[FP2級]実技試験におけるFP協会ときんざいの違いは?どれを選ぶべき?
FP2級の実技試験は日本FP協会が実施するものと、きんざいが実施するものに分かれます。
受験者の方の中には
と言った疑問を持つ方も多いと思うので、この記事では各科目の傾向や、どれを選ぶべきかについて解説していきます。
FP2級の実技試験におけるFP協会ときんざいの違い
まず、実技試験において日本FP協会で受験する場合ときんざいで受験する場合で何が違ってくるのかを確認しておきましょう。
出題範囲の違い
FP2級における実技試験の日本FP協会ときんざいの大きな違いですが、出題範囲がかなり異なってきます。
実技科目と一口に言っても、日本FP協会では資産設計提案業務、きんざいでは個人資産相談業務・生保顧客資産相談業務・中小事業主資産相談業務・損保顧客資産相談業務があります。
日本FP協会 | きんざい |
資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
– | 中小事業主資産相談業務 |
– | 生保顧客資産相談業務 |
– | 損保顧客資産相談業務 |
出題範囲も結構違ってくるので、一覧表で確認しておきましょう。
資産設計提案業務 (日本FP協会) |
個人/中小事業主資産相談業務 (きんざい) |
生保/損保顧客資産相談業務 (きんざい) |
|
ライフプランニングと資金計画 | ○ | ○ | ○ |
リスクマネジメント | ○ | ○ | |
金融資産運用 | ○ | ○ | |
タックスプランニング | ○ | ○ | ○ |
不動産 | ○ | ○ | |
相続・事業承継 | ○ | ○ | ○ |
それぞれの科目についての詳細も触れていきます。
資産設計提案業務(日本FP協会)
資産設計提案業務の内容としては
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- ファイナンシャル・プランニングのプロセス
- 顧客のファイナンス状況の分析と評価
- プランの検討・作成と提示
出典:https://www.jafp.or.jp/exam/subjects_02/
となっています。
要約するとファイナンシャル・プランナーとしての倫理や顧客に対してどのようにライフプランを提供するか、と言った内容を突き詰めて問われる形になります。
出題範囲は実技の中で一番広く、
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業継承
のすべてが出題されます。
個人資産相談業務(きんざい)
個人資産相談業務の内容としては
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- 個人顧客のニーズ及び問題点の把握
- 問題の解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った相談
出典:https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/2kyu/index.html
となっています。
科目の名前に個人とある通り、個人向けのライフプラン策定や年金プランの策定、所得税・住民税に関する試験内容となっており、きんざいの中では受験者数が最も多いです。
試験科目としては
- ライフプランニングと資金計画
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業継承
の5つから出題されます。
中小事業主資産相談業務(きんざい)
中小事業主資産相談業務は
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- 中小事業主のニーズ及び問題点の把握
- 問題の解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った相談
と言った内容になっています。
中小事業主向けと言うことで、事業承継やM&A、組織再編など、企業絡みの内容についてよく問われます。
試験科目としては個人資産相談業務同様
- ライフプランニングと資金計画
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業継承
の5つから出題されます。
生保顧客資産相談業務(きんざい)
生保顧客資産相談業務では
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえた ファイナンシャル・プランニング
- 生保顧客のニーズ及び問題点の把握
- 問題の解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った相談
と言った内容になっており、生保商品をはじめとする保険商品や保険計理、相続・贈与などについて問われます。
出題範囲はきんざいのなかでも狭く、
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント
- タックスプランニング
- 相続・事業継承
の4つから出題されます。
損保顧客資産相談業務(きんざい)
損保顧客資産相談業務では
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえた ファイナンシャル・プランニング
- 損保顧客のニーズ及び問題点の把握
- 問題の解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った相談
が主な内容で、法人における保険加入や年金プランの策定、税務に関する知識を問われます。
