[日商簿記3級]精算表過去問例題[無料講座・例題付き!]

2019年9月30日

日商簿記3級 精算表過去問例題

今回は日商簿記3級精算表問題過去問を実際に解いてみましょう。

前回は主に出題される精算表の問題を、以前学習した仕訳の処理を復習しながら見ていきました。

精算表の問題はほぼ毎回出題される重要論点であり、合格を目指すなら最低でも6割以上は取得しておきたい論点になります。

ラク
ラク
ここで何割取れるかで合否が分かれると言っても過言ではないな!

このページでは実際に過去問2回分を通して形式に慣れていきましょう。

カズ
カズ
第143回と第145回の問題で、どっちも基礎的な問題だからしっかりとれるように練習しよう!

143回

問題

会計期間を1月1日から12月31日までとする日商商店の平成27年度末における、次の[決算日に判明した事項]および[決算整理事項]にもとづいて、精算表を完成しなさい。

金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。また、回答ボタンは各行の一番右端にある。

該当しない箇所は空欄のままにしておくこと。

[決算日に判明した事項]

(1)現金過不足につき、その原因を調査したところ通信費¥2,000の記帳もれが判明した。しかし、残額については原因不明の為適切な処理を行う。

(2)得意先から商品の内訳20,000円を現金で受け取っていたが、これを売掛金の回収として処理していたことが判明した。

(3)仮払金は全額備品の購入金額であることが判明した。なお、備品は10月1日に引き渡しを受けすぐに使用を始めた。

[決算整理事項]

(1)期末商品棚卸高は¥38,000である。売上原価は「売上原価」の行で計算すること。

(2)受取手形および売掛金の期末残高に対して4%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。

(3)建物および備品について定額法によって減価償却を行う。なお、当期中に取得した備品については月割で減価償却費を計上する。

固定資産 残存価格 耐用年数
建物 取得原価の10% 30年
備品 ゼロ 5年

(4)消耗品の未使用高は¥1,000である。

(5)保険料のうち¥12,000は、5月1日に支払った建物に対する1年分の火災保険料である。よって未経過分を月割計算により繰り延べる。

(6)貸付金は、8月1日に貸付期間1年、利率年1.2%の条件で貸し付けたもので、利息は返済時に一括して受け取ることになっている。なお、利息の計算は月割りによる。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表 回答ボタン
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 56,000

現金過不足 3,000

当座預金 349,000

受取手形 76,000

売掛金 114,000

仮払金 250,000

繰越商品 41,000

貸付金 400,000

建物 1,800,000

備品 200,000

土地 1,360,000

支払手形 74,000

買掛金 109,000

前受金 24,000

貸倒引当金 2,000

建物減価償却累計額 486,000

備品減価償却累計額 120,000

資本金 3,400,000

売上 1,286,000

仕入 650,000

給料 168,000

通信費 12,000

消耗品費 6,000

保険料 16,000

5,501,000 5,501,000

売上原価

貸倒引当金繰入

減価償却費

消耗品

保険料

利息

受取利息

当期純

解答

まずはスタンダードに一つ一つの項目を見ていき、仕訳を切っていきます。

[決算日に判明した事項]

(1)現金過不足の整理

現金過不足のうち、原因の判明した通信費を振り替えて、最後まで判明しなかった借方差額は雑損とします。

借方 金額 貸方 金額
通信費
(費用の発生↑)
2,000 現金過不足 3,000
雑損
(費用の発生↑)
1,000
(2)訂正仕訳

誤った仕訳を取り消し、正しい仕訳を行います。精算表には誤った仕訳の逆仕訳と正しい仕訳を合わせて記入しましょう。

1.誤った仕訳

受け取った現金を売掛金として処理していたため、以下のような仕訳をしていたことになります。

借方 金額 貸方 金額
現金
(資産の増加↑)
20,000 売掛金
(資産の減少↓)
20,000

2.誤った仕訳の逆仕訳

1.で切った仕訳の逆仕訳をし、間違いを無かったことにします。

借方 金額 貸方 金額
売掛金
(資産の減少の取消↑)
20,000 現金
(資産の増加の取消↓)
20,000

3.正しい仕訳

本来切るべき仕訳は前受金として受け取っていたため以下のような仕訳になります。

借方 金額 貸方 金額
現金
(資産の増加↑)
20,000 前受金
(負債の増加↑)
20,000

このうち、2と3の仕訳を合わせ、貸借に現金があるのでその分を相殺して記載します。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 20,000 前受け金 20,000
カズ
カズ
訂正仕訳に関してうろ覚えの場合はこっちのページにまとめてあるよ!
(3)仮払金の判明

