医療事務と医療秘書の違いとは?業務内容や年収・必要資格などを徹底比較!
医療に従事する人気職の一つに医療事務があります。
一方で同じ医療系の事務職で医療秘書と呼ばれる仕事もあるのです。
といった疑問を持つ方も多くみられるので、この記事では二者間の違いについて、仕事内容・給料・必要資格などの面から解説します。
医療事務と医療秘書について
医療事務と医療秘書はともに医療に関連する事務職として活躍できる職種です。
双方ともに「医療」といった名称がついていることや、医療機関で事務職として働けることも多く、違いを明確に理解している方は少ないのではないでしょうか。
しかし、じつはこの二者間の業務内容としては大きな違いがあります。
業務に必要な資格も全く別物になるので、その違いを押さえていきましょう。
医療事務とは
医療事務は主に
- 診療受付
- 医療費の計算
- カルテの作成
- 会計
- レセプト
といった医療保険制度や診療報酬の仕組みに関する知識を用いた事務作業が主な業務内容となります。
診療報酬点数の計算やレセプトといった保険請求事務は医療事務ならではの仕事といえますね。
医療秘書とは
医療秘書は、医療事務のレセプトや診療報酬点数の計算に加えて医療機関で働く他の医療従事者である医師や看護師をサポートすることが主な業務となります。
名前に秘書とつくだけあり、秘書業務や情報管理業務をメインに行うことになりますね。
医療分野は技術の進展やITの普及で専門家・高度化が進んでおり、各部門での連絡を円滑に取り持つポジションが必要となりました。
そのポジションに位置する職業が医療秘書といえるわけですね。
二者間の関連性は?
医療事務と医療秘書は名前は似ており、業務内容としても類似・重複するところがあります。
まず、資格試験においてはともに医療機関で事務を行う職種であるため問われる内容もおのずと似通ってくることでしょう。
具体的には
- 医療用語
- 医療に関する知識
- 医療に関連する法律
などがあげられますね。
医療事務資格について
次に、それぞれの仕事に直結する資格についてみていきましょう。
医療事務を代表する資格
医療事務に関する資格はいくつかありますが、代表的なものには
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
- 医療事務管理士技能認定試験
- 診療報酬請求事務能力検定試験
- 医療事務認定実務者試験
などがあげられます。
この中でも特に診療報酬請求事務能力検定試験は厚生労働省に認められ最高峰と呼ばれる資格です。
一方でメジャーとされる資格は医療事務管理士技能検定試験となります。
医療事務試験の範囲
医療事務試験で問われる試験の範囲は
- 医学一般
- 医療法規
- 保険請求
といった幅広い知識に加え
- レセプト
- カルテ作成
といった実技的な内容も多く含まれます。
いずれにしても幅広い知識に加えて専門的な計算能力が問われます。
医療事務試験の難易度
医療事務試験の難易度は検定試験によっても異なりますが、合格率は平均60%~70%とされています。
勉強時間については初学者から初めて200時間~とされています。
いずれにしても医療事務は独学でも頑張れば十分に合格できる資格と言えるでしょう。
医療秘書資格について
一方で医療現場において、患者だけでなく医師や看護師などの医療従事者へのサポートも取り持つ医療秘書に関する資格も確認してみましょう。
医療秘書を代表する資格
医療秘書を代表する資格としては
- 医療秘書技能検定試験(1~3級)
- 2級医療秘書実務能力検定試験
- 日本医師会認定医療秘書
が挙げられます。この中でも医療秘書技能検定試験は歴史も長く、最も人気な資格です。
医療秘書試験の範囲
医療秘書試験の範囲も確認しておきましょう。
最も人気の高い医療秘書技能検定試験では、以下のように3つの領域に分けられます。
領域 | 出題範囲 |
Ⅰ | ・医療秘書実務 ・医療機関の組織・運営 ・医療関連法規 |
Ⅱ | ・医療基礎知識 ・医療関連知識 |
Ⅲ | ・レセプト作成 ・診療報酬点数表 |
医療秘書試験の難易度
医療秘書試験は3級~1級まであるため合格率にも幅があります。
具体的には
級 | 合格率 |
3級 | 70%前後 |
2級 | 50%前後 |
準1級 | 30%前後 |
1級 | 15%前後 |
この中でも就職に強いのは2級~準1級と言われており、2級までは誰でも受験可能です。
しかし、準1級以上はその下位の級に合格していることが必要とされています。
また、医療秘書の資格は専門学校や短期大学で学ぶことが多いです。
そのため、取得にかかる時間や費用の面からも医療秘書の方が取得難易度が高いといえるでしょう。
医療事務と医療秘書の比較
医療事務と医療秘書、双方における仕事内容や資格について解説しました。
あらためてこの二者間の違いについても解説していこうと思います。
仕事内容はどっちが広い?
まず仕事内容ですが、医療事務はレセプトや診療報酬計算・会計・患者さんの対応があげられました。
一方で医療秘書はこれらの業務に加え医師や看護師と連携をとってサポートするといった秘書的な役割もあるので医療秘書の方が業務範囲は広いと言えるでしょう。
しかし最近では医療事務の業務でも医師や看護師とのコミュニケーションが重視されており二者間の境界はあいまいになりつつあります。
今後はAIの躍進により計算や事務処理のなかでも単純作業はコンピュータにとって代わるとも言われています。
将来的には医療事務も医療秘書のようにコミュニケーションや連携を重視する職業に移行する可能性は十分に考えられるでしょう。
資格の難易度はどっちが高い?
資格の難易度ですが、範囲を見ると医療秘書資格が一般的な医療事務資格の内容を包括しています。
範囲の広さからも圧倒的に医療秘書資格の方が難しいといえるでしょう。
しかし医療秘書においても3級であれば医療事務より合格率は高く(簡単に)、医療事務の中でも難易度が高い診療報酬請求事務能力検定試験であれば医療秘書準1級クラスになります。
このことから、
医療秘書3級<医療事務全般<医療秘書2級<診療報酬請求事務能力検定試験≤医療秘書準1級<医療秘書1級
位にとらえておいてよいでしょう。
給料はどちらが高い?
気になる給料ですが、医療事務は300万円前後、医療秘書は320万円前後と言われています。
このことからも医療秘書の方が少し高いように思われるのではないでしょうか。
しかし医療系の仕事は特に、個人の病院に勤めるか大手病院や大学病院に勤めるかで給与に大きな差が出ます。
医療事務の方が従事者数が多くばらつきも大きくなるので、一概に医療秘書の方が年収が高いとは言えません。
求人数はどちらが多い?
次に求人数です。
ハロワや転職サイトを見ていると圧倒的に医療事務の方が求人数が多いといえるでしょう。
しかし医療秘書資格は医療事務の業務内容である診療報酬明細書作成・カルテの作成・レセプトの計算なども遂行できるため、医療秘書資格を保有している方が医療事務として従事しているケースもよく見られます。
逆に医療事務に従事しているものの、医師や看護師と連携して働くケースも多いです。このことからも医療事務と医療秘書の仕事の境界があいまいになっていることは否めませんね。
どっちを先に取るべき?ダブルライセンスはあり?
医療事務資格と医療秘書資格、どちらを先に取るべきかといった質問もよく見られます。
資格の内容的には医療秘書資格を取っておくほうが、より広い知識を得られますし将来性も高いといえるでしょう。
しかし医療秘書を取得するためには専門学校に行ってがっつり勉強する方が多いです。
一方で医療事務は通信講座も充実しており、学習内容からも独学でも十分に合格できる資格といえます。
行われている試験の回数を比較してみても、医療事務は年6回、医療秘書は年2回となっており、医療事務の方が受験できる回数が多く合格を狙いやすいといえるでしょう。
このことからまずは医療事務を取得しておくことをおすすめします。
医療事務を取得しておくとある程度の基礎知識や技能が備わります。
この知識は医療秘書にもつながるため、まずは医療事務を取得し、余裕があれば医療秘書にも挑戦してダブルライセンスを狙うとよいでしょう。
医療事務と医療秘書の違いまとめ
今回は医療秘書と医療事務の違いについて解説しました。
どちらも医療に関する事務職ですが、医療事務は会計やレセプトといった事務処理がメインで医療秘書は医師や看護師のサポートがメインといえます。
しかし最近ではその境界もあいまいになっており、医療事務が医療秘書の仕事をしたり、逆に医療秘書が医療事務の仕事をしたりするケースも増えています。
いずれにしても、どちらの仕事も将来性は高く需要もあるため資格取得によって今のうちに知識をつけておくと活躍の幅が広がります。
高校卒業後に医療系専門学校に進学し、首席で卒業する。
医療事務だけでなく経理の経験もあり。一人息子をこよなく愛する。
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