[日商簿記3級]項目別試算表問題の解き方[無料講座・例題付き!]
日商簿記3級では試算表の問題は毎回高確率で出題されますが、パターンとしては項目別に出題される場合か日付順にソートされている場合かの大きく分けて2パターンしかなく、この2つを押さえてしまえば本番でも怖くありません。
今回はまず一つ目の項目別に出題される場合を見てみましょう。
項目別試算表問題の解き方
項目別試算表問題では各取引から仕訳を切り、それぞれの科目ごとに借方と貸方の合計を計算していく処理を事前にしておく必要があります。
下書きの段階でそれぞれの勘定口座(Tフォーム)を作成しておく必要があるので、常に手を動かしどのような手順で作成していくかを意識するようにしましょう。
項目別試算表問題
実際に問題を通してみていきます。
次の資料から残高試算表を完成させなさい。なお、月初(8月1日)の残高は残高試算表の月初残高欄に示したとおりである。
[資料]8月中の取引(1)現金出納帳
- 当座預金からの引出高500円
- 現金による売上高800円
- 通信費の支払高300円
(2)当座預金出納帳
(3)仕入帳
- 掛けによる仕入高600円
- 1のうち返品高100円
(4)売上帳
- 掛けによる売上高500円
- 現金による売上高800円
(5)その他の取引
- 売掛金回収のための約束手形の受取高200円
残高試算表
月末残高 | 月中取引 | 月初残高 | 勘定科目 | 月初残高 | 月中取引 | 月末残高 |
300 | 現金 | |||||
500 | 当座預金 | |||||
400 | 受取手形 | |||||
600 | 売掛金 | |||||
買掛金 | 400 | |||||
資本金 | 1,000 | |||||
繰越利益剰余金 | 500 | |||||
売上 | 600 | |||||
500 | 仕入 | |||||
200 | 通信費 | |||||
2,500 | 2,500 |
項目別試算表問題の解く手順
項目別試算表問題の場合次の順番で問題を解いていきましょう。
各取引の仕訳を切る
最初に各取引の仕訳を切っていきます。
ここで注意すべき点として、(1)-2と(4)-2の様に重複する取引がある場合、片方を消して仕訳が重複してしまわないようにしなければいけません。その点を踏まえて各仕訳を書き出していきます。
(1)-1 (現金) 500 (当座預金) 500
(1)-2 (現金) 800 (売上) 800
(1)-3 (通信費) 300 (現金) 300
(2)-1 (当座預金) 300 (売掛金) 300
(2)-2 (現金) 500 (当座預金) 500 ←(1)-1と重複
(2)-3 (買掛金) 200 (当座預金) 200
(3)-1 (仕入) 600 (買掛金) 600
(3)-2 (買掛金) 100 (仕入) 100
(4)-1 (売掛金) 500 (売上) 500
(4)-2 (現金) 800 (売上) 800 ←(1)-2と重複
(5)-1 (受取手形) 200 (売掛金) 200
Tフォームに記載
各仕訳を切った後はそれぞれの科目ごとにTフォームに借方、貸方の合計を記載していきます。
例えば現金の場合、
(1)-1 (現金) 500 (当座預金) 500
(1)-2 (現金) 800 (売上) 800
(1)-3 (通信費) 300 (現金) 300
(2)-1 (当座預金) 300 (売掛金) 300
(2)-2 (現金) 500 (当座預金) 500 ←(1)-1と重複
(2)-3 (買掛金) 200 (当座預金) 200
(3)-1 (仕入) 600 (買掛金) 600
(3)-2 (買掛金) 100 (仕入) 100
(4)-1 (売掛金) 500 (売上) 500
(4)-2 (現金) 800 (売上) 800 ←(1)-2と重複
(5)-1 (受取手形) 200 (売掛金) 200
赤で示したところが借方、青で示したところが貸方なので、それぞれを記載して、
現金
(1)-1 500 | (1)-3 300 |
(1)-2 800 | |
合計 1,300 | 合計 300 |
といったように記載していきます。なお、今回の問題では月初残高(前月繰越)が別途表に書かれているため、このTフォーム内で書き加える必要はありません。
Tフォームに書き写した仕訳取引はその左側にチェックマークを付けるなどすると写し漏れや重複もなくせるからおすすめやで~。
(1)-1レ(現金) 500 (当座預金) 500
(1)-2レ(現金) 800 (売上) 800
(1)-3 (通信費) 300レ(現金) 300