出題範囲は生保顧客資産相談業務同様、
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント
- タックスプランニング
- 相続・事業継承
の4つとなっています。
合格率の違い
出題範囲や内容もそうですが、合格率も科目によって大きく異なっています。
以下の表が過去3回の合格率になりますが、ばらつきがあることがお分かりいただけるかなと思います。
年月 | 資産設計提案業務 (日本FP協会) |
個人資産相談業務 (きんざい) |
中小事業主資産相談業務 (きんざい) |
生保顧客資産相談業務 (きんざい) |
損保顧客資産相談業務 (きんざい) |
2020年9月 | 57.37% | 33.71% | 57.54% | 60.73% | 58.62% |
2019年9月 | 62.63% | 31.72% | 55.49% | 50.80% | 67.22% |
2019年1月 | 50.31% | 36.93% | 33.98% | 40.06% | 50.00% |
更に過去年度における統計情報は以下にまとめています。
対応しているテキスト・スクールの違い
対応しているテキストやスクールに関しては、多くの出版社や予備校が日本FP協会の資産設計提案業務を取り扱っています。
特にFPの通信講座で人気のフォーサイトの場合、2級であれば日本FP協会のみの対応となっています。
対策の立てやすさからは日本FP協会が良いと言えますね。
教材に関してはそれぞれ、以下の記事をご覧ください。
実施時期の違い
日本FP協会の実技試験は毎回1月・5月・9月(2020年5月は例外的に中止)行われていますが、きんざいの実技試験は科目によっては行われない時期があります。
例えば中小企業主資産相談業務と損保顧客資産相談業務は5月には毎回行われませんし、損保顧客資産相談業務に限っては1月にも行われないことが多いです。
その科目で受けよう!と決めても実施される回数が少ないことで受験できるチャンスが減ってしまう可能性も念頭に置いておきましょう。
FP2級の実技試験におけるFP協会ときんざいの同じ点
次に、FP2級の実技試験において、FP協会を選んでもきんざいを選んでも変わらないポイントもあるので確認しておきましょう。
企業側からの指示がない限り、評価はほとんど同じ
企業から「この科目で受験しろ」とあらかじめ言われていない限り、日本FP協会で合格してもきんざいで合格しても2級ファイナンシャル・プランニング技能士としての扱いや待遇が変わることはありません。
そのため、自分が得意な科目で受験するのが良いと言えます。
しかし、保険業などでは、保険のセールスマンとして、保険顧客資産相談業務を取れと言った指示もたまにあると聞きます。
資格試験が昇給要件になっており、実技試験の科目まで重要視される場合は受験前に確認しておいた方が良いかもしれません。
午前に受ける学科試験は同じだが、合格率は全然違う
午前で受ける学科試験に関しては、日本FP協会で受験してもきんざいで受験しても全く同じ問題が出題されます。
しかし合格率を見てみると不思議なことに、かなりの違いがみられます。
年月 | 日本FP協会 | きんざい |
2020年9月 | 49.19% | 33.10% |
2020年1月 | 41.86% | 28.81% |
2019年9月 | 43.42% | 20.97% |
同じ問題でこれほど差が出る理由としては、受験者のモチベーションによるもので、日本FP協会の場合は自己啓発で受ける受験者が多い一方、きんざいは会社から取れと強制されているためしぶしぶ受けているからではないかと言われています。
筆者のおすすめはFP協会の資産設計提案業務
実技試験の各科目に関して、出題内容や合格率の解説をさせていただきました。
結局のところ、どれを受験するのがおすすめかと言った疑問が残ると思うので、最後に筆者なりの見解をまとめておこうと思います。
筆者自身はFP協会の資産設計提案業務が簡単に取得できたのでおすすめします。
理由は以下の通りです。
対応している教材が多い
資産設計提案業務はほとんどの教材が対応していると言っても過言ではありません。
筆者が当時使っていたスッキリわかるFPの教科書でもそうですし、現在おすすめしているみんなが欲しかったFPの教科書でも対応しています。
また、先ほど触れたように大半の通信講座でも日本FP協会向けの講座を展開しているので対策しやすくすぐに得点に直結できます。
一方で、きんざいの場合は教材が限られているので選ぶ際は注意しなければいけません。
毎回問題がほとんど同じ
資産設計提案業務では出題内容が毎回ほとんど同じです。
具体的に2019年の1月と5月の問題を見比べてみましょう。
このように多少入れ替えはあるものの、ほとんど同じ要領で解くことができて、暗記で乗り切れる場面も多々あります。
筆者も過去問を2回分解こうと勉強していたのですが、1回目と2回目の問題がほぼ同じだったため、1回分だけでやめて試験に臨みましたが無事合格できました。
このように、対策しやすい点から資産設計提案業務をおすすめしています。
まとめ
今回はFP2級の実技試験において、日本FP協会ときんざいのそれぞれの科目の違いやどれがおすすめなのかと言ったポイントについて解説しました。
よっぽどな理由がない限り日本FP協会の資産設計提案業務がおすすめです。
最終的な評価は同じなので、ご自身が取れそうな科目を選択し、無事合格を手にしてください。
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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