[日商簿記3級]前期に貸倒が発生したときの処理[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記3級の前期分が貸倒した場合について学習します。
前期の貸倒について
当期中に貸倒が起こった場合は貸倒引当金の設定がされておらず、そのまま損失として計上することが多いです。
しかし、債権が発生した期の決算日において貸倒引当金を設定するため、翌年にはその額を使用して計上されている分は債権との相殺処理を行います。
前期に貸倒損失が発生した場合
では早速、前期に発生した売掛金が貸し倒れた場合の仕訳を見ていきましょう。
これまでの知識を用いると・・・
売掛金が貸し倒れて回収不能になるという事は、資産の減少に当たります。したがって貸方に記載しましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 (資産の減少↓) |
5,000 | ||
前期取引分の債権が貸し倒れた場合
前期に発生した売掛金や受取手形といった債権には前期の決算日(令和2年3月31日)において貸倒引当金が設定されています。
そのため、以前に発生した債権が貸し倒れた時は、まず貸倒引当金の残高1,500円を取り崩します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 1,500 | 売掛金 | 5,000 |
続いて、貸倒引当金と実際に貸し倒れた金額の差額(5,000-1,500)を貸倒損失として処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 1,500 | 売掛金 | 5,000 |
貸倒損失 (費用の発生↑) |
3,500 |
貸倒の処理をまとめるとこんな感じだニャ
発生時期 | 処理 |
当期 | 全額貸倒損失(費用) |
前期以前 | 貸倒引当金 + 不足分を貸倒損失 |
前期に貸倒処理した売掛金を当期に回収した場合
倒産してしまった企業でも誠意を見せて、時期以降に何とか工面して返済してくれる場合もあります。その時の処理もあわせてみてしまいましょう。
これまでの知識を用いると・・・
現金で回収しているので借方に記載ですね。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 (資産の増加↑) |
5,000 |
前期に処理した債権を回収した場合の仕訳
前期に貸倒処理した売掛金が当期に回収できた場合は売掛金勘定を用いたいところですが、前期の時点で減少させてしまっています。
こういった場合、一度貸倒損失といった費用科目で処理していたので、償却債権取立益といった収益の勘定科目で計上して相殺します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 5,000 | 償却債権取立益 (収益の発生↑) |
5,000 |
前期貸倒・例題
実際に例題を解いて問題に慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][当座預金][売掛金][貸倒引当金][償却債権取立益][貸倒損失][貸倒引当金繰入]
問1
得意先兵庫商事が倒産し、売掛金10,000円(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高が3,000円ある。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
(負の資産) |
|||
(費用) |
問2
前期に貸倒処理した売掛金2,000円を小切手により回収した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解説(クリックで展開)
前期貸倒・まとめ
今回は前期に貸倒が発生した場合の処理を学習しました。
前期の期日に貸倒引当金を設定した意味がここで出てきますね。
貸倒引当金を設定せずに3年目に相手が倒産した場合
期 | ×1年 | ×2年 | ×3年 |
損失(費用) | 100 | 100 | 300 |
貸倒引当金を設定してに3年目に相手が倒産した場合
期 | ×1年 | ×2年 | ×3年 |
損失(費用) | 0 | 0 | 500 |
次回は簿記3級の中でも超重要論点の固定資産の話に入っていきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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