[ITパスポート試験]表計算の概要[無料講座・例題付き!]
今回はITパスポートで取り扱う表計算ソフトについて学習していきます。
表計算ソフトとは
実際にビジネスの現場ではあらゆる場面で表計算ソフトが用いられています。
顧客の売り上げデータ、社員の労務データ、会議資料至る所で用いられており表計算ソフトをしっかり使いこなせるかどうかも立派なビジネススキルとなっています。
売上データ(単位:百万円)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 商品売上合計 | |
商品A | 4,000 | 3,500 | 4,500 | 4,700 | 5,300 | 5,500 | 6,000 | 6,500 | 40,000 |
商品B | 3,200 | 4,800 | 1,600 | 1,500 | 1,200 | 1,600 | 4,800 | 3,300 | 22,000 |
商品C | 0 | 0 | 0 | 100 | 250 | 400 | 600 | 1,800 | 3,150 |
商品D | 5,000 | 4,500 | 4,400 | 3,200 | 2,800 | 1,600 | 1,200 | 600 | 23,300 |
月間売上合計 | 12,200 | 12,800 | 10,500 | 9,500 | 9,550 | 9,100 | 12,600 | 12,200 | 88,450 |
表計算のメリット
上記の表をはじめ、表計算ソフトを用いることでさまざまなメリットがあります。
関数による自動計算
例えば上記の表で1月の売上合計はいくらか求めたい場合、手書きの表の場合電卓を用いて計算する必要があり、商品数が増えてくると電卓を打つ回数も増えるため、時間がかかりミスも起こしやすくなります。
一方で表計算ソフトを用いる場合は各セルに入力するだけで自動で瞬時に正確に合計値や平均値を出せるため時間の面でも信頼性の面でも大幅に向上します。
再計算機能
例えば1月の商品Dの売り上げが5,000→4,500へと訂正されたとします。
そうすると手動の場合、月間売上合計も商品売上合計もいちいち計算して書き直さないといけませんが、表計算ソフトを用いた場合は即座に反映させることができます。
再利用が可能
今回の売り上げデータが2020年の物だとします。次に2021年度に入ってからも会社は事業を続けていき、同じような表を用いる必要があります。その時にすでに作ってある表をコピーして用いれば数値を入れるだけで新しいデータを手軽に作成できるようになっています。
行や列の挿入、削除が容易
上記の表で新製品である商品Eを新しく追加したり、売り上げの悪い商品Dを撤退させ表から削除させる場合も表計算ソフトを用いると容易に編集が可能です。
ソートやグラフ化が容易
例えば上記の表で商品Aの売り上げの推移を可視化したいと思いグラフ化したり、何月が一番売り上げが良かったかを把握するためにソートしたいと言う時も表計算ソフトであれば一瞬で可能です。
ITパスポートの表計算ソフト
実際に試験で問われる表計算ソフトがどのようなものかを見ていきます。
基本的にはmicrosoft社のエクセルとほとんど変わりませんが、多少の違いはあるのでそちらも触れながら解説していきます。
A | B | C | D | E | F | G | H | I | |
1 | |||||||||
2 | C2 | ||||||||
3 | |||||||||
4 |
このように全体的な表をワークシートやスプレッドシートと呼び、横方向は列番号が、縦方向は行番号が振られています。
そしてこの行と列が交わる1つ1つの枠をセルと呼び、列番号と行番号を組み合わせて表現します。例えばC列2行目にあるセルはC2と言った具合に表現します。
数値の入力
実際に数値を入力してみましょう。以下の表は先ほどの表の作成途中の物になります。
A | B | C | D | E | F | G | H | ・・・ | |
1 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ・・・ | |
2 | 商品A | 4,000 | 3,500 | 4,500 | 4,700 | 5,300 | 5,500 | 6,000 | |
3 | 商品B | 3,200 | 4,800 | 1,600 | 1,500 | 1,200 | 1,600 | 4,800 | |
4 | 商品C | 0 | 0 | 0 | 100 | 250 | 400 | 600 | |
5 | 商品D | 5,000 | 4,500 | 4,400 | 3,200 | 2,800 | 1,600 | 1,200 | |
6 | 月間売上合計 |
ここで実際に1月の月間売上合計額をB6に表示させたいとします。
この場合、B2からB5までを足し合わせれば求められます。したがって、B6にはB2+B3+B4+B5と記入すれば合計が求められます。
A | B | C | D | E | F | G | H | ・・・ | |
1 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ・・・ | |
2 | 商品A | 4,000 | 3,500 | 4,500 | 4,700 | 5,300 | 5,500 | 6,000 | |
3 | 商品B | 3,200 | 4,800 | 1,600 | 1,500 | 1,200 | 1,600 | 4,800 | |
4 | 商品C | 0 | 0 | 0 | 100 | 250 | 400 | 600 | |
5 | 商品D | 5,000 | 4,500 | 4,400 | 3,200 | 2,800 | 1,600 | 1,200 | |
6 | 月間売上合計 | B2+B3+B4+B5 |
実際の表計算ソフトではこのように1ヵ所入力できれば後はコピー&ペーストをすることで列に合わせて列番号が切り替わっていきます。
A | B | C | D | E | F | G | H | ・・・ | |
1 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ・・・ | |