仮払金の勘定は、指示にある通り備品勘定へと振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
備品
(資産の増加↑)
250,000 仮払金
(資産の減少↓)
250,000

[決算整理事項]

(1)売上原価の算定

売上原価勘定で売上原価を算定し、繰越商品が期末商品棚卸高と一致するように仕訳を行います。

期首棚卸高:(売上原価) 41,000 (繰越商品) 41,000

当期仕入高:(売上原価) 650,000 (仕入) 650,000

期末棚卸高:(繰越商品) 38,000 (売上原価) 38,000

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
・・・
繰越商品 41,000 38,000 41,000 38,000
・・・
仕入 650,000 650,000
・・・
売上原価 41,000 38,000 653,000
650,000
・・・
キュー
キュー
売上原価の計算方法には2パターンあるからその違いも押さえて置こう!
仕入勘定を用いる場合 売上原価勘定を用いる場合
期首商品の振替え 繰越商品勘定を仕入勘定へ 繰越商品勘定を売上原価勘定へ
当期商品仕入高の振替え 仕訳なし 仕入勘定を売上原価勘定へ
期末商品の振替え 仕入勘定を繰越商品勘定へ 売上原価勘定を繰越商品勘定へ
(2)貸倒引当金の設定

決算日に判明した事項により、売掛金残高が増加している点も考慮して設定する必要があります。

貸倒引当金見積額:{76,000円(受取手形)+114,000円(残高試算表・売掛金)+20,000円(訂正仕訳による増加分・売掛金)}×4%=8,400円

残高試算表の貸倒引当金:2,000円

繰入額:8,400円-2,000円=6,400円

したがって仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 6,400 貸倒引当金 6,400
チョロ
チョロ
訂正仕訳が入った場合はそれを先に加味してから貸倒引当金を設定する必要があるんでチュね!
(3)固定資産の減価償却