~以下省略~
同様の手順で他の科目も作ってしまいます。
当座預金
(2)-1 300 | (1)-1 500 |
(2)-3 200 | |
合計 300 | 合計 700 |
売上
(1)-2 800 | |
(4)-1 500 | |
合計 1,300 |
仕入
(3)-1 600 | (3)-2 100 |
合計 600 | 合計 100 |
売掛金
(4)-1 500 | (2)-1 300 |
(5)-1 200 | |
合計 500 | 合計 500 |
買掛金
(2)-3 200 | (3)-1 600 |
(3)-2 100 | |
合計 300 | 合計 600 |
受取手形
(5)-1 200 | |
合計 200 |
通信費
(1)-3 300 | |
合計 300 |
それぞれのTフォームが完成したら試算表の月中取引欄へと記入
そして最後に月初残高欄+月中取引欄の値を合計し、借方と貸方の差額を月末欄に記入します。
残高試算表
月末残高 | 月中取引 | 月初残高 | 勘定科目 | 月初残高 | 月中取引 | 月末残高 |
1,300 | 1,300 | 300 | 現金 | 300 | ||
100 | 300 | 500 | 当座預金 | 700 | ||
600 | 200 | 400 | 受取手形 | |||
600 | 500 | 600 | 売掛金 | 500 | ||
300 | 買掛金 | 400 | 600 | 700 | ||
資本金 | 1,000 | 1,000 | ||||
繰越利益剰余金 | 500 | 500 | ||||
売上 | 600 | 1,300 | 1,900 | |||
1,000 | 600 | 500 | 仕入 | 100 | ||
500 | 300 | 200 | 通信費 | |||
4,100 | 3,500 | 2,500 | 2,500 | 3,500 | 4,100 |
項目別試算表問題・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
また、数字に関しては全て半角で3桁ごとにカンマ区切りを入れること。
なお回答ボタンは各列の下側にある。
該当しない箇所は空白にしておくこと。
[資料]6月中の取引(1)商品の仕入れに関する取引
- 掛け仕入高600円
- 約束手形の振出による仕入高200円
- 掛け仕入高に掛る戻し高100円
- 現金仕入高300円
(2)商品の売上げに関する取引
- 掛け売上高1,000円
- 現金売上高900円
- 約束手形の受け取りによる売上高100円
(3)当座預金の預け入れ
- 売掛金の当座預金への振り込み600円
- 手形代金の当座預金への振り込み100円
(4)当座預金からの引き落とし
- 買掛金の支払い300円
- 手形代金の支払い300円
(5)その他の取引
- 租税公課の現金による支払高200円
- 前期に発生した売掛金100円が回収不能となり、貸倒として処理した。
残高試算表
月末残高 | 月中取引 | 月初残高 | 勘定科目 | 月初残高 | 月中取引 | 月末残高 |
800 | 現金 | |||||
700 | 当座預金 | |||||
600 | 受取手形 | |||||
700 | 売掛金 | |||||
支払手形 | 300 | |||||
買掛金 | 400 | |||||
貸倒引当金 | 200 | |||||
資本金 | 1,300 | |||||
繰越利益剰余金 | 700 | |||||
売上 | 1,200 | |||||
1,200 | 仕入 | |||||
100 | 租税公課 | |||||
4,100 | 4,100 | |||||
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回答ボタン |
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解説(クリックで展開)
項目別試算表問題・まとめ
今回は項目別に取引が与えられた場合の問題を見ていきました。
このパターンの問題で注意すべき点は2点、正しい仕訳を切ることと、重複した仕訳を把握し二重計上しないことです。
手を動かして慣れていきましょう!
次回は日付順で与えられた場合の取引を見ていきます!
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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