商品売買の基本(分記法・三分法)[日商簿記3級講座]
今回は日商簿記3級における商品売買の基本について学習します。
商品売買
会社や商店を建てたものの、売る物がない。それではビジネスは成り立ちません。
そこでまずはビジネスの基礎である、物を仕入れて売るような取引を見てみましょう。
このページでは商品を買ってきた場合や売った場合の処理を分記法と三分法に分けてご紹介します。
いきなり分記法、三分法と言われてもピンとこないと思うので、それぞれの処理について具体的に見ていきましょう。
商品を買ってきたときの仕訳(分記法)
最初に、分記法と呼ばれる記帳方法から学習していきましょう。
商品を売るにも、サービス業は別として元手となる物が無いと売れません。まずは売り物を調達する所から考えます。
商品を仕入れたときの仕訳を作る
ペットショップのハムスターやひまわりの種など売り物の事を商品と呼びます。また、自分の会社で売るために商品を調達することを、商品を仕入れると言います。
今回は自分の会社に仕入れた物が増えるので、仕訳の借方に商品(資産)と記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
商品 (資産の増加↑) |
500 |
また、商品を仕入れた際に対価として現金(資産)を払っています。
資産がなくなる場合は貸方に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
商品 | 500 | 現金 (資産の減少↓) |
500 |
これで貸借もバランスし、仕訳の処理は完了となります。
商品を売ったときの仕訳(分記法)
商売をする上では、物を買う(仕入れる)だけではなく、売らなければ商売になりません。
また、購入した額よりも高く売らなければ利益にならず商売が回りません。
そこで、500円で仕入れたものを今度750円で売る取引を考えてみましょう。
商品を売り上げたときの仕訳を作る
商品をお客さんに売ることを売り上げると言います。
ひまわり商事はぷりんに商品を売り上げて、代わりに現金750円を受け取ったので、会社の現金(資産)が増えます。
資産の増加なので、借方に現金と記載しましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 (資産の増加↑) |
750 |
また、商品を売ったため、会社の商品(資産)が減ります。
資産が減るので、貸方に商品と記入します。
その際、商品はもともと500円で仕入れているので、金額は500円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 750 | 商品 (資産の減少↓) |
500 |
これで仕訳はおしまい。めでたしめでたし。とはいきませんね。
仕訳を見ると貸方と借方が一致していません。この差額の250円(750円-500円)は500円で仕入れた物を750円で売ったことによる儲けの額です。
したがってその分を儲けと分かるように記録しないといけません。
その際使う勘定が商品売買益と呼ばれる収益の勘定になります。
収益の発生は貸方でしたね。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 750 | 商品 | 500 |
商品売買益 (収益の発生↑) |
250 |
分記法とは
あらためて、今の処理は分記法と呼ばれる方法になります。
分記法とは主に商品勘定を用いて仕訳処理を行うことで、仕入れた際の商品原価を元に仕訳処理をしました。
また、仕入れと売り上げの差額を商品売買益と呼ばれる収益の勘定で処理しました。
このように、商品売買について、商品(資産)と商品売買益(収益)と言った二つの勘定を元に処理する方法を分記法と呼びます。
商品を仕入れたときの仕訳(三分法)
次に紹介する三分法ではこれらの勘定は出てきません。
代わりにどのような勘定が出てくるか注意してみてください。
仕入の取引自体は分記法の時と同様、500円で仕入れたとします。
商品を仕入れたときの仕訳
三分法では商品を仕入れたときは商品(資産)の代わりに仕入という費用の勘定科目を用います。
費用 |
費用が発生した時は借方に書きます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 (費用の発生↑) |
500 | 現金 | 500 |
支払いは現金で払っており、こちらは分記法ですでに触れているので割愛します。
商品を売り上げたときの仕訳(三分法)
売り上げた際も同様、先ほどと同じケースで考えてみましょう。
商品を売り上げたときの仕訳
三分法では商品を売り上げた際は売上という収益勘定を用いて処理します。収益を計上するときの勘定科目は貸方に来ます。
収益 |
なお、750円で売り上げているので金額は750円となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 750 | 売上 (収益の発生↑) |
750 |
三分法とは
三分法とはその名の通り、商品売買の処理を仕入(費用)、売上(収益)、繰越商品(資産)の三つの勘定に分けて処理するため三(つに)分(けた方)法のことです。
なお、分記法では商品売買益を用いて収益がいくらあったかをあらためて計算しなおしていましたが、三分法では毎回の仕訳で収益・費用を計上しているため、売上げるたびにいちいち収益を計算しなくてよいと言ったメリットがあります。
また、日商簿記3級においてはほとんどの問題が三分法のため、今後は三分法メインで問題を扱っていくこととします。
商品売買・例題
例題を解いて慣れて行きましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][商品][商品売買益][仕入][売上]
問1
商品800円を仕入れ、代金は現金で支払った。なお仕訳の処理は分記法で行っている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
先日800円で仕入れた商品を1,000円で売上げ、現金1,000円を受け取り、商品売買益を計上した。なお仕訳の処理は分記法で行っている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
商品売買益 |
問3
商品800円を仕入れ、代金は現金で支払った。なお仕訳の処理は三分法で行っている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問4
先日800円で仕入れた商品を1,000円で売上げ、現金1,000円を受け取った。なお仕訳の処理は三分法で行っている。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
商品売買・まとめ
今回は最も簡単な現金での商品売買について紹介しました。
次回は掛金を用いた取引について学んでいきます。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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