[日商簿記2級(商業簿記)]売買目的有価証券[無料講座・例題付き!]
今回は日商簿記2級における売買目的有価証券について学習します。
売買目的有価証券
売買目的有価証券は投資を目的として保有する証券です。
そのため決算日においては評価替えをする必要があります。
購入から期中での販売、評価替えまでの一連の流れを例題を通して確認しましょう。
②×2年10月1日 当期中に売買目的で購入したA社株式を、1株150円で50株売却し、代金は現金で受け取った。
③×3年3月31日 決算において、A社株式の帳簿価格を評価替えする。この時のA株は1株120円であった。
①売買目的有価証券の購入
有価証券は売買目的有価証券に限らず、現金としての価値があるものなので資産に該当します。
有価証券を購入した場合はそれぞれの保有目的に応じた勘定科目を用います。
今回の場合は売買目的有価証券(資産)となりますね。
なお、有価証券の取得原価は有価証券本体価格である購入代価に加えて証券会社に支払う売買手数料などの付随費用を足した金額となります。
@100円×100株(購入代価)+1,000(付随費用)=11,000円になるでチュね!
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売買目的有価証券 (資産の増加↑) |
11,000 | 現金 (資産の減少↓) |
11,000 |
ついでにここで1株当たりの取得原価も算出しておくと良いでしょう。
- 11,000円÷100株=@110円
②売買目的有価証券の売却
株式を売る時は持っている株式が手元からなくなるため資産の減少として扱います。
今回のケースでは1株あたり@110円で取得した株式を50株売っているため、帳簿から減らす有価証券の金額(帳簿価格)は5,500円(@110円×50株)となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 (資産の増加↑) |
売買目的有価証券 (資産の減少↓) |
5,500 |
また、1株当たり@150円で売却するため、受け取った金額(売却価格)は7,500円(@150円×50株)となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 7,500 | 売買目的有価証券 | 5,500 |
すると貸借が合わなくなります。売却価格と帳簿価格の差は有価証券売却益(収益)または、有価証券売却損(費用)を用いて処理をします。
貸借差額からどちらに科目が来るかで収益か費用かの判断をしても良いですが、今回のケースでは1株当たり110円で買ったものを150円で売っているため収益が出ていると直感的にわかるのではないでしょうか。
したがって、売却価格と帳簿価格の差額である2,000円(7,500円-5,500円)を有価証券売却益で処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 7,500 | 売買目的有価証券 | 5,500 |
有価証券売却益 (収益の発生↑) |
2,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 5,000 | 売買目的有価証券 | 5,500 |
有価証券売却損 (費用の発生↑) |
500 |
③売買目的有価証券の評価替え
売買目的有価証券は決算時に時価の修正を行う必要があります。
今回のケースでは1株110円から1株120円にアップしています。(差額10円)
保有しているA社の株式数は50株なので、@10円×50株=500円だけ資産価値が増えたことになります。
したがって売買目的有価証券を500円増やします。
また、有価証券の価値が変動した時の他方の勘定科目は有価証券評価益(収益)または有価証券評価損(費用)で処理をします。
今回は有価証券の価値が上がっているため有価証券評価益を用います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売買目的有価証券 (資産の増加↑) |
500 | 有価証券評価益 (収益の発生↑) |
500 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
有価証券評価損 (費用の発生↓) |
500 | 売買目的有価証券 (資産の減少↓) |
500 |
となるでチュね!
売買目的有価証券・例題
例題を解いて慣れていきましょう。
問題
金額は3桁ごとにカンマで桁区切りをして半角で入力すること(iOSの一部の環境以外は自動入力されます)。
(例:現金 500、商品 1,000,000)
また、仕訳が複数行に渡る場合、金額の多い物から順に書き、不要なところは空白のままにしておくこと。
使える勘定科目は以下のものとする。
勘定科目:[現金][売買目的有価証券][未払金][有価証券売却益][有価証券売却損][有価証券評価益][有価証券評価損]
問1
×2年4月1日 売買目的で鹿児島商事の株式200株を1株あたり200円で購入し、代金は売買手数料4,000円とともに月末に支払うこととした。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問2
×2年9月1日 鹿児島商事の株式150株を、1株当たり250円で売却し、代金は現金で受け取った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
問3
×3年3月31日 決算につき、売買目的で保有する鹿児島商事の株式50株を時価(@190円)に評価替えする。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
解答(クリックで展開)
売買目的有価証券・まとめ
今回は売買目的有価証券について学習しました。取得時の処理、売却時の処理、期末の評価替えについては押さえておきましょう。
次回は満期保有目的債券について学習します。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません