法定福利費の処理[日商簿記3級講座]
今回は日商簿記3級の法定福利費について学習します。
法定福利費
法律により会社と労働者とで半々で費用を負担すると定められているお金に関しては法定福利費と呼ばれる費用の科目を用います。
具体的には健康保険料や厚生年金保険料などがあり、これらを合わせて社会保険料と言います。
従業員の社会保険料を納付した場合
実際に会社が従業員の社会保険を負担した場合の処理を見ていきましょう。
これまでの知識を用いると・・・
現金で支払っているので、資本の減少という事で貸方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 (資産の減少↓) |
20,000 |
社会保険料を納付した場合
健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料に関しては法定福利費(費用)で処理します。
費用勘定なので借方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
法定福利費 (費用の発生↑) |
20,000 | 現金 | 20,000 |
給料と合わせた処理
以前給料の処理で預り金に関する学習をしました。その際に社会保険料の預り金として天引きして処理することもあるので、そちらも並行して学習していきましょう。
これまでの知識を用いると・・・
給料として発生したのは500,000円、当座預金から実際に支払うのは500,000円-(10,000+10,000)円=480,000円となります。
給料は費用の発生なので借方に、当座預金は資産の減少なので貸方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
給料 (費用の発生↑) |
500,000 | 当座預金 (資産の減少↓) |
480,000 |
社会保険料預り金
給料から源泉徴収する時、その源泉徴収分は預り金と呼ばれる勘定科目を使用しました。
社会保険料の様に用途が分かっているときは預り金で良い場合もありますが、より詳細に社会保険料預り金と呼ばれる勘定科目を用いることもあります。
こちらも預り金同様負債になるので、貸方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
給料 | 500,000 | 当座預金 | 480,000 |
社会保険料預り金 (負債の増加↑) |
20,000 |
社会保険料を納付した場合
従業員負担分の社会保険料と会社負担分の社会保険料をあわせて納付したときは従業員負担分に関しては社会保険料預り金で、会社負担分は法定福利費で処理します。
社会保険料を納付した場合
社会保険料を納付する際、いったん社会保険料預り金として処理していた負債を取り崩すため借方に記入します。
会社が負担する費用である法定福利費もこの時発生するので、借方に記載します。
そして当座預金から振り込むため当座預金を資産の減少として貸方に記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
社会保険料預り金 (負債の減少↓) |
20,000 | 普通預金 (資産の減少↓) |
40,000 |
法定福利費 (費用の発生↑) |
20,000 |
法定福利費・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][当座預金][社会保険料預り金][給料][法定福利費]
問1
給料日につき、従業員の給料100,000円から従業員負担分の社会保険料10,000円を差し引いた残額を現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
(負債) |
|||
(資産) |
問2
社会保険料預り金として処理していた従業員負担分の社会保険料10,000円と社会負担分の社会保険料10,000円の合計を現金で納付した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
(費用) |
|||
(負債) |
解説(クリックで展開)
法定福利費・まとめ
法定福利費の場合は大抵給料と合わせて出題されることが多いです。
給料は預り金や従業員立替金のところで触れていますが、理解が曖昧な場合はもう一度振り返ってみましょう。
次回からは資本金についての学習です。具体的には株式や剰余金について学んでいきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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