 新任管理職のマネジメント能力向上のために,勉強会を行った。
イ 転入者の庶務手続の理解を深めるために,具体的事例を用いて説明した。
ウ 販売情報システムに関する営業担当者の理解を深めるために,説明会を実施した。
エ 部下の企画立案能力向上のために,チームの販売計画の立案を命じた。
解説(クリックで展開)
企業活動・まとめ
今回は企業活動に関する内容を学習しました。
三文字のアルファベット表記が多く出てきたので、日本語訳をしっかりと把握し理解したうえで覚えておきましょう。
次回は企業会計について学習しましょう!
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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