建物と備品の減価償却費を計算します。期中に取得した備品についてももちろん計算しなければいけません。

建物は残存価格が10%、備品は残存価格が0なのでそれぞれの計算は以下のようになります。

建物:1,800,000円×90%÷30年=54,000円

備品(既存):200,000円÷5年=40,000円

備品(当期購入):250,000円÷5年×\(\frac{3ヵ月}{12ヵ月}\)=12,500円

ラク
ラク
減価償却費の月割計算や期中購入の処理が曖昧な場合はコッチのページで復習してくれ!
(4)消耗品の整理

使用せずに残っている消耗品費に関しては消耗品費(費用)から消耗品(資産)勘定に振り替える必要があります。

借方 金額 貸方 金額
消耗品
(資産の増加↑)
1,000 消耗品費
(費用の取消↓)
1,000
(5)費用の前払

当期に支払った保険料12,000円のうち、4ヵ月分は翌期の費用となるため、前払保険料として処理します。

前払保険料:12,000円×\(\frac{4ヵ月}{12ヵ月}\)=4,000円

借方 金額 貸方 金額
前払保険料
(資産の増加↑)
4,000 保険料
(費用の取消↓)
4,000
(6)収益の未収

貸付金の利息のうち、8月1日から12月31日までの5ヵ月分の受取利息に関しては未収利息(資産)として処理することになります。

未収利息:400,000円×1.2%×\(\frac{5ヵ月}{12ヵ月}\)=2,000円

借方 金額 貸方 金額
未収利息
(資産の増加↑)
2,000 受取利息
(収益の発生↑)
2,000
(7)当期純利益の算定

損益計算書欄の貸方(収益)合計と、借方(費用)合計の差額から、当期純利益を算定します。当期純利益は貸借対照表へも移記し、貸借が一致することを確認しましょう。

当期純利益:1,288,000円-965,900円=322,100円

全ての仕訳を書き下したら、その仕訳を修正記入欄へと記入し、資産・負債・純資産は貸借対照表へ、利益・費用は損益計算書へ記入していきます。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 56,000 56,000
現金過不足 3,000 3,000
当座預金 349,000 349,000
受取手形 76,000 76,000
売掛金 114,000 20,000 134,000
仮払金 250,000 250,000
繰越商品 41,000 38,000 41,000 38,000
貸付金 400,000 400,000
建物 1,800,000 1,800,000
備品 200,000 250,000 450,000
土地 1,360,000 1,360,000
支払手形 74,000 74,000
買掛金 109,000 109,000
前受金 24,000 20,000 44,000
貸倒引当金 2,000 6,400 8,400
建物減価償却累計額 486,000 54,000 540,000
備品減価償却累計額 120,000 52,500 172,500
資本金 3,400,000 3,400,000
売上 1,286,000 1,286,000
仕入 650,000 650,000
給料 168,000 168,000
通信費 12,000 2,000 14,000
消耗品費 6,000 1,000 5,000
保険料 16,000 4,000 12,000
5,501,000 5,501,000
雑() 1,000 1,000
売上原価 41,000 38,000 653,000
650,000
貸倒引当金繰入 6,400 6,400
減価償却費 106,500 106,500
消耗品 1,000 1,000
(前払)保険料 4,000 4,000
(未収)利息 2,000 2,000
受取利息 2,000 2,000
当期純(利益) 322,100 322,100
1,121,900 1,121,900 1,288,000 1,288,000 4,670,000 4,670,000
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145回

問題

次の未処理事項・決算整理事項にもとづいて、答案用紙の精算表を完成しなさい。なお、会計期間は1月1日から12月31日の1年間である。

金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。また、回答ボタンは各行の一番右端にある。

該当しない箇所は空欄のままにしておくこと。

未処理事項・決算整理事項

  1. 有価証券のすべてを435,000で売却していたが、未記帳であった。なお、売却代金は後日受け取ることになっている。
  2. 売掛金のうち\40,000は、すでに当店の普通預金口座へ振り込まれていたことが判明した。
  3. 現金過不足は現金の盗難により生じたものである。また、当店では盗難保険をかけており、仮受金は盗難に対する保険金として受け取ったものである。そこで、現金過不足と仮受金を相殺し、差額を雑益または雑損として処理する。
  4. 期末商品の棚卸高は340,000であった。売上原価は「仕入」の行で計算すること。
  5. 備品について定額法(残存価格ゼロ、耐用年数8年)により減価償却を行う。
  6. 期末の売掛金残高に対して2%の貸倒を見積り、差額補充法により貸倒引当金を設定する。
  7. 貸付金は、当期の10月1日に期間12ヵ月、利率年3%(利息は返済時に全額受け取り)の条件で貸し付けたものである。なお、利息の計算は月割によること。
  8. 給料の未払分が¥10,000ある。
  9. 受取地代は奇数月の月末にむこう2ヵ月分として¥6,800を受け取っている。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表 回答ボタン
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 800,000

現金過不足 35,000

普通預金 1,100,000

売掛金 590,000

有価証券 450,000

繰越商品 370,000

貸付金 500,000

備品 1,200,000

土地 510,000

買掛金 500,000

仮受金 30,000

貸倒引当金 7,000

備品減価償却累計額 900,000

資本金 4,003,800

売上 3,700,000

受取地代 44,200

受取利息 15,000

受取配当金 20,000

仕入 2,960,000

給料 550,000

支払保険料 30,000

支払家賃 90,000

支払手数料 35,000

9,220,000 9,220,000
有価証券売却

減価償却費

貸倒引当金繰入

利息

給料

地代

当期純

解答

それぞれの未処理事項・決算整理事項の仕訳を切っていきましょう。

未処理事項

1.有価証券の売却

有価証券は450,000円に対して、売価は435,000円なので、差額の15,000円分は損をしたことになります。そこで有価証券売却損(費用)の科目を用います。

借方 金額 貸方 金額
未収入金
(資産の増加↑)
435,000 有価証券
(資産の減少↓)
450,000
有価証券売却損
(費用の発生↑)
15,000
2.売掛金の回収

問題文に普通預金口座に振り込まれた、とあるので普通預金の勘定を用いて仕訳をします。

借方 金額 貸方 金額
普通預金
(資産の増加↑)
40,000 売掛金
(資産の減少↓)
40,000

決算整理事項

3.現金過不足

現金過不足と仮受金の差額は、実際に足りない35,000円のうち判明したのが30,000円の仮受金なので残りは雑損として処理します。

借方 金額 貸方 金額
仮受金
(負債の減少↓)
30,000 現金過不足 35,000
雑損
(費用の発生↑)
5,000
4.売上原価の算定

仕入勘定で売上原価を算定し、繰越商品勘定が期末商品棚卸高になるように仕訳を切ります。

借方 金額 貸方 金額
仕入
(費用の発生↑)
370,000 繰越商品
(資産の減少↓)
370,000
繰越商品
(資産の増加↑)
340,000 仕入
(費用の取消↓)
340,000
5.固定資産の減価償却

備品の減価償却をします。残存価格0、耐用年数8年で減価償却し、期中に取得したわけでもないので月割計算をする必要はありません。

減価償却費:1,200,000円÷8年=150,000円

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 150,000 備品減価償却累計額 150,000
6.貸倒引当金の設定

未処理事項により、売掛金の残高が変わっていることを加味して貸倒引当金を設定しなければいけません。

貸倒引当金:(590,000円-40,000円)×2%=11,000円

残高試算表の貸倒引当金残高:7,000円

貸倒引当金繰入額:11,000円-7,000円=4,000円

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入
(費用の発生↑)
4,000 貸倒引当金 4,000
7.収益の未収

当期の10月1日から12月31日までの受取利息(3ヵ月分)を未収利息(資産)として計上します。

未収利息:500,000円×3%×\(\frac{3ヵ月}{12ヵ月}\)=3,750円

借方 金額 貸方 金額
未収利息
(資産の増加↑)
3,750 受取利息
(収益の発生↑)
3,750
8.費用の未払い

給料が10,000円未払のため、計上します。

借方 金額 貸方 金額
給料
(費用の発生↑)
10,000 未払給料
(負債の増加↑)
10,000
9.収益の前受

奇数月の月末にむこう2ヵ月分の地代を受け取っています。

11月末に12月分と1月分の地代を受け取ったことになり、1月分に関しては次期の受取地代となるため、1月分の地代を前受地代として処理します。

借方 金額 貸方 金額
受取地代
(収益の取消↓)
3,400 前受地代
(負債の増加↑)
3,400
10.当期純損失の計算

損益計算書の貸方と借方の合計差額から本問では「当期純損失」を計上します。当期純損失は貸借対象方へと移記し、貸借対照表もバランスすることを確認します。

当期純損失:3,779,550円(収益合計)-3,879,000円(費用合計)=△99,450円

これらの仕訳を精算表の修正記入欄へと記入し、収益と費用に関しては損益計算書へ、資産と負債、純資産に関しては貸借対照表へ合計金額を記載します。

精算表

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金 800,000 800,000
現金過不足 35,000 35,000
普通預金 1,100,000 40,000 1,140,000
売掛金 590,000 40,000 550,000
有価証券 450,000 450,000
繰越商品 370,000 340,000 370,000 340,000
貸付金 500,000 500,000
備品 1,200,000 1,200,000
土地 510,000 510,000
買掛金 500,000 500,000
仮受金 30,000 30,000
貸倒引当金 7,000 4,000 11,000
備品減価償却累計額 900,000 150,000 1,050,000
資本金 4,003,800 4,003,800
売上 3,700,000 3,700,000
受取地代 44,200 3,400 40,800
受取利息 15,000 3,750 18,750
受取配当金 20,000 20,000
仕入 2,960,000 370,000 340,000 2,990,000
給料 550,000 10,000 560,000
支払保険料 30,000 30,000
支払家賃 90,000 90,000
支払手数料 35,000 35,000
9,220,000 9,220,000
有価証券売却() 15,000 15,000
(未収入金) 435,000 435,000
雑() 5,000 5,000
減価償却費 150,000 150,000
貸倒引当金繰入 4,000 4,000
(未収)利息 3,750 3,750
(未払)給料 10,000 10,000
(前受)地代 3,400 3,400
当期純(損失) 99,450 99,450
1,406,150 1,406,150 3,879,000 3,879,000 5,578,200 5,578,200

精算表問題過去問・まとめ

今回は精算表の実際の過去問に触れてみました。

これだけでも30点以上の配点があり、得点できるかどうかで合否にかなり大きく直結してきます。

満点は厳しくても8割以上とって合格圏内を目指していきましょう!

カズ
カズ
分からないところは空欄でもわかるところだけ書けば結構点が貰えるから、諦めずに最後まで頑張ろう!

次回は帳簿の締め切りについて学習します。


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