情報処理安全確保支援士は意味ない?IT化が進む昨今における将来性は?
情報処理安全確保支援士は、2017年からスタートした比較的新しい国家資格です。
IT系初の士業とされていますが、
と、受験したり登録したりをためらってしまう方も多いようです。
そこで今回は、情報処理安全確保支援士に登録する意味はあるのか、将来性はあるのかといった点について、解説していこうと思います。
情報処理安全確保支援士とは?
情報処理安全確保支援士は比較的新しい資格のため、あまり耳にしたことがないと感じる方も多いかと思います。
そこでまずは、情報処理安全確保支援士がどんな資格であるかを押さえておくとよいです。
国家資格である情報セキュリティスペシャリストを踏襲したIT初の士業資格
IT化が進むにつれ、サイバー攻撃やインシデントの増加により、企業や組織が被害を受けるケースが年々増えてきています。
また、新しい技術が出れば出るほど、攻撃手法も巧妙に進化するため、古いセキュリティの知識では役に立たないと言ったケースも出てきました。
そこで、情報セキュリティの最新の知識を確保するためにも、国家資格である情報セキュリティスペシャリストから定期的に知識をインプットするため講習を義務づけ、登録制にしたのが情報処理安全確保支援士です。
登録制であり、講習を通して新しい知識をインプットできる
情報処理安全確保支援士と、その前身である情報セキュリティスペシャリストは、試験問題の内容にそこまで大きな違いはありません。
大きく変わるのは合格後の流れで、情報セキュリティスペシャリストでは1度合格してしまえば、そのまま資格が有効でした。
しかし支援士試験になってからは登録制となり、年間に1回ずつ、3年周期で講習を受ける義務があります。
確かに受講料は高く、時間もそれなりにかかります。
しかし、最近のセキュリティ動向を知れるため、一度資格を取っても環境が変わってしまい知識が通用しないと言った浦島太郎状態を回避できるため、メリットは大きいです。
情報処理安全確保支援士が意味ないって本当?
情報処理安全確保支援士を取得したところで、「意味がない」と言われるケースもあります。
情報処理安全確保支援士がなぜ意味がないのか、考えられる理由に触れていきます。
認知度が低く、具体的な仕事内容が知られていない
情報処理安全確保支援士は2017年に開始されたばかりで歴史が浅く、情報系を除くと知名度が低いことは否めません。
また、資格名も情報セキュリティスペシャリストと比較すると抽象的で、どのような仕事をするかあまり分からないとの声も耳にします。
知名度が低いかつ仕事内容が分かりにくいと言ったところからあまり意味がないと言われてしまいます。
しかし、支援士には支援士の立派な仕事があります。具体的な仕事内容については以下の記事をご覧ください。
現時点では名称独占資格であるため、業務独占資格と比較すると劣る
情報処理安全確保支援士は、所有していればその名前を語れる名称独占資格です。
しかしながら、税理士や弁護士、医師といった業務独占資格(いわゆる免許みたいなもの)ではないため、支援士の資格を持っていなくともセキュリティエンジニアやセキュリティコンサルティングなどの業務に従事できます。
したがって、「わざわざ取らなくてもその仕事ができるなら、とる必要ないよね」と考える方が多く、意味がないと言われることがあります。
さらにエンジニアの世界では実務経験や技術の方が資格より優遇されることが多いです。
資格だけ持っていても仕事ができない場合、なおさら資格は意味ないと揶揄されてしまうこともあります。
年間の費用が高すぎるとの声も
情報処理安全確保支援士の費用は、3年で14万円ほどかかります。
それだけの投資効果を得られた場合は良いのですが、そうでないと負担ばかり増して、「どうして高い金を払っているのに給料は上がらないんだ!」と不満からネガティブなイメージにつながってしまうことも考えられます。
法的義務があるため、新たな責任を受けるケースも
情報処理安全確保支援士になることで、新たな責任が生まれます。
例えば業務で知った顧客の秘密を漏らすなど、支援士の信用を失墜する行為を行えば資格がはく奪されるだけでなく罰金などが発生するケースもあるのです。
このようにデメリットもあることから、登録をためらう方もいるかもしれません。
情報処理安全確保支援士の将来性
情報処理安全確保支援士は意味ないという声も多いですが、筆者自身そうは思いません。
実際筆者も、この資格のおかげで仕事の幅が広がったと感じています。
具体的にどのような状況で役に立ったか、また、将来性はあるのかどうかについても触れていきます。
IT化が進み、セキュリティに詳しい方の需要拡大
昨今、IT化が進みどの業界でもPCやタブレットを使うことが増えてきています。
求人を見ても、非IT系の業界でPCやタブレットなどが扱える方の求人は増えてきました。
PCやタブレットが普及すればおのずとセキュリティの需要も高まります。
総務省では今後もセキュリティに詳しい人が不足していく一方だと推定しており、需要は増す一方だと考えられます。
そこで、最新のセキュリティ動向にも詳しいと国のお墨付きをもらった支援士資格を保有していれば、引く手あまたなのは言うまでもありません。
定期的に知識をインプットできるため、即戦力であるとの期待が高まる
技術の進化に伴い、さまざまな攻撃や脆弱性が出てきます。
そこで、毎年しっかりと学習の場を設けて勉強できる支援士であればそれらの攻撃や脆弱性にも対応できる可能性があります。
合格当時の知識からアップデートされていなければ、即戦力とはなりえません。
常に新しい知識を講習から取り入れている支援士であれば、即戦力として活躍できる可能性は高いです。
将来的に支援士の必置化が進む可能性も
現在のところ、支援士はまだ名称独占資格にとどまっています。
しかし国を挙げてセキュリティに従事する方は必要だと銘打っており、今後は何らかの形で支援士の必置化が進む可能性はあります。
現に、内閣官房情報通信技術総合戦略室と総務省行政管理局が定める「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン実務手引書」の開発・管理・運営に携わる要件として、情報処理安全確保支援士が指定されています。
国を挙げてさまざまな取り組みを検討中なようなので、常に動向をチェックしておきましょう。
情報処理安全確保支援士の意味・将来性まとめ
今回は情報処理安全確保支援士の意味や将来性について解説しました。
IT化が進む昨今において、特にセキュリティは重要な概念であり人手不足が懸念されます。
今後需要が高まる可能性も高く、将来性のある資格です。
IT系企業だけでなく、製造業や金融業でも需要が高まると予想されるので、早い段階で受験して登録しておくと恩恵を得られる可能性が高いです。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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