2 | 商品A | 4,000 | 3,500 | 4,500 | 4,700 | 5,300 | 5,500 | 6,000 | |
3 | 商品B | 3,200 | 4,800 | 1,600 | 1,500 | 1,200 | 1,600 | 4,800 | |
4 | 商品C | 0 | 0 | 0 | 100 | 250 | 400 | 600 | |
5 | 商品D | 5,000 | 4,500 | 4,400 | 3,200 | 2,800 | 1,600 | 1,200 | |
6 | 月間売上合計 | B2+B3+B4+B5 | C2+C3+C4+C5 | D2+D3+D4+D5 | E2+E3+E4+E5 | ・・・ |
このように、列を複写することで列番号が補正される(行をコピーした場合は行番号が)ことを相対参照と呼びます。
演算子
今回、B2からB5までを足し合わせるという意味で+を用いましたが、これ以外にもいくつかの処理があります。
例えばりんごを1個450円で4個売った、と言う場合は450+450+450+450よりも450×4と表現したいですよね。
表計算ではこのような+以外の演算も取り扱っています。
ところで、このように計算で使用する記号を演算子と呼び、優先度がある点にも注意しましょう。
主に用いられる演算子と優先順位は以下の様になっています。
優先順位 | 演算子 | 処理 | 使用例 |
低 | +,- | 数値を加減する | 5+4=9,5-4=1 |
中 | *,/ | 数値を乗除する | 9*3=27,9/3=3 |
高 | ^ | 数値をべき乗する | 2^4=16 |
最高 | () | ()の中を最優先で計算する | (2+3)^3=125 |
関数
ITパスポートでは関数と呼ばれる概念も登場します。
例えばB列の2行目から5行目までを足し合わせたい場合先ほどはB2+B3+B4+B5と記入していましたが、関数で表現すると合計(B2:B5)と書くこともできます。
先ほどの表を合計関数で書くと以下のように表現できます。
A | B | C | D | E | F | G | H | ・・・ | |
1 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ・・・ | |
2 | 商品A | 4,000 | 3,500 | 4,500 | 4,700 | 5,300 | 5,500 | 6,000 | |
3 | 商品B | 3,200 | 4,800 | 1,600 | 1,500 | 1,200 | 1,600 | 4,800 | |
4 | 商品C | 0 | 0 | 0 | 100 | 250 | 400 | 600 | |
5 | 商品D | 5,000 | 4,500 | 4,400 | 3,200 | 2,800 | 1,600 | 1,200 | |
6 | 月間売上合計 | 合計(B2:B5) | 合計(C2:C5) | 合計(D2:D5) | 合計(E2:E5) | ・・・ |
エクセルの場合、イコール(=)を付けたり英語でSUMと表記したりするので、その点に相違があることは注意しましょう。
また、今回合計関数でもコピペをすれば列に合わせて関数の列番号も変化しましたが変更させたくない場合もあります。
例えば毎月毎に1月との売上合計比を求めたい場合を考えてみます。
1月はB6/B6、2月はC6/B6、3月はD6/B6・・・としていきたいところですが、単純にコピペするとB6/B6、C6/C6、D6/D6となってしまいます。
そこで割る方の値には列番号の前に$を用います。
こうすると絶対参照となり、その値をコピーしても遷移しなくなります。
表計算・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
問1
表計算ソフトにおいて,以下の表にそれぞれ計算式が入力してある場合に,C3に表示される値はどれか。ここで,セル内の計算式は自動的に再計算され、計算結果が表示されるものとする。
A | B | C | |
1 | 8 | A1+A2 | B3-A1 |
2 | 5 | B1-A3 | C1/A3 |
3 | 6 | B1+B2 | C2*A1 |
ア 2
イ 4
ウ 8
エ 16
問2
表計算ソフトを用いて,天気に応じた売行きを予測する。表は,予測する日の天気(晴れ,曇り,雨)の確率,商品ごとの天気別の売上予測額を記入したワークシートである。セル E4 に商品Aの当日の売上予測額を計算する式を入力し,それをセル E5~E6 に複写して使う。このとき,セル E4 に入力する適切な式はどれか。ここで,各商品の当日の売上予測額は,天気の確率と天気別の売上予測額の積を求めた後,合算した値とする。(H.29/春)
A | B | C | D | E | |
1 | 天気 | 晴れ | 曇り | 雨 | |
2 | 天気の確率 | 0.5 | 0.3 | 0.2 | |
3 | 商品名 | 晴れの日の売上予測額 | 曇りの日の売上予測額 | 雨の日の売上予測額 | |
4 | 商品A | 300,000 | 100,000 | 80,000 | |
5 | 商品B | 250,000 | 280,000 | 300,000 | |
6 | 商品C | 100,000 | 250,000 | 350,000 |
ア B2*B4+C2*C4+D2*D4
イ B$2*B4+C$2*C4+D$2*D4
ウ $B2*B$4+$C2*C$4+$D2*D$4
エ $B$2*$B$4+$C$2*$C$4+$D$2*$D$4
解説(クリックで展開)
表計算・まとめ
今回は表計算の概要について学習しました。
基礎的な内容ばかりで蔑ろにしてしまうと深堀した問題を解けなくなるので、ここでしっかりと基礎固めをしていきましょう。
次回は表計算の関数について学習していきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
ディスカッション
コメント一覧
練習問題の問1の表のC3の本題が記載誤りだと思われます。
みー様
ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。