FPと簿記はどっちを先に取る?ダブルライセンスのメリットも資格保有者視点で紹介!
お金の知識を学べる資格はたくさんあります。その中でも特に人気がある資格はFP試験と簿記試験です。
これから就職や独立、生活水準の向上のために試験勉強を始めようと思った時に以下のように迷う方は多いです。
実際に簿記とFP両方目指している方で、どっちを先に勉強すれば良いか迷う方は多いです。
この記事では両方の試験を取得し、ダブルライセンスの筆者が、どちらを優先して取得すれば良いか解説していきます。
FP資格と簿記資格の概要・共通点
まず、大雑把ですがFP資格と簿記資格の概要・共通点について確認してみましょう。
FP資格とは
FP試験とは個人向けのライフプランニング・資金計画・不動産の売買・相続税などを学べる資格です。
資格取得後は保険業界や金融業界で活躍することが多く、顧客は個人であることが一般的です。
FP資格で学ぶ内容は主に以下の通りです。
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業継承
簿記資格とは
簿記資格はFP資格と同じくお金に対する知識を学べます。しかし、FP試験が個人側に立ってお金に関するアドバイスをする知識を得られるのに対し、簿記は企業の会計に携わります。
具体的に学べる知識は以下の通りです。
- 日常の仕訳
- 月次処理
- 期末の決算
- 財務諸表の作成
簿記2級になると工業簿記と呼ばれる製品を作成する過程についても学習します。
簿記はお金の動きがある企業(=要するにほとんど)では必要な存在であり、求人数も多い人気資格です。
FP資格と簿記資格の共通点
FP資格と簿記資格のはともにお金について学べるといった共通点があります。
また、どちらの資格も職場からの評価が高いです。余力がある方はダブルライセンスを目指してみましょう。
FP2級と簿記2級の違い・比較
FP資格と簿記資格は共通点が多いものの、違いもいくつかあります。具体的な違いについて、確認していきましょう。
FP2級と簿記2級の難易度の違い
まず、FP試験と簿記試験の難易度の違いについて見てみましょう。FP試験と簿記試験の偏差値は以下の通りです。
FP2級 | 日商簿記2級 | |
難易度 | 48 | 58 |
FP2級の方が日商簿記2級よりも偏差値が低く、手ごろに受けられる資格です。
合格率平均についても、FP2級は40%ほどですが、簿記2級は20%~30%程です。
勉強時間に関してもFP2級は100時間ほどで合格できますが、簿記2級は200時間程かかります。
難易度だけで比較すると、一般的には簿記2級のほうが難しいという声が聞多いです。
FP2級と簿記2級の受験資格の違い
次にFP2級と簿記2級の受験資格について確認しましょう。
簿記の場合は3級から1級まで受験資格が不要で、いきなり2級や1級からの受験も可能です。
一方でFP試験の場合、3級は誰でも受けられますが2級以降は受験資格が必要です。
FP2級の具体的な受験条件は以下の通りです。
- 3級技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
資格や経験なしでFP2級までの道のりは結構長いです。時間を確保できたり要領よく勉強を進めたりできても最低半年以上はかかります。
※簿記は2020年11月からCBT化されておりいつでも受けられるようになっています。FPよりさらに受験しやすくなりました。
FP2級と簿記2級の求人数・昇給要件の違い
最後に、就職活動や転職、昇進要件にどちらの資格が生かせるか確認してみましょう。
某大手求人サイトだと、求人数は以下の通りです。
FP2級 | 日商簿記2級 | |
求人数 | 1,500人 | 2,500人 |
どちらも求人数は多いですが、特に日商簿記の方が人気です。
ただし、時期やエージェント次第で求人数は大きく変わります。エージェントによっては求人数が逆転する可能性もあるので、まずは自分で登録して試してみましょう。
FP資格と簿記資格のダブルライセンスにおけるメリット
FP資格と簿記資格をダブルライセンスとして保有するメリットについても確認しておきましょう。
片方の知識があればもう片方の資格も取りやすくなる
FPと簿記はともにお金に関する資格で、片方で習った知識がそのままもう片方の資格に流用できます。
例えばFPで原価係数を知っていれば、簿記で問われる投資の意思決定に関して理解がスムーズになります。
片方の資格を持っていることで、もう片方の勉強時間を大幅に減らせる点は魅力です。
一つの論点について、多面的にみられるようになる
FPと簿記では、同じ論点を別の視点で見るケースが多いです。
例えば株式の場合、FPでは投資の手段の一つとして学習します。一方で簿記では資金調達の手段の一つとして学習します。
同じ論点に関しても多方面から学習できて面白く、より理解が深まります。
FPと簿記のダブルライセンスは転職・昇格ともに有利になる
FPも簿記も転職市場でかなり人気の高い資格です。どちらか片方だけ持っていてもかなり評価されますが、両方持っているとさらに評価は高まります。
また、銀行のように資格をポイント化して昇格要件にしている職場では、両方持っているだけでも相乗効果を期待できます。
資格手当についても、重複でもらえる場合大幅な年収アップが期待できます。例えば筆者が以前いた企業では資格手当は以下のように定められていました。
資格 | 資格手当(月額) |
FP2級 | 3,000円 |
日商簿記2級 | 5,000円 |
・・・ | ・・・ |
中小企業診断士 | 10,000円 |
税理士 | 15,000円 |
資産運用・独立で役立つ
FPの知識があれば金融商品に関する知識を養えるため、個人で資産運用することが可能です。
また、簿記の知識があれば自分の事業を起こしたときに仕訳を切れるため、確定申告を自分でしたり経費の判断をしやすくなったりします。
ダブルライセンスの場合、資産運用と確定申告の両方を自分でできるため、時間もお金も節約できます。
FPと簿記はそれぞれ、ほかの資格とも親和性が高いです。各資格と相性の良い資格は以下の記事にもまとめているので、併せてごらんください。
FP試験と簿記試験それぞれの勉強方法
どっちの資格も魅力的ですが、勉強方法を押さえておかなければ合格はできません。
FPと簿記で勉強方法は少し変わってくるので、それぞれ確認しておきましょう。
勉強方法
まずは勉強方法から紹介します。
FP試験の勉強方法
FP試験は生活している上で普段から関わっている保険だったり、各種税金だったりを学ぶべるため学習しやすいです。
一方でFPは結構細かい数字や法律を覚える必要があり、暗記が苦手な方にとっては難しいです。
FPは覚えることが多く大変です。しかし過去問が結構使いまわしされているので対策しやすいとの声もあります。
詳しい対策方法については以下の記事でまとめているので、参考にしてみてください。
簿記試験の勉強方法
簿記試験では会社独特の仕訳処理(そもそも複式簿記の考えが非日常的)や法律に触れることが多いので、大抵の方はとっつきづらいと感じます。
また、計算問題が多く、あまり数値を覚える必要がないため、理系寄りの思考が問われると言えます。
工業簿記はパズル的な要素もあり、人によっては楽しく感じることもあります。
簿記はFPのような記憶ではなく、手を動かすほうが重要です。
テキスト
どちらの資格も独学でも勉強できますが、テキストは必須です。
特にフルカラーだったり、事象をイラスト付きで詳しく解説していたりするテキストを選ぶことで学習がスムーズに進みます。
FPの場合はみんなが欲しかったFPの教科書が、簿記の場合はスッキリわかる日商簿記がおすすめです。
それぞれテキストの比較記事も書いているのであわせてご覧ください。
通信講座
最後に、「独学で勉強するとモチベーションが続かない」「誰かに相談したり質の高い講義を受けたりしたい!」と言う方には通信講座をおすすめします。
通信講座の場合e-ラーニングアプリで進捗管理ができたり問題を解いて演習を重ねられたりして非常に効率的に学習を進めることができます。
簿記・FPともに多くの通信講座がありますが、フォーサイトが特におすすめです。
フォーサトはフルカラーテキスト+ハイビジョン動画によって質の高い学習を行うことができます。受講料も比較的安めで、コスパが良いです。
ゲーム感覚で楽しめるeラーニングシステムも搭載しており、挫折しづらいです。
それぞれの通信講座について教材提供をしていただき、記事にもしました。気になる方はあわせてご覧ください。
FP資格と簿記資格の比較・ダブルライセンスに関するよくある質問
FPと簿記について、よくある質問をまとめました。
FPと簿記、片方とるならどっちがおすすめ?
FPか簿記、片方だけ取る場合、状況に応じて優先する資格が変わります。
FPを優先でとるべき人は以下の通りです。
- 金融機関に就職して出世したい人
- 比較的簡単に資格を取得したい人
- 国家資格が欲しい人
簿記を優先でとるべき人は以下の通りです。
- 業種や職種を問わず、資格を就職の武器にしたい人
- 好きなタイミングで資格の勉強や受験をしたい人
FPと簿記で生活に役立つのはどっちですか?
FPと簿記で生活に役立つ知識が学べるのはFPです。資産運用や相続の知識は学んでおいて損はありません。
一方で簿記は会社を対象としており、家計レベルではあまり活かせません。
簿記とFPの対象をわかりやすくまとめると以下の通りです。
- 簿記・・・会社のお金に詳しくなって、ビジネススキルを高めたい、管理職になりたい
- FP・・・個人のお金に詳しくなって、個人のお客さんが欲しい、営業したい
FPと簿記でダブルライセンスを狙うなら、取得の順番はどっちから?
FPと簿記でダブルライセンスを狙う場合の取得の順番ですが、個人的には簿記が先のほうが良いです。
FPの試験日は1月・5月・9月で受験日が限られています。しかし、簿記の場合はCBTでいつでも受けられるため、スケジュールが組みやすいです。
そのためまずは簿記で勉強の習慣をつけつつ、試験を受けるために実際どれくらいの勉強が必要か把握していきましょう。
簿記とFPの同時進行はおすすめしません。短期間で勉強を詰め込むのは大変です。虻蜂取らずにはならないように、片方を集中して取ってから、もう片方を取るようにしましょう。
FP資格と簿記資格まとめ
FP試験と簿記試験はいずれの資格もお金に関する知識を得られる資格で、共通点もあれば異なる点もあります。
どちらの資格も企業からの評価は高く、メリットは大きいです。
FPと簿記のダブルライセンスを狙うのも良いですし、1つの方をきわめて1級まで狙うのもアリです。
興味があればまずは受験してみましょう!
福井県産。北海道に行ったり新潟に行ったりと、雪国を旅してます。
経理4年/インフラエンジニア7年(内4年は兼務)/ライター5年(副業)
簿記2級/FP2級/応用情報技術者/情報処理安全確保支援士/中小企業診断修得者 など